投稿者: kariru0916

  • 大口の事業資金を借りる前に確認すること|公表されている限度額と、担保・保証の条件を公庫と信用保証協会の公式情報で確かめる

    大口の事業資金を借りる前に確認すること|公表されている限度額と、担保・保証の条件を公庫と信用保証協会の公式情報で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    事業資金をまとまった額で借りようとするとき、最初に効いてくるのは金利ではなく制度ごとに公表されている限度額です。いくら必要かが決まっていても、その制度の枠を超えては申し込めません。そして枠が大きくなるほど、担保と保証をどうするかが条件として前に出てきます。

    この記事では、公表されている限度額と、担保・保証について各制度が何と書いているかだけを確認します。公庫と民間の制度そのものの比較は日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違いで扱っているため、ここでは触れません。個別の審査や通りやすさも扱いません。

    1. 日本政策金融公庫の限度額は「事業」と「制度」で段が変わる

    公庫は、小規模事業者・個人事業主向けの国民生活事業と、より規模の大きい中小企業事業とで、同じ名前の制度でも限度額が別に公表されています。本日確認できた値を並べます(いずれも2026年9月29日確認)。

    制度(事業)公表されている融資限度額ご返済期間
    一般貸付(国民生活事業)運転資金 4,800万円/設備資金 4,800万円/特定設備資金 7,200万円運転5年以内(特に必要な場合7年以内)<据置1年以内>/設備10年以内<据置2年以内>/特定設備20年以内<据置2年以内>
    経営環境変化対応資金(国民生活事業)7,200万円設備20年以内/運転10年以内<据置3年以内>
    経営環境変化対応資金(中小企業事業)直接貸付 7億2千万円設備20年以内/運転10年以内(据置3年以内)
    金融環境変化対応資金(中小企業事業)直接貸付 3億円設備20年以内/運転10年以内(据置3年以内)
    日本政策金融公庫の各制度ページの公表値(2026年9月29日確認)。一般貸付のページには「ほとんどの業種の中小企業の方にご利用いただけます(業種や経営内容等によってはご利用いただけない場合がございます)」「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」と明記されています。

    ここで確認できるのは、「大口」かどうかを決めているのは借り手の希望額ではなく、どの制度の枠に乗るかだということです。国民生活事業の一般貸付は運転資金4,800万円・特定設備資金7,200万円が上限として公表されており、億単位の枠は中小企業事業の制度側に置かれています。

    また一般貸付のページは、記載の返済期間を超える取扱いを希望する場合は支店に問い合わせるよう案内しており、限度額についてそのような案内は置かれていません(記載なし)。

    日本政策金融公庫「一般貸付」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/jiyusij_m.html/同「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」国民生活事業 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html・中小企業事業 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m_t.html/同「金融環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/05_kinyuukankyou_m_t.html(いずれも2026年9月29日確認)

    2. 信用保証協会の枠は「1企業あたり」で決まっている

    金融機関から借りる際に信用保証協会の保証を付ける場合、枠は制度ごとではなく1企業に対する保証限度額として公表されています。全国信用保証協会連合会(以下「連合会」)の「ご利用条件」は次のとおりです(2026年9月29日確認)。

    区分公表されている限度額
    普通保険の限度額2億円(組合4億円)
    無担保保険の限度額8,000万円(組合も同額)
    合計(一般保証)2億8,000万円(組合4億8,000万円)
    別枠保証一般保証とは別枠で、政策目的により創設された別枠保証の限度額が設けられている
    全国信用保証協会連合会「ご利用条件」(2026年9月29日確認)。同ページは、保証の対象となる資金を「事業経営に必要な資金(運転資金および設備資金)に限られています」としています。

    名前に「無担保」が入っている枠が8,000万円分あることに注目してください。2億8,000万円という合計は、無担保保険の枠と普通保険の枠を足した数字として説明されています。制度の全体像は信用保証協会の保証付き融資とはにまとめています。

    保証制度ごとの枠と担保の扱い

    連合会の「さまざまな保証制度」ページには、制度ごとの限度額と担保・保証人の扱いが掲載されています(2026年9月29日確認)。

    保証制度保証限度額担保・保証人
    流動資産担保融資保証制度(ABL保証)2億円(金融機関からの借入限度額は2億5千万円)。(注)保証割合80%の部分保証保証人=不要/担保=流動資産(売掛債権および棚卸資産)のみ。ただし個別保証の場合は売掛債権のみ
    小口零細企業保証制度2,000万円(既存の信用保証協会保証付融資残高と合計して2,000万円以内)保証人=必要となる場合がある。ただし法人代表者以外の連帯保証人は原則不要/担保=原則として不要
    特定社債保証制度4億5千万円(注1=保証割合80%のため発行価額の限度額は5億6千万円/注2=経営安定関連保証および危機関連保証を除く普通保証、無担保保証および本保証の合計は5億円以下)保証人=不要/担保=信用保証協会所定
    全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」の公表値(2026年9月29日確認)。ABL保証の保証料率は「借入極度額・借入金額に対し年0.68%」、特定社債保証制度の保証料率は「社債総額に対し、0.45%〜1.90%」と掲載されています。各制度とも「詳しくは、お近くの信用保証協会までお問い合わせください」との案内があります。

    ここで分かるのは、枠が大きい制度ほど、担保として何を差し出すかが制度の定義に組み込まれているということです。ABL保証は売掛債権と棚卸資産、特定社債保証制度は「信用保証協会所定」の担保、という書き方になっています。ABL自体の仕組みはABL(売掛債権・動産担保融資)を借りる前に確認することで扱っています。

    一般社団法人全国信用保証協会連合会「ご利用条件」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken//同「さまざまな保証制度」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoseido/(いずれも2026年9月29日確認)

    3. 担保の有無で、公表されている利率そのものが違う

    公庫は金利情報のページで、無担保で融資を利用される方と有担保で融資を利用される方を別の表として掲載しています。令和8年9月1日現在の値は次のとおりです(2026年9月29日確認)。

    区分基準利率(年利%)特別利率A特別利率B特別利率C
    無担保・税務申告を2期終えている方3.80〜5.403.40〜5.003.15〜4.752.90〜4.50
    無担保・税務申告を2期終えていない方3.75〜5.353.35〜4.953.10〜4.702.85〜4.45
    有担保2.80〜5.002.40〜4.602.20〜4.352.15〜4.10
    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(令和8年9月1日現在の掲載値・2026年9月29日確認)。同ページは「融資制度、お使いみち、ご融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます」と注記し、「利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります」としています。

    数字そのものより、公庫が担保の有無を利率表の区分として立てているという事実が確認できる点が重要です。なお同ページには、経営者の保証を不要とする「経営者保証免除特例制度」を利用する場合の利率として「各種融資制度に定める利率(上乗せ利率はありません。)」と記載されています。また遅延損害金の割合は「年9.10%(令和8年4月1日から令和9年3月31日までの貸付け)」と掲載されています(2026年9月29日確認)。

    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/(2026年9月29日確認)

    4. 担保に使う権利には、条文上2つの形がある

    大口になるほど不動産を担保に入れる話が出ます。その担保権には、民法上2つの形が用意されています(e-Gov法令検索・原文・2026年9月29日確認)。

    条文原文の内容
    民法 第369条第1項(抵当権の内容)「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」
    民法 第398条の2第1項(根抵当権)「抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。」
    e-Gov法令検索「民法」の原文(2026年9月29日確認・取得した版=施行日2026年6月24日)。前者は1本の債権を担保する形、後者は枠(極度額)で担保する形です。

    継続的に借入れと返済を繰り返す取引では、後者の根抵当権が使われることがあります。どちらが設定されるかで、完済したあとの登記の扱いや、追加で借りるときの手続が変わります。違いの詳細は抵当権と根抵当権の違いで条文から整理しています。

    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第369条・第398条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月29日確認)

    5. 保証について、それぞれ何と書かれているか

    担保と並んで条件になるのが保証です。公表されている記載を並べます(いずれも2026年9月29日確認)。

    公表元担保・保証人の欄に書かれていること
    公庫 一般貸付・経営環境変化対応資金(国民生活事業)「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。」
    公庫 経営環境変化対応資金・金融環境変化対応資金(中小企業事業)「担保設定の有無、担保の種類などについては、ご相談のうえ決めさせていただきます。」「直接貸付において、一定の要件に該当する場合には、経営責任者の方の個人保証が必要となります。」
    公庫 経営者保証免除特例制度(国民生活事業)「ご融資にあたり、経営者の保証が免除されます。」「担保の提供の有無は、お申込の際に選択いただけます。」/留意事項「一部ご利用いただけない融資制度があります」「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」
    全国信用保証協会連合会「保証をご利用いただく際には、連帯保証人が必要となる場合があります。ただし、法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません。なお、個人事業主の場合、保証人は原則必要ありません。また、連帯保証人や担保に過度に依存しない保証の推進に努めています。」「※一部、担保が必要となる保証制度もあります。」
    各公式ページの記載(2026年9月29日確認)。いずれも「必要となる場合がある」「原則」という書き方であり、個別の結論を示すものではありません。

    公庫の経営者保証免除特例制度のページは、この制度を「『経営者保証に関するガイドライン』に対応する制度として、経営者の保証を不要とする融資を希望される方に対し…お取り扱いしています」と説明し、利用できる方として7つの要件を列挙しています。経営者保証という枠組み自体は経営者保証に関するガイドラインとはに、貸金業者が提供する事業者向けローンの位置づけはビジネスローンとはにまとめています。

    日本政策金融公庫「一般貸付」/同「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」国民生活事業・中小企業事業/同「金融環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」/同「経営者保証免除特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keitoku.html/全国信用保証協会連合会「初めての融資と信用保証」 https://www.zenshinhoren.or.jp/basic/(いずれも2026年9月29日確認)

    6. 申し込む前に、手元で並べておけること

    確かめること根拠になる公表内容
    希望額が、どの制度の限度額の中に収まるか公庫の制度別限度額(4,800万円/7,200万円/3億円/7億2千万円)
    保証付融資を使う場合、既存の保証付融資の残高がいくらあるか信用保証協会の限度額は「1企業に対する」枠(普通保険2億円+無担保保険8,000万円)
    担保に出せる資産が、不動産か、売掛債権・棚卸資産かABL保証の担保=「流動資産(売掛債権および棚卸資産)のみ」
    不動産を担保に入れる場合、抵当権と根抵当権のどちらの話か民法第369条第1項・第398条の2第1項
    保証人を誰に求められる可能性があるか公庫(中小企業事業)=「一定の要件に該当する場合には、経営責任者の方の個人保証が必要となります」/信用保証協会=「法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません」
    担保の有無で公表利率がどう違うか公庫 金利情報(令和8年9月1日現在)=無担保の基準利率3.80〜5.40%/有担保2.80〜5.00%
    公表資料に書かれている項目を並べたもの(2026年9月29日確認)。融資の可否・条件は各機関の判断であり、当サイトは個別の審査に関する情報を扱いません。

    返済額そのものは返済シミュレーターで計算でき、返済負担の見方は返済比率・返済負担の考え方にまとめています。

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    よくある質問

    信用保証協会の2億8,000万円は、1回の融資の上限ですか?

    連合会は「1企業に対する限度額」として、普通保険の限度額2億円(組合4億円)と無担保保険の限度額8,000万円(組合も同額)を合わせた2億8,000万円(組合4億8,000万円)と説明しています。1回ごとの上限ではなく、企業単位の枠として書かれています。加えて、一般保証とは別枠で政策目的により創設された別枠保証の限度額が設けられている、との記載があります。

    担保を出せば、公庫の金利は下がりますか?

    公庫の金利情報ページは、無担保と有担保を別の表として掲載しており、令和8年9月1日現在の基準利率は無担保(税務申告2期完了)が年3.80〜5.40%、有担保が年2.80〜5.00%です。ただし同ページは「融資制度、お使いみち、ご融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます」としており、個別にどの利率が適用されるかを示した記載はありません(記載なし)。当サイトでは適用利率の見込みは扱いません。

    大口になると、代表者の個人保証は避けられませんか?

    そのような記載は一次情報にありません。公庫の中小企業事業の制度ページは「直接貸付において、一定の要件に該当する場合には、経営責任者の方の個人保証が必要となります」と書いており、国民生活事業には「経営者保証免除特例制度」(経営者の保証が免除される・上乗せ利率なし)が公表されています。信用保証協会の側は「法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません」としています。金額と保証の要否を結びつけた記載は、当サイトが確認した範囲では記載なしです。

    特定社債保証制度の4億5千万円は、そのまま調達できる額ですか?

    連合会のページは、保証限度額4億5千万円について「(注1)保証割合が80%であることから、発行価額の限度額は5億6千万円」「(注2)経営安定関連保証および危機関連保証を除く普通保証、無担保保証および本保証の合計は5億円以下」と注記しています。保証の額と発行価額、さらに他の保証との合計上限が別に定められている、という書き方です。

    制度ごとの違いはどこで確認できますか?

    公庫の融資と貸金業者のビジネスローンの違いは日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違いで根拠法から比較しています。本記事は限度額と担保・保証の条件に絞っており、制度の優劣や順位づけは行いません。

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    最終更新:2026年9月29日/このページは公表されている一次情報(日本政策金融公庫、一般社団法人全国信用保証協会連合会、e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。限度額・利率・返済期間・担保および保証の条件は各公式ページの2026年9月29日時点の掲載値で、変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。融資・保証の可否および条件は各機関の判断によります。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 事業資金の借換えを申し込む前に確認すること|信用保証協会の借換保証と日本政策金融公庫の公表条件を一次情報で確かめる

    事業資金の借換えを申し込む前に確認すること|信用保証協会の借換保証と日本政策金融公庫の公表条件を一次情報で確かめる

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    複数の借入れを返済していると、「1本にまとめられないか」という話が出ます。これを借換えといい、公的な制度としても信用保証協会の借換保証制度と日本政策金融公庫の公庫融資借換特例制度が公表されています。

    ただし、どちらの制度も公表資料に条件が書かれており、対象にならない借入れがあることも制度側が明記しています。この記事では、両制度の公表内容と、保証料がどう計算されると公表されているかを、一次情報だけで確認します。個別の審査や、どの金融機関が有利かといった話は扱いません。

    1. 制度側は「借換え」をどう説明しているか

    全国信用保証協会連合会(以下「連合会」)の「さまざまな保証制度」ページは、借換保証制度を次のように説明しています(原文・2026年9月29日確認)。

    デフレの進行等の中小企業・小規模事業者をめぐる厳しい金融経済情勢にかんがみ、複数の保証付融資の債務一本化等を促進することにより、中小企業・小規模事業者の月々の返済額の軽減等を推進し、中小企業・小規模事業者の資金繰りを円滑化することを目的に創設された保証制度です。

    同じ連合会の「資金繰りの改善をお考えの方」ページは、借換保証について「現在の複数の借入金を1本にまとめて、長期で返済することで、毎月の返済額を少なくするための制度」としたうえで、「借り換えの際に、新たな資金を上乗せして融資を受けることも可能です」と記載しています(2026年9月29日確認)。

    ここで押さえておきたいのは、同じページが制度の限界を先に書いていることです。ポイントとして挙げられているのは次の4点です(2026年9月29日確認)。

    • 複数の借入口をまとめることで、月々の返済負担を減らすことができます。
    • 事業計画書の作成等が必要となる場合があります。
    • 信用保証協会では、融資以外にも関係機関との連携による経営支援に取り組んでいます。
    • 借り換えできる保証制度とそうでないものがあります。お近くの信用保証協会にご相談ください。

    4点目は重要です。保証付融資であればすべて借換えの対象になる、とは書かれていません。どの制度が対象かは各協会に確認する、という案内です。

    一般社団法人全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoseido//同「資金繰りの改善をお考えの方」 https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/shikinguri/(いずれも2026年9月29日確認)

    2. 借換保証で公表されている保証限度額

    連合会の「資金繰りの改善をお考えの方」ページは、借換保証の保証限度額を次のように掲載しています(2026年9月29日確認)。

    区分公表されている保証限度額
    一般保証2億8,000万円(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)
    経営安定関連保証2億8,000万円(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)
    全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」(2026年9月29日確認)。同ページには「※利用する保証の限度内」との注記があります。

    この2億8,000万円という枠は、借換保証だけの専用枠ではありません。連合会の「ご利用条件」ページは、1企業に対する保証限度額を、中小企業信用保険における普通保険の限度額2億円(組合4億円)と無担保保険の限度額8,000万円(組合も同額)を合わせた2億8,000万円(組合4億8,000万円)と説明しており、これら一般保証とは別枠で政策目的により創設された別枠保証の限度額が設けられている、としています(2026年9月29日確認)。制度全体の枠組みは信用保証協会の保証付き融資とはにまとめています。

    なお同ページは、保証の対象となる資金を「事業経営に必要な資金(運転資金および設備資金)に限られています」としています。

    同「資金繰りの改善をお考えの方」/同「ご利用条件」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/(いずれも2026年9月29日確認)

    3. 借換えたとき、信用保証料はどう計算されると公表されているか

    連合会の「信用保証料」ページは、料率が経営状況に応じた9つの料率区分から適用されること、担保の提供がある場合や会計参与設置会社である場合等には割引を行うこと、事業者選択型経営者保証非提供制度を利用する場合には割増となることを記載しています。具体的な料率の数値は同ページには掲載されておらず、最寄りの信用保証協会に問い合わせるよう案内されています(記載なし・2026年9月29日確認)。

    計算の仕組みは、各信用保証協会が公表しています。東京信用保証協会の「信用保証料について」(よくあるご質問)は、算出式を次のように示しています(2026年9月29日確認)。

    信用保証料=貸付金額×保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数

    同ページは、分割係数を「分割返済の場合に満期一括返済と比べて割り引くための係数」と説明しています。借換えの場面では、次の点が明記されています。

    • 借換保証を利用する場合、新たに発生する信用保証料から、借り換えられる保証の返戻保証料を差し引いて支払うことができる(同ページは、ここでいう借換保証を「期限未到来の既往保証を同時完済条件とする保証」と定義しています)
    • ただし、差引計算ができない場合がある。新規保証の側では、特定の制度融資の場合、連帯債務の場合、新規保証の信用保証料が借り換えられる保証の返戻保証料より少額の場合、複数保証で同一保証を借り換える場合、信用保証料の支払方法が分割の場合、返済方法が不均等の場合
    • 借り換えられる保証の側では、特定の制度融資の場合、連帯債務の場合、重畳的債務引受の条件変更をしている場合、返戻保証料が1,000円以下の場合
    • 最終約定期限前に完済された場合は、協会の規定により保証料を一部返戻することがある(合計額が1,000円以下のものは返戻の対象外)

    つまり、借換えは保証料が単純に消えたり、そのまま引き継がれたりするものではなく、旧い保証の返戻と新しい保証の発生を突き合わせる処理として公表されています。上の式のとおり保証料は保証期間(月数)に比例するため、期間を延ばせば保証料の計算に入る月数も増えます。実際にいくらになるかは料率区分と条件によるため、当サイトでは金額の試算は行いません。

    全国信用保証協会連合会「信用保証料」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoryo//東京信用保証協会「信用保証料について」 https://www.cgc-tokyo.or.jp/branch_inquiry/inquiry/faq/hoshoryo.html(いずれも2026年9月29日確認)

    4. 日本政策金融公庫の「公庫融資借換特例制度」

    公庫には、借換えを正面から名前に掲げた制度があります。公庫融資借換特例制度です。公庫のページは制度の趣旨を次のように書いています(原文・2026年9月29日確認)。

    社会的、経済的環境の変化など外的要因や金融機関との取引状況の変化により資金繰りに困難を来している方、経営改善、経営再建などに取り組む必要が生じている方および弁済に係る負担の軽減を必要としている方が、経営安定や中小企業者の自助努力による企業再建の支援を図るために、既往公庫融資の借換などを行う制度です。

    公表されている概要のうち、申込みの前に確認できるところを整理します。

    項目公表内容
    ご利用いただける方セーフティネット貸付制度の経営環境変化対応資金および金融環境変化対応資金、令和2年7月豪雨特別貸付、令和6年能登半島地震特別貸付、企業再生貸付制度の事業再生・企業再建支援資金(一部の対象を除く)、企業活力強化貸付制度の事業承継・集約・活性化支援資金、挑戦支援資本強化特別貸付または危機対応後経営安定貸付制度による貸付けを受ける方
    (注)原則として、既往の公庫融資の借換のほか、新規融資をご利用いただく必要があります。
    融資限度額適用した特別貸付制度の貸付限度額
    ご返済期間経営環境変化対応資金・金融環境変化対応資金=10年以内(うち据置期間原則1ヵ月以内)/事業再生・企業再建支援資金=20年以内(同)/事業承継・集約・活性化支援資金=10年以内(同)/危機対応後経営安定貸付制度=20年(同)/令和2年7月豪雨特別貸付・令和6年能登半島地震特別貸付=15年以内(同)/挑戦支援資本強化特別貸付=5年1か月または6年から20年までの各年(期限一括償還)
    利率(年)適用した特別貸付制度に定める利率。ただし借換部分のうち、借換対象の貸付口の加重平均金利がご融資時の基準利率を上回る場合は、加重平均金利を適用(挑戦支援資本強化特別貸付を除く)
    その他既往の融資については一部借換の対象にできないものもあります。借換部分に対する融資金額は、借換対象口ごとに10万円未満の端数を切り捨てた金額となる
    申込み直接貸付=日本公庫各支店の中小企業事業の窓口。「本制度の利用には、事業の見通しなどについて、審査が必要になります。審査の結果、本制度をご利用いただけない場合もあります」と明記
    日本政策金融公庫「公庫融資借換特例制度」の公表内容(2026年9月29日確認)。据置期間が「原則1ヵ月以内」と短く設定されている点は、通常の特別貸付の据置期間(後述)と異なります。

    注意したいのは利率の扱いです。借換対象の貸付口の加重平均金利が融資時の基準利率を上回る場合には、加重平均金利が適用されると書かれています。借換えによって金利が下がると読める記載は、当サイトが確認した同ページの範囲ではありません。

    受け皿になる制度側の公表条件

    この特例制度は単独では使えず、上表の特別貸付制度に乗る形になります。中心になるセーフティネット貸付の2制度の公表条件は次のとおりです(2026年9月29日確認)。

    制度融資限度額ご返済期間利率(年)
    経営環境変化対応資金(国民生活事業)7,200万円設備20年以内/運転10年以内<うち据置3年以内>基準利率(一定の要件に該当する方は特別利率Q)
    経営環境変化対応資金(中小企業事業)直接貸付 7億2千万円設備20年以内/運転10年以内(うち据置3年以内)基準利率(長期運転資金に限り上限3.0%)
    金融環境変化対応資金(中小企業事業)直接貸付 3億円設備20年以内/運転10年以内(うち据置3年以内)基準利率(長期運転資金に限り上限3.0%)
    日本政策金融公庫の各制度ページの公表値(2026年9月29日確認)。いずれのページにも「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」等の注記があります。中小企業事業の2制度には「直接貸付において、一定の要件に該当する場合には、経営責任者の方の個人保証が必要となります」と記載されています。

    金融環境変化対応資金の対象は、公表ページによれば「国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に、取引金融機関から次の(1)から(5)までのいずれかの要請または取扱いを受けている方」で、(1)借入残高の減少、(2)約定した返済条件を超える弁済、(3)当座預金の解約、(4)担保・保証人の追加、(5)借入金利の引上げ、が挙げられています。公庫と民間の制度の違いは日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違いで根拠法から比べています。

    日本政策金融公庫「公庫融資借換特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/58.html/同「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」国民生活事業 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html・中小企業事業 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m_t.html/同「金融環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/05_kinyuukankyou_m_t.html(いずれも2026年9月29日確認)

    5. 申し込む前に、自分の側で確かめられること

    ここまでの公表内容から、相談に行く前に手元で整理できることを並べます。いずれも「借換えをすべきかどうか」の判断ではなく、制度の条件に自分の借入れを当てはめてみるという作業です。

    確かめること根拠になる公表内容
    今ある借入れが、保証付融資なのかプロパー融資なのか(口ごとに)借換保証制度=「複数の保証付融資の債務一本化等を促進する」(連合会)
    その保証付融資が借換えの対象になる制度かどうか「借り換えできる保証制度とそうでないものがあります」(連合会)
    公庫の既往融資がある場合、受け皿になる特別貸付制度の要件に当たるか公庫融資借換特例制度「ご利用いただける方」の列挙
    借換対象の各口の金利(加重平均金利の計算に使われる)公庫「借換対象の貸付口の加重平均金利がご融資時の基準利率を上回る場合は、加重平均金利を適用します」
    返済期間を延ばした場合に、支払う利息の総額と保証料の計算月数がどう動くか保証料の式=貸付金額×保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数(東京信用保証協会)
    事業計画書を求められた場合に出せる資料があるか「事業計画書の作成等が必要となる場合があります」(連合会)
    公表資料に書かれている項目を並べたもの(2026年9月29日確認)。利用の可否は各信用保証協会・各金融機関・公庫の判断であり、当サイトは個別の審査に関する情報を扱いません。

    返済額そのものの計算は返済シミュレーターで、返済負担の見方は返済比率・返済負担の考え方で扱っています。既存の契約の条件を変えるときに関係する「期限の利益」については期限の利益の喪失にまとめています。

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    よくある質問

    借換えをすれば毎月の返済額は下がりますか?

    連合会は借換保証を「現在の複数の借入金を1本にまとめて、長期で返済することで、毎月の返済額を少なくするための制度」と説明しています。月々の額が下がる仕組みとして書かれているのは返済期間を長くすることであり、支払う利息や保証料の総額がどうなるかについての記載は、当サイトが確認した同ページの範囲では記載なしです。また、利用できるかどうかは各信用保証協会・金融機関の判断です。

    プロパー融資も借換保証でまとめられますか?

    連合会の借換保証制度の説明は「複数の保証付融資の債務一本化等を促進する」となっており、プロパー融資を対象に含むとは書かれていません(記載なし)。同時に、同連合会は「借り換えできる保証制度とそうでないものがあります」とも明記しています。個別の可否は最寄りの信用保証協会に確認するよう案内されています。

    借換えると、払った信用保証料は戻りますか?

    東京信用保証協会は、借換保証を利用する場合に新たに発生する信用保証料から借り換えられる保証の返戻保証料を差し引いて支払うことができるとしたうえで、差引計算ができない場合を列挙しています(特定の制度融資、連帯債務、新規に発生する保証料が返戻額に満たない場合、返戻額が1,000円以下の場合など)。全国一律の扱いを示した記載は、当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした。各協会の公表内容を確認してください。

    公庫の借換えは、借換えだけを申し込めますか?

    公庫融資借換特例制度のページには「(注)原則として、既往の公庫融資の借換のほか、新規融資をご利用いただく必要があります」と明記されています。また「既往の融資については一部借換の対象にできないものもあります」とも記載されています。

    借換えで金利は下がりますか?

    公庫融資借換特例制度の利率欄は「適用した特別貸付制度に定める利率」としたうえで、「借換対象の貸付口の加重平均金利がご融資時の基準利率を上回る場合は、加重平均金利を適用します」と書いています。金利が下がると読める記載は同ページにはありません(記載なし)。信用保証協会の側も、保証料率は9区分から適用され具体的な数値は掲載されていない、という案内です。

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    最終更新:2026年9月29日/このページは公表されている一次情報(一般社団法人全国信用保証協会連合会、東京信用保証協会、日本政策金融公庫の各公式ページ)のみを根拠に作成しています。限度額・返済期間・利率・保証料の扱いは各公式ページの2026年9月29日時点の掲載値で、変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。利用の可否・条件は各信用保証協会、各金融機関および日本政策金融公庫の判断によります。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 経営者保証に関するガイドラインとは|個人保証を求められる場面と、公的資料が示す要件・説明の扱いを一次情報で確かめる

    経営者保証に関するガイドラインとは|個人保証を求められる場面と、公的資料が示す要件・説明の扱いを一次情報で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    法人で事業資金を借りようとすると、代表者個人が保証人になることを求められる場面があります。この「経営者保証」については「経営者保証に関するガイドライン」という文書が公表されており、金融庁の監督指針にも参照先として組み込まれています。

    ただしこの文書は法律ではありません。ガイドライン本文が自ら「法的拘束力はない」と書いています。では何が書かれていて、借りる側は申込みの前に何を確かめられるのか。ガイドラインの原本PDF(一般社団法人全国銀行協会が公表)、金融庁の公表資料、e-Gov法令検索の条文だけを根拠に整理します。個別の金融機関がどう対応するかには触れません。

    1. 誰が、いつ作った文書なのか

    「経営者保証に関するガイドライン」は、平成25年12月に経営者保証に関するガイドライン研究会の名で策定された文書です(原本PDF表紙の記載・2026年9月29日確認)。原本の「はじめに」によれば、平成25年1月に中小企業庁と金融庁が共同で「中小企業における個人保証等の在り方研究会」を設置し、同年8月に、行政当局の関与の下、日本商工会議所と全国銀行協会が共同でガイドライン研究会を設置した、という経緯です。原本はこの文書を「中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則として、策定・公表するものである」と位置づけています。公表の事実は金融庁の報道発表「『経営者保証に関するガイドライン』の公表について」(平成25年12月9日)でも確認でき、研究会が12月5日に公表したと記載されています(2026年9月29日確認)。

    第2項(経営者保証の準則)(1)の文言は次のとおりです(原本・2026年9月29日確認)。

    …中小企業団体及び金融機関団体の関係者が中立公平な学識経験者、専門家等と共に協議を重ねて策定したものであって、法的拘束力はないものの、主たる債務者、保証人及び対象債権者によって、自発的に尊重され遵守されることが期待されている。

    適用時期は第8項(1)に「平成26年2月1日から適用することとする」とあり、同項(3)は遡及的に適用されないことを明記しています。したがって「ガイドラインにこう書いてあるから金融機関はこうしなければならない」という読み方はできません。一方で、後述のとおり金融庁の監督指針がガイドラインを参照する形で改正されています。

    経営者保証に関するガイドライン研究会「経営者保証に関するガイドライン」(平成25年12月)表紙・はじめに・第2項・第8項 https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/adr/sme/guideline.pdf(掲載元=一般社団法人全国銀行協会「経営者保証ガイドライン」 https://www.zenginkyo.or.jp/adr/sme/guideline/)/金融庁「『経営者保証に関するガイドライン』の公表について」(平成25年12月9日) https://www.fsa.go.jp/news/25/ginkou/20131209-1.html(いずれも2026年9月29日確認)

    2. 適用対象になり得る保証契約の4つの要件

    第3項は「以下の全ての要件を充足する保証契約に関して適用されるものとする」として、4つを挙げています(原本・2026年9月29日確認)。

    要件原本に書かれている内容
    (1)保証契約の主たる債務者が中小企業であること
    (2)保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者であること(ただし書あり・下記)
    (3)双方が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること
    (4)双方が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと
    ガイドライン第3項(2026年9月29日確認)。「全ての要件を充足する」ことが前提として書かれています。

    (2)のただし書は、「特別の事情がある場合又はこれに準じる場合」として、実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者の配偶者(当該経営者と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が保証人となる場合と、経営者の健康上の理由のため事業承継予定者が保証人となる場合を、適用対象に含めています。

    「対象債権者」は、第1項で「中小企業に対する金融債権を有する金融機関等であって、現に経営者に対して保証債権を有するもの、あるいは、将来これを有する可能性のあるもの」と定義されています。特定の業態に限る旨の記載は原本にありません。貸金業者が提供する事業者向けローンの位置づけはビジネスローンとはで根拠法から整理しています。

    同ガイドライン 第1項・第3項 https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/adr/sme/guideline.pdf(2026年9月29日確認)

    3. 「経営者保証に依存しない融資」の項に書かれていること

    第4項(1)は、「主たる債務者が経営者保証を提供することなしに資金調達することを希望する場合には、まずは、以下のような経営状況であることが求められる」として、3つを挙げます(2026年9月29日確認)。

    • ① 法人と経営者との関係の明確な区分・分離=業務・経理・資産所有等に関し両者を明確に区分・分離し、法人と経営者の間の資金のやりとり(役員報酬・賞与、配当、オーナーへの貸付等)を社会通念上適切な範囲を超えないものとする体制を整備するなど、法人個人の一体性の解消に努める(外部専門家=公認会計士、税理士等による検証と開示が望ましい、とされています)。
    • ② 財務基盤の強化=財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により信用力を強化する。
    • ③ 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保=資産負債の状況(経営者のものを含む。)、事業計画や業績見通し及びその進捗状況等について正確かつ丁寧に開示・説明し、開示後に変動が生じた場合には自発的に報告する。

    第4項(2)は貸す側の対応です。対象債権者は「停止条件又は解除条件付保証契約、ABL、金利の一定の上乗せ等の経営者保証の機能を代替する融資手法のメニューの充実を図ることとする」と書かれ、脚注で停止条件付保証契約を「主たる債務者が特約条項(コベナンツ)に抵触しない限り保証債務の効力が発生しない保証契約」、解除条件付保証契約を「特約条項を充足する場合は保証債務が効力を失う保証契約」と定義しています。ABLの内容はABL(売掛債権・動産担保融資)を借りる前に確認することで別に扱っています。

    そのうえで同項は、次のイ)〜ホ)が将来に亘って充足すると見込まれるときは、経営状況・資金使途・回収可能性等を総合的に判断する中で、経営者保証を求めない可能性や代替的な融資手法を活用する可能性について検討する、としています。

    • イ)法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。
    • ロ)法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない。
    • ハ)法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。
    • ニ)法人から適時適切に財務情報等が提供されている。
    • ホ)経営者等から十分な物的担保の提供がある。

    原本の書き方は「検討する」であって、結論を定めるものではありません。イ)〜ホ)のうち何項目を満たせばどうなるかという基準も記載なしです。

    ガイドラインへの対応として制度を公表している例もあります。日本政策金融公庫(国民生活事業)の経営者保証免除特例制度は、制度ページに「『経営者保証に関するガイドライン』に対応する制度として、経営者の保証を不要とする融資を希望される方に対し…お取り扱いしています」と記載され、担保・保証人の欄は「ご融資にあたり、経営者の保証が免除されます」、利率の欄は「各種融資制度に定める利率(上乗せ利率はありません。)」となっています。利用できる方として7つの要件が列挙され、「一部ご利用いただけない融資制度があります」とも明記されています(2026年9月29日確認)。

    同ガイドライン 第4項(1)(2)および脚注6・7 https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/adr/sme/guideline.pdf/日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keitoku.html(いずれも2026年9月29日確認)

    4. 保証契約を結ぶときに説明することとされている3点

    第5項(1)は、経営者と保証契約を締結する場合に対象債権者が主たる債務者と保証人に対して「丁寧かつ具体的に説明すること」とする事項を、次の3つとしています(原本・2026年9月29日確認)。

    • イ)保証契約の必要性
    • ロ)原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること
    • ハ)経営者保証の必要性が解消された場合には、保証契約の変更・解除等の見直しの可能性があること

    第5項(2)は「形式的に保証金額を融資額と同額とはせず、保証人の資産及び収入の状況、融資額、主たる債務者の信用状況、物的担保等の設定状況、主たる債務者及び保証人の適時適切な情報開示姿勢等を総合的に勘案して設定する」としています。

    監督指針の改正で、説明の「記録」が着眼点に入った

    ここはガイドライン本文とは別の資料で確認できます。金融庁は令和4年12月23日、経済産業省・財務省と連携した「経営者保証改革プログラム」の策定を公表しました。同日、監督指針の一部改正も公表され、改正後の監督指針は令和5年4月1日から適用予定と記載されています(2026年9月29日確認)。

    「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」新旧対照表(金融庁公表PDF)のⅡ-3-2-1-2(主な着眼点)「契約時点等における説明」には、改正後の文言として次が置かれています。

    二.経営者等との間で保証契約を締結する場合には、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、以下の点について、主債務者と保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行うこととしているか、また、保証人に対し、下記に掲げる事項を踏まえた説明をした旨を確認し、その結果等を書面又は電子的方法で記録することとしているか(Ⅱ-10-2参照)。
    a.どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容(注)
    b.どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容(注)
    c.原則として、保証履行時の履行請求は、一律に保証金額全額に対して行うものではなく、保証履行時の保証人の資産状況等を勘案した上で、履行の範囲が定められること

    (注)は「『経営者保証に関するガイドライン』第4項(2)に掲げられている要素を参照の上、債務者の状況に応じた内容を説明。その際、可能な限り、資産・収益力については定量的、その他の要素については客観的・具体的な目線を示すことが望ましい」としています。第4項(2)=本記事3節のイ)〜ホ)です。

    改正前の同じ箇所は「a.保証契約の必要性」から始まる3項目で、a・bのような「個別具体の内容」の説明と「書面又は電子的方法で記録」の文言は置かれていませんでした(新旧対照表の「現行」欄で確認)。監督指針は借りる側に権利を与える条文ではありませんが、「なぜ今回は保証が必要なのか」「どう改善すれば見直しの可能性が高まるのか」を個別具体的に説明する態勢が監督上の着眼点として明記されていることは、公表資料から確認できます。

    金融庁「『経営者保証改革プログラム』の策定について」(令和4年12月23日) https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html/同「『中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針』等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について」(令和4年12月23日)と、同ページに掲載されている「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(新旧対照表)」PDF https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-4/20221223-4.html(いずれも2026年9月29日確認)

    5. 民法が定める保証のルールとの関係

    ガイドラインは法令ではありませんが、保証契約そのものには民法が適用されます(e-Gov法令検索・原文・2026年9月29日確認)。

    条文原文の内容
    第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」(第3項=電磁的記録による場合は書面によるものとみなす)
    第465条の6第1項事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約等は、締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない
    第465条の9前三条の規定は、保証人になろうとする者が法人の理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者、総株主の議決権の過半数を有する者等である保証契約については適用しない
    第465条の10第1項主たる債務者は、事業のために負担する債務の保証を委託するときは、委託を受ける者に対し、①財産及び収支の状況、②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、③主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときはその旨及びその内容に関する情報を提供しなければならない
    e-Gov法令検索「民法」の原文(2026年9月29日確認)。第465条の9は、経営者本人が保証人になる典型的な場面を公正証書の規定の適用除外としています。

    ここは実務上の分かれ目になります。第465条の6の公正証書は、第465条の9によって「法人の理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」等には適用されません。代表者本人が自社の借入れを保証する場合、条文上は公正証書の手続を経ずに保証契約が成立し得る、ということです。個人保証の側からの整理は保証人になる前に確認することにまとめています。

    なお第465条の10第1項の情報提供義務は主たる債務者(借りる法人の側)に課されるものです。同条第2項は、情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者が誤認して保証契約の意思表示をし、かつ債権者がそれを知り又は知ることができたときは、保証人が保証契約を取り消すことができると定めています(第3項により、保証をする者が法人である場合には適用されません)。

    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第446条・第465条の6・第465条の9・第465条の10 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月29日確認・取得した版=施行日2026年6月24日)

    6. 公表されている活用実績の数字

    金融庁は民間金融機関におけるガイドライン等の活用実績を集計して公表しています。最新の公表は令和8年6月26日付、対象は2025年度、集計対象は資料の注記によれば合計529機関(主要行等9行、その他銀行24行、地域銀行97行、信用金庫255金庫、信用組合144組合)です(2026年9月29日確認)。

    項目(資料の表記)2024年度2025年度
    新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資の件数の割合52.9%55.7%
    新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資の件数と有保証融資のうち適切な説明を行い記録した融資の件数との合計の割合99.5%99.9%
    メイン行としてガイドラインに基づく保証債務整理を成立させた件数372件375件
    金融庁「民間金融機関における『経営者保証に関するガイドライン』等の活用実績」(令和8年6月26日公表・2025年度実績)。資料の注記により「経営者保証に依存しない融資」=「無保証融資」及び「経営者保証の代替的な融資手法を活用した融資」、「代替的な融資手法」=「停止条件付保証契約」「解除条件付保証契約」「ABL」。割合は小数点以下第2位を四捨五入した値と注記されています。

    この数字は件数ベースの全国集計であって、特定の事業者や特定の融資について保証なしになる見込みを示すものではありません。同資料に業種別・規模別の内訳や、申込みに対する結果の内訳は掲載されていません(記載なし)。

    金融庁「『経営者保証に関するガイドライン』等の活用実績について」(令和8年6月26日) https://www.fsa.go.jp/news/r7/ginkou/20260626/20260626.html/同ページ掲載の集計表PDF https://www.fsa.go.jp/news/r7/ginkou/20260626/2603.pdf/関連施策の一覧=金融庁「経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策等について」 https://www.fsa.go.jp/policy/hoshou_jirei/index.html(いずれも2026年9月29日確認)

    7. 既存の保証と、事業承継のときの扱い

    第6項(1)は、既存の保証契約の解除等の申入れがあった場合に、対象債権者は第4項(2)又は第5項に即して改めて経営者保証の必要性や適切な保証金額等について真摯かつ柔軟に検討を行うとともに、検討結果を丁寧かつ具体的に説明することとする、と書いています。同項(2)の事業承継時の対応では、前経営者が負担する保証債務について「後継者に当然に引き継がせるのではなく、必要な情報開示を得た上で、第4項(2)に即して、保証契約の必要性等について改めて検討する」こととされています(2026年9月29日確認)。

    第7項は、主たる債務の整理局面における保証債務の整理の準則です。本記事は「これから借りる前」の確認を主題としているため立ち入りません。全国銀行協会の同じページには、事業承継時の特則・廃業時の基本的考え方・Q&A・課税関係のQ&Aも別PDFとして掲載されています(2026年9月29日確認)。

    同ガイドライン 第6項・第7項/一般社団法人全国銀行協会「経営者保証ガイドライン」(掲載文書の一覧) https://www.zenginkyo.or.jp/adr/sme/guideline/(2026年9月29日確認)

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    よくある質問

    ガイドラインに従わない金融機関は法律違反になりますか?

    ガイドライン本文が第2項(1)で「法的拘束力はないものの、…自発的に尊重され遵守されることが期待されている」と明記しています。ガイドライン自体の不遵守を違法とする記載は、当サイトが確認した一次情報の範囲では記載なしです。一方で金融庁は、監督指針の「主な着眼点」にガイドラインに基づく説明と記録の態勢を置いています(令和4年12月23日公表・令和5年4月1日適用)。これは金融庁が金融機関を監督するうえでの枠組みです。

    要件を満たせば経営者保証なしで借りられますか?

    そのような記載は原本にありません。第4項(2)は、イ)〜ホ)の要件が将来に亘って充足すると見込まれるときに、経営状況・資金使途・回収可能性等を総合的に判断する中で「経営者保証を求めない可能性…について、主たる債務者の意向も踏まえた上で、検討する」と書いています。何項目を満たせばどうなるかという基準も記載なしです。

    代表者が保証人になるとき、公正証書は必要ですか?

    民法第465条の6第1項は、事業のために負担した貸金等債務の保証契約について公正証書による意思表示を効力要件としていますが、同第465条の9は、保証人になろうとする者が「主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」等であるときは前三条の規定を適用しないと定めています。条文上、代表者本人が自社の借入れを保証する場合はこの適用除外に当たり得ます。個別の契約がどの号に当たるかの判断は当サイトでは扱いません。

    信用保証協会の保証付き融資でも経営者保証の話は出てきますか?

    制度そのものは信用保証協会の保証付き融資とはにまとめています。全国信用保証協会連合会の「信用保証料」ページには、事業者選択型経営者保証非提供制度を利用する場合に信用保証料率が割増となる旨の記載があります。具体的な料率の数値は同ページに掲載されていません(記載なし)。

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    最終更新:2026年9月29日/このページは公表されている一次情報(経営者保証に関するガイドライン原本PDF=一般社団法人全国銀行協会掲載、金融庁の報道発表および公表資料、e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。数値・条番号・文言は各公式ページの2026年9月29日時点の掲載内容で、変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。経営者保証に関するガイドラインは法令ではなく、本文自身が法的拘束力はないと明記している自主的自律的な準則です。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 資金繰り表の作り方|日本政策金融公庫が公表している様式の記入項目と記入例の手順をそのまま確認する

    資金繰り表の作り方|日本政策金融公庫が公表している様式の記入項目と記入例の手順をそのまま確認する

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    資金繰り表は、様式を自分で考える必要のない書類です。先に結論:日本政策金融公庫が様式そのものをExcel・Wordで公表していて、同じページに「記入例」ファイルも置かれており、そこには埋める順番が手順①〜⑦として書き込まれています。行の名前も、合計の出し方も、決めるところは残っていません。

    この記事は、公庫の「各種書式ダウンロード」から資金繰り表の様式ファイル4本を実際に取得し、ファイルの中の行名・算式・注意文・記入例の数値を原文どおり転記した記録です(2026年9月13日確認)。審査での評価のされ方や、通し方の解説は行いません。また、民間のビジネスローンで資金繰り表が求められるかどうかは各社が定めるもので、公表された一覧が存在しないため扱いません(記載なし)。

    1. 資金繰り表は「提出書類の一覧」には出てこない

    先に位置づけを確かめておきます。公庫の「お手続きの流れ 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」には「ご準備いただく書類」の一覧が掲載されていますが、そこに並ぶのは創業計画書・企業概要書・確定申告書(一式)・決算書一式・試算表・見積書・電子契約サービス利用申込書・送金先の預金通帳・法人の履歴事項全部証明書・本人確認書類・許認可証等です。このページに「資金繰り」という語は1箇所も出てきません(2026年9月13日にページ全文を機械的に計数して0箇所)。

    信用保証協会側も同じです。全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」の「お申込時の主な提出書類」は7点(信用保証委託申込書(保証人等明細)/申込人(企業)概要/信用保証依頼書/個人情報の取扱いに関する同意書/確定申告書(決算書)/商業登記簿謄本/印鑑証明書)で、ここにも資金繰り表はありません。書類名の一覧は事業資金の借入れに必要な書類一覧にまとめています。

    では資金繰り表は何なのか。公庫が配布ページに書いている説明文は一文だけです。

    • 「資金繰り計画を策定する場合に、ご記入いただくものです。」(各種書式ダウンロード・資金繰り表の項)
    • 「資金繰り表の記入例です。」(同・記入例の項)

    そして本体版(Excel)と簡易版(Excel・Word)の冒頭には、こう書かれています(原文・2026年9月13日確認。記入例のファイルにこの注意文はありません)。

    • 「この書類は、お客さまのご商売の状況の確認に活用させていただきます。お手数ですが、可能な範囲でご記入いただき、ご提出ください(この書類に代わる資料を作成されていれば、そちらをご提出いただいてもかまいません。)。」
    • 「なお、この書類はお返しできませんので、あらかじめご了承ください。」

    つまり「可能な範囲で」「これに代わる資料があればそれでもよい」という位置づけの書類です。一方で、面談については公庫のページに「資金のお使いみちや事業計画などについてお話を伺います」「ご面談の際は、事業計画に関連する資料や資産・負債がわかる書類などをご準備いただきます」と書かれており、保証協会側も「審査過程において、訪問や面談を行う場合があります」としています。提出物の一覧に名前が無い書類が、面談の席では役に立つ、という関係になります。

    日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html/同「お手続きの流れ 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html/一般社団法人全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」 https://www.zenshinhoren.or.jp/flow/(いずれも2026年9月13日確認)

    2. 公庫が配っている様式は4ファイル

    「各種書式ダウンロード」の「各種書式」の中に、資金繰り表として置かれているファイルは次の4本です。いずれも2026年9月13日にHTTP 200で取得できました。

    ページ上の名称形式ファイル名取得サイズ
    資金繰り表Excelsikinguri_181120.xlsx26,730バイト
    資金繰り表(簡易版)Wordsikinguri_181120_1.docx24,678バイト
    資金繰り表(簡易版)Excelsikinguri_181120_2.xlsx24,790バイト
    資金繰り表(記入例)Excelsikinguri_rei181120.xlsx46,973バイト
    日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(国民生活事業)」から2026年9月13日に取得。ファイル名・サイズは実測値。

    本体版はExcelのみ、簡易版はWordとExcelの両方が置かれています。手書きで埋めたい場合はWordの簡易版、計算を任せたい場合はExcelという選び方ができます。Excel版は合計欄が式になっているため、各月の金額を入れれば残りは動きます。

    日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html(2026年9月13日確認)

    3. 様式に印字されている行の名前(全行)

    本体版(sikinguri_181120.xlsx)をExcelで開いたときに並んでいる行を、上から原文どおり並べます。カッコつきの記号(A)〜(G)も様式に印字されているものです。

    区分行の名前(原文)
    —売上高
    —(参考)前年同月の売上高
    —前月繰越金 (A)
    経常収支/収入現金売上
    売掛金回収
    受取手形入金・割引
    (行の名前が印字されていない1行。ファイル内部の集計欄には「その他」と入っている)
    計 (B)
    経常収支/支出現金仕入
    買掛金支払
    手形決済
    外注加工費
    人件費
    諸経費
    支払利息
    (行の名前が印字されていない1行。同じく内部の集計欄は「その他」)
    計 (C)
    —差引過不足 (B)-(C)=(D)
    経常外収支経常外収入
    経常外支出
    計 (E)
    財務収支収入/借入金(当公庫)
    収入/借入金
    支出/借入金返済(短期)
    支出/借入金返済(長期)
    財務収支計 (F)
    —翌月繰越金 (A)+(D)+(E)+(F)=(G)
    記入欄(売上高、売上原価、経費等の算出根拠)
    公庫側の欄(公庫処理欄)
    日本政策金融公庫「資金繰り表」(sikinguri_181120.xlsx・2026年9月13日取得)に印字されている行名。空欄の行はセルに文字が入っていないため、その旨を注記した。

    上の表に無い行はありません。ファイル内の文字列を全部取り出しても、行名は上記のものだけでした。科目を自分で設計する場所は無く、書き足す余地があるのは名前の無い2行と、いちばん下の「算出根拠」欄だけです。

    ヘッダの作りも決まっています。本体版は、左端の列が【実績】、その右に【予定】が11列並び、実績1ヵ月+予定11ヵ月=12ヵ月を1枚に書く形です。実績月の月名を入れるセルは1〜12から選ぶ入力リストになっていて、右隣以降の月名は自動で繰り上がります。右端に「合計」と「(月平均)」の列があり、その上に「損益期間 ヵ月」の入力欄があります。

    日本政策金融公庫「資金繰り表」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_181120.xlsx(2026年9月13日取得)

    4. 合計の出し方は、様式の式そのまま

    Excel版の計算式をそのまま日本語にすると、覚えることは6本しかありません。

    欄様式に入っている計算
    収入 計 (B)現金売上+売掛金回収+受取手形入金・割引+名前の無い1行(4行の合計)
    支出 計 (C)現金仕入+買掛金支払+手形決済+外注加工費+人件費+諸経費+支払利息+名前の無い1行(8行の合計)
    差引過不足 (D)(B)−(C)
    経常外収支 計 (E)経常外収入−経常外支出
    財務収支計 (F)(借入金(当公庫)+借入金)−(借入金返済(短期)+借入金返済(長期))
    翌月繰越金 (G)(A)+(D)+(E)+(F)
    日本政策金融公庫「資金繰り表」(sikinguri_181120.xlsx)に入っている数式を読み替えたもの(2026年9月13日取得)。

    もう1本、様式の中で重要な配線があります。ある月の「翌月繰越金 (G)」が、そのまま次の月の「前月繰越金 (A)」のセルに入る式になっている点です。12ヵ月が数珠つなぎになっているので、途中の月の見込みを1つ書き換えると、それ以降の月末残高が全部動きます。資金繰り表が「並べた瞬間に分かる」道具になっているのは、この連結のためです。

    なお「合計」「(月平均)」の列については、前月繰越金 (A) の行だけは合計・月平均が「―」(ダッシュ)、翌月繰越金 (G) の行も合計が「-」になっています。残高は足し上げる意味がないため、様式の側で塞いであります。月平均は「合計 ÷ 損益期間(ヵ月)」で計算されます。

    日本政策金融公庫「資金繰り表」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_181120.xlsx(2026年9月13日取得)

    5. 埋める順番は「記入例」に手順①〜⑦として書かれている

    「資金繰り表(記入例)」のファイルには、表の右側に吹き出しが7つ配置されていて、それぞれに手順が書かれています。原文のまま引用します(2026年9月13日確認)。

    手順記入例に書かれている文(原文)書き込む欄
    ①「直近1ヵ月分の売上高を記入します。次月以降については、確定している分、過去の実績や季節性等を考慮し、予定している売上高を月次で記入します。参考として前年の同月の売上高と比較をしながら記入をします。」売上高/(参考)前年同月の売上高
    ②「「決算書」、「試算表」、「総勘定元帳」等を確認して、期首の残高を記入します。個人のお客さまの場合は、期首の預金通帳の残高等を記入します。」前月繰越金 (A)
    ③「前月の実績の金額を記入していただき、それ以降の予測売上に対する予測回収金額を月次単位で記入します。」経常収支/収入
    ④「前月の実績の金額を記入していただき、それ以降の予測仕入、外注費等の予測支出金額を月次単位で記入します。」経常収支/支出
    ⑤「経常外の収入(投資収入や設備売却で得た収入など)又は支出(投資や設備購入に伴う支出など)について、前月の実績の金額を記入していただき、それ以降の予定の金額を月次単位で記入します。」経常外収支
    ⑥「返済予定表等から借入予定金額、支払予定金額を月次単位で記入します。新規で借入する予定分の支払金額についても同様に記入します。」財務収支
    ⑦「資金繰り表に記入した売上高、経常収支及び経常外収支等の欄に記入した算出根拠を記載します。」(売上高、売上原価、経費等の算出根拠)
    日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」(sikinguri_rei181120.xlsx・2026年9月13日取得)内のテキストボックスの原文。「書き込む欄」は各吹き出しが指している行を実測して補ったもの。

    手順の文が名指ししている資料をそのまま拾うと、決算書・試算表・総勘定元帳・(個人事業主は)預金通帳・返済予定表になります。手順③〜⑤にはいずれも「前月の実績の金額を記入していただき、それ以降の…月次単位で記入します。」という同じ言い回しが含まれており、実績の1列を埋めてから予定の列に進むという順番が繰り返し書かれています。

    これらの資料は、借入の申込みで別途求められるものと重なります。公庫の必要書類では試算表について「決算後6カ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方のみ、ご準備をお願いします」と条件が付されています。

    日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_rei181120.xlsx/同「お手続きの流れ 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html(いずれも2026年9月13日確認)

    6. 記入例に入っている数値を、そのまま4ヵ月分追う

    記入例ファイルには、1月の【実績】と2月〜4月の【予定】まで数値が入力された状態で配布されています。以下はその入力値をそのまま転記したものです。当サイトが作った数値は1つも含みません。なおこのファイルには単位の記載がありません(簡易版には「(単位:千円)」の記載があります)ので、単位を伏せたまま並べます。

    行1月【実績】2月【予定】3月【予定】4月【予定】
    売上高47,98137,00045,00046,000
    (参考)前年同月の売上高35,96737,90550,49146,548
    前月繰越金 (A)39,84718,46834,64323,484
    現金売上0000
    売掛金回収40,23351,00043,20033,300
    受取手形入金・割引6,0004,1004,4005,000
    収入 計 (B)46,23355,10047,60038,300
    現金仕入0000
    買掛金支払5,3215,5845,0005,000
    手形決済11,49121,94121,45912,542
    外注加工費13,80014,40015,00013,500
    人件費8,5008,5008,5008,500
    諸経費6,5006,5006,5006,500
    支出 計 (C)45,61256,92556,45946,042
    差引過不足 (D)621−1,825−8,859−7,742
    経常外収入0000
    経常外支出20,000000
    経常外収支 計 (E)−20,000000
    借入金(当公庫)010,00000
    借入金010,00000
    借入金返済(短期)0000
    借入金返済(長期)2,0002,0002,3002,300
    財務収支計 (F)−2,00018,000−2,300−2,300
    翌月繰越金 (G)18,46834,64323,48413,442
    日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」(sikinguri_rei181120.xlsx・2026年9月13日取得)に入力されている値。同ファイルに単位の記載はない。5月以降の列は空欄のため省いた。

    この4ヵ月を追うと、様式が何を見せる道具なのかが分かります。

    • 売上高と入金は同じ額にならない。3月の売上高は45,000ですが、その月の収入 計 (B) は47,600です。入ってくるのは前の月に売った分の回収だからです。
    • 差引過不足 (D) は3ヵ月連続でマイナス(2月 −1,825/3月 −8,859/4月 −7,742)。それでも翌月繰越金 (G) は13,442まで残っています。2月に借入金(当公庫)10,000と借入金10,000を入れた財務収支計 (F) 18,000が、前月繰越金を押し上げているためです。
    • 1月は差引過不足 (D) が621のプラスなのに、翌月繰越金は39,847から18,468へ減っている。経常外支出20,000と長期の借入金返済2,000が効いています。経常の収支と、設備等の支出・借入の返済を別の段に分けている様式なので、どちらで減ったのかが1枚で見えます。
    • 前月繰越金 (A) の列を横に読むと 39,847 → 18,468 → 34,643 → 23,484 と続き、それぞれ前の月の翌月繰越金 (G) と一致しています。

    返済額をいくらに置くかは、この表の (F) の行に直接効きます。売上に対する返済の比率の考え方は返済比率の計算、毎月の返済額の試算は返済シミュレーターで確認できます。

    日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_rei181120.xlsx(2026年9月13日取得)

    7. 本体版・簡易版・記入例は、列数と行数が違う

    同じ「資金繰り表」の名前でも、3つのファイルは中身が揃っていません。取り違えないよう、実測した差を並べます。

    項目資金繰り表(本体)資金繰り表(簡易版)資金繰り表(記入例)
    形式ExcelWord/ExcelExcel
    月の列実績1+予定11=12ヵ月実績1+予定6=7ヵ月実績1+予定8=9ヵ月
    単位の記載記載なし(単位:千円)記載なし
    支出の「支払利息」行あり(支出計は8行の合計)なし(支出計は7行の合計)なし
    合計・月平均の列あり(月平均=合計÷損益期間)あり(月平均の分母は7で固定)なし
    「損益期間 ヵ月」欄ありなしなし
    3ファイルを開いて実測した差(2026年9月13日)。行名の並び(売上高〜翌月繰越金)は、支払利息の行の有無と記号 (E)(F)(G) の全角・半角の違いを除いて共通。冒頭の注意文は本体版・簡易版(Excel・Word)にあり、記入例には無い。

    手順①〜⑦の吹き出しが入っているのは記入例だけで、提出用に使うのは本体版か簡易版です。記入例は9ヵ月、本体版は12ヵ月と列数が違うため、記入例の見た目をそのまま自社の表として使うと列が合いません。手順は記入例から読み、数字は本体版か簡易版に入れる、という使い分けになります。

    何ヵ月分を提出すればよいかについては、公庫のページにも様式にも指定の記載がありません(記載なし)。確認できるのは様式が用意している列数(12/7)だけです。

    日本政策金融公庫「資金繰り表」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_181120.xlsx/同「資金繰り表(簡易版・Excel)」 https://www.jfc.go.jp/n/service/xls/sikinguri_181120_2.xlsx/同「資金繰り表(簡易版・Word)」 https://www.jfc.go.jp/n/service/doc/sikinguri_181120_1.docx(いずれも2026年9月13日取得)

    8. 手を動かす前に机に出すもの

    記入例の手順が名指ししている資料を、手順の順番どおりに並べ替えると、作業の入口が決まります。

    順机に出すもの(記入例の文に出てくるもの)埋まる行
    1直近1ヵ月の売上高と、前年同月の売上高が分かる資料売上高/(参考)前年同月の売上高
    2決算書・試算表・総勘定元帳(個人事業主は預金通帳の残高等)前月繰越金 (A)
    3売掛金・受取手形の回収予定が分かるもの現金売上/売掛金回収/受取手形入金・割引
    4仕入・外注費・人件費・諸経費の支払予定が分かるもの現金仕入〜支払利息
    5設備の購入・売却の予定が分かるもの経常外収入/経常外支出
    6返済予定表(新規の借入予定も同様に)借入金(当公庫)/借入金/借入金返済(短期)(長期)
    7上の数字をどう見積もったかのメモ(売上高、売上原価、経費等の算出根拠)
    日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」の手順①〜⑦に出てくる資料名を、手順の順に並べたもの(2026年9月13日確認)。資料名は原文にあるものだけを太字にした。

    返済予定表が手順⑥で名指しされているのは、財務収支の欄が予定の金額を書く欄だからです。公庫のページは返済方法について「ご返済は原則として月賦払いです」「ご返済方法は、元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済などがあります」と記載しています。どの方法かで各月の返済額の並びが変わるため、(F) の行の形も変わります。

    そして最後の欄、手順⑦の「算出根拠」は、様式の中で自分の言葉を書く場所です。他の欄は数字しか入りません。

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    よくある質問

    資金繰り表の様式は、どこで手に入りますか?

    日本政策金融公庫の「各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」の「各種書式」内に、「資金繰り表・資金繰り表(簡易版)」と「資金繰り表(記入例)」として計4ファイル(Excel 3本・Word 1本)が公表されています(2026年9月13日確認)。

    資金繰り表は提出しなければいけない書類ですか?

    公庫が公表している「ご準備いただく書類」の一覧に資金繰り表の記載はありません(同ページに「資金繰り」の語は0箇所・2026年9月13日確認)。公庫の配布ページの説明は「資金繰り計画を策定する場合に、ご記入いただくものです。」の一文で、本体版と簡易版の冒頭には「可能な範囲でご記入いただき、ご提出ください(この書類に代わる資料を作成されていれば、そちらをご提出いただいてもかまいません。)」と書かれています。信用保証協会側の「お申込時の主な提出書類」7点にも資金繰り表はありません。

    何ヵ月分を作ればよいのですか?

    月数を指定した記載は、公庫のページにも様式の中にも見当たりませんでした(記載なし)。確認できるのは様式が用意している列数で、本体版が実績1ヵ月+予定11ヵ月=12ヵ月、簡易版が実績1ヵ月+予定6ヵ月=7ヵ月、記入例が実績1ヵ月+予定8ヵ月=9ヵ月です(2026年9月13日実測)。

    単位は千円ですか、円ですか?

    簡易版(Word・Excel)には「(単位:千円)」の記載があります。一方、本体版と記入例のファイルには単位の記載がありません(記載なし・2026年9月13日実測)。

    行の科目を増やしたいのですが。

    本体版の様式に印字されている行名は本記事の第3節の一覧どおりで、それ以外の行名はファイル内に存在しません。収入側と支出側にそれぞれ行名が印字されていない行が1つずつあり(ファイル内部の集計欄には「その他」と入力されています)、この2行は合計の計算に含まれています。また本体版と簡易版の冒頭に「この書類に代わる資料を作成されていれば、そちらをご提出いただいてもかまいません。」との記載があります(2026年9月13日確認)。

    提出した資金繰り表は返してもらえますか?

    本体版と簡易版(Excel・Word)の冒頭に「なお、この書類はお返しできませんので、あらかじめご了承ください。」と記載されています(2026年9月13日確認)。


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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(日本政策金融公庫が配布している資金繰り表の様式ファイル4本=Excel・Word の中身、同公庫の公式ページ、一般社団法人全国信用保証協会連合会の公式ページ)のみを根拠に作成しています。行名・算式・手順の文・記入例の数値は、配布ファイルを2026年9月13日に取得して読み取った実測値で、様式が改訂されることがあります。第6節の数値は公庫の記入例ファイルに入力されている値をそのまま転記したもので、当サイトが作成した数値や実在の企業の数値は含みません。提出が求められる月数、本体版・記入例の単位、資金繰り表の提出が必要となる場面については確認できなかったため「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上・税務上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

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    期限の利益の喪失とは|民法第137条と、貸金業法17条書面に書かれる「期限の利益の喪失の定め」

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    毎月きちんと分割で返していたものが、ある時点から「残り全額をまとめて」という請求に変わる。この切り替えを起こしているのが期限の利益の喪失です。先に結論:民法が喪失を定めているのは3つの場合だけ(第137条第1号〜第3号)で、そのほかは契約に置かれた「期限の利益の喪失の定め」によります。そしてその定めは、貸金業者との契約なら契約を締結するまでに交付される書面の記載事項として条文に位置づけられています(貸金業法第16条の2第1項。原文が対象としているのは「貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)」で、同項第7号→同法施行規則第12条の2第1項第1号チ。極度方式基本契約は同条第2項第6号→同規則第12条の2第2項第1号チ)。

    この記事は、e-Gov法令検索の法令API(民法・貸金業法・貸金業法施行規則・利息制限法)から条文を取得し、どの条・どの項・どの号に何が書かれているかを原文どおりに整理した記録です(2026年9月13日確認)。届いた書面への対応、判例の評価、個別の契約の有効性については扱いません。

    1. 「期限の利益」は、条文上どう定義されているか

    民法は、期限の効果と利益を第135条・第136条で定めています。

    第135条(期限の到来の効果)第1項は「法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。」と定めます。期限が来るまでは請求されない、という状態そのものが条文に書かれているわけです。

    そのうえで第136条(期限の利益及びその放棄)が置かれています。

    条文原文
    民法第136条第1項期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
    民法第136条第2項期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第136条の原文(2026年9月13日確認)。

    読みどころは第1項の「債務者の利益のために」です。期限は借りた側の利益として推定される、と条文が書いています。第135条第1項は、始期付きの法律行為について「期限が到来するまで、これを請求することができない」と定めています。第136条第1項が期限を債務者の利益と推定し、第137条がその利益を「主張することができない」場合を列挙する、という並びです。次節の第137条は、まさに「期限の利益を主張することができない」という書き方で作られています。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    2. 民法が定める「喪失」は3つの場合だけ(第137条)

    民法第137条は、見出しがそのまま「(期限の利益の喪失)」です。柱書は「次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。」で、続く号は3つで終わっています(第4号以降は存在しません)。

    号原文
    第1号債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
    第2号債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
    第3号債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
    e-Gov法令検索「民法」第137条の原文(2026年9月13日確認)。第2号・第3号はいずれも担保に関する場合。

    ここで目を引くのは、「返済が遅れたとき」が条文に挙がっていないことです。第137条に並ぶのは破産手続開始の決定と、担保をめぐる2つの場合だけ。条文の言い方も「喪失する」ではなく「期限の利益を主張することができない」です。

    3つのうち2つ(第2号・第3号)が担保に関する場合です。担保を出して借りるときは、担保の内容そのものも貸金業者の交付する書面の記載事項になっています(第5節でその位置を示します)。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    3. 実際の引き金は契約の「定め」=条文がその存在を前提にしている

    では、返済の遅れをきっかけにした一括請求はどこから来るのか。条文のたどり方はこうなります。

    貸金業法第17条(契約締結時の書面の交付)第1項は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。)を締結したときに交付する書面の記載事項を第1号から第8号まで列挙しています。第1号「貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所」、第2号「契約年月日」、第3号「貸付けの金額」、第4号「貸付けの利率」、第5号「返済の方式」、第6号「返済期間及び返済回数」、第7号「賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容」、そして第8号が「前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項」です。

    この第8号を受けているのが貸金業法施行規則第13条第1項で、柱書は「法第十七条第一項第八号に規定する内閣府令で定める事項は、次の各号に掲げる貸付けに係る契約の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。」。その第1号(金銭の貸付けに係る契約)はイからソまで18個の細目を並べており、10番目のヌが該当箇所です。

    位置原文
    貸金業法施行規則
    第13条第1項第1号ヌ
    期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容(旧利息制限法第一条第一項に規定する利率を超えない範囲においてのみ効力を有する旨を含む。)(極度方式貸付けに係る契約であつて当該契約で定める利息の額が旧利息制限法第一条第一項に定める利息の制限額を超えないものを締結する場合において、法第十七条第二項の規定により交付する書面に記載されているとき、又は記載されているものより契約の相手方に有利なものであるときは、記載を省略することができる。)
    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第13条第1項第1号ヌの原文(2026年9月13日確認)。

    注目したいのは「定めがあるときは」という条件つきの書き方です。法令の側が喪失事由を作っているのではなく、契約に定めが置かれる場合があることを前提に、その内容を書面に書かせているという構造になっています。つまり、返済の遅れで一括請求に変わるかどうか、変わるとして何が引き金になるかは、この「定め」の側に書かれているということです。

    書面の交付義務そのものの全体像(契約前と契約時の2回・保証人向けの書面・電磁的方法)は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務にまとめています。本記事はそのうち1つの記載事項の中身だけを見ています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    4. その定めは「契約を締結するまでに」読める

    ここが借りる前の確認として一番効く点です。同じ「期限の利益の喪失の定め」は、契約時の書面より前に交付される書面の記載事項にもなっています。

    貸金業法第16条の2(契約締結前の書面の交付)第1項の柱書は「貸金業者は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)を締結しようとする場合には、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにし、当該契約の内容を説明する書面を当該契約の相手方となろうとする者に交付しなければならない。」。第1号から第7号まであり、第7号が「前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項」です。

    これを受ける貸金業法施行規則第12条の2第1項の第1号は、イからヌまで10個の細目を並べています。うち8番目のチが次の一文です。

    位置原文
    貸金業法施行規則
    第12条の2第1項第1号チ
    期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容
    (参考)同項第1号ト契約上、返済期日前の返済ができるか否か及び返済ができるときは、その内容
    (参考)同項第1号ヘ各回の返済期日及び返済金額の設定の方式
    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」第12条の2第1項第1号の原文(2026年9月13日確認)。契約締結時の書面(第13条)側と違い、括弧書のない素の形。

    契約前の書面の側は、括弧による省略の許容がなく、一文だけの素の形です。極度方式基本契約(枠を設定する型の契約)の場合も、第12条の2第2項第1号チに同じ一文が置かれています。

    つまり条文上は、第16条の2第1項が対象とする契約(貸付けに係る契約から極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除いたもの)と、同条第2項の極度方式基本契約について、署名する前の段階で、喪失の条件と内容が書かれた書面が手元に来る建前になっています。金利の表示の読み方は実質年率とは、返済額の見え方は返済シミュレーターで確認できますが、この条項は金額の計算ではなく「いつ全額になるか」の条件にあたる部分です。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    5. 同じ定めが載る書面は1種類ではない

    条文を横に並べると、「期限の利益の喪失の定め」は複数の書面の記載事項として繰り返し登場します。実査で条・項・号まで特定できたのは次の7か所です(施行規則の条文XMLで「期限の利益の喪失」の語が現れるのは、この7か所)。

    書面法の根拠府令の位置
    契約締結前の書面貸金業法第16条の2第1項第7号規則第12条の2第1項第1号チ
    契約締結前の書面(極度方式基本契約)貸金業法第16条の2第2項第6号規則第12条の2第2項第1号チ
    保証契約締結前の書面(保証の対象となる貸付けに係る契約の定め)貸金業法第16条の2第3項第4号規則第12条の2第4項第1号カ
    保証契約締結前の書面(保証契約自体の定め)貸金業法第16条の2第3項第6号規則第12条の2第6項第8号
    契約締結時の書面貸金業法第17条第1項第8号規則第13条第1項第1号ヌ
    契約締結時の書面(極度方式基本契約)貸金業法第17条第2項第7号規則第13条第3項第1号ヌ
    一定期間の取引状況を記載した書面貸金業法第17条第6項規則第13条第17項第1号レ
    e-Gov法令検索「貸金業法」「貸金業法施行規則」から取得した条文の対応(2026年9月13日確認)。

    最後の「取引状況を記載した書面」は、極度方式貸付けで個別の契約書面に代えて交付できる型の書面です。その柱書は、記載に用いる文字について「日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に」と定めています。

    担保を出す場合は、同じ第13条第1項第1号のルが「当該契約に基づく債権につき物的担保を供させるときは、当該担保の内容」を記載事項としています。民法第137条第2号・第3号が担保の場合を挙げていることと合わせて読むと、担保付きの借入れでは、担保の内容と喪失の定めの両方が同じ書面に並ぶことになります。

    保証人が付く契約では、貸金業法第17条第4項が「貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結したとき、又は貸付けに係る契約で保証契約に係るものを締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、第一項各号に掲げる事項についてこれらの貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面をこれらの保証契約の保証人に交付しなければならない。」と定めています。保証契約そのものの書面についても、規則第12条の2第6項第8号が「保証契約に期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」を挙げています。保証の側の論点は保証人になる前に確認することにまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    6. 喪失した後、条文の上では何が動くか

    民法第137条が書いているのは「次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。」までです。そこから先=一括請求や遅延損害金の起算がどうなるかは、第137条にも、次に引く第412条・第419条にも書かれていません。実際にどうなるかは、契約書の「期限の利益の喪失の定め」の内容と、民法第412条・第419条の要件に当たるかどうかで個別に決まります。以下は、その要件の側の条文です。

    第412条(履行期と履行遅滞)第1項は「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」、第3項は「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」です。

    遅滞の責任の中身は第419条(金銭債務の特則)が定めています。第1項は「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」、第2項は「前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。」です。

    この損害賠償の額の上限には利息制限法の制限(第4条・第7条)がかかりますが、その数値と条文は遅延損害金の上限は法律で決まっているで扱っているため、本記事では数値を再掲しません。また、支払を求める側の行為には貸金業法第21条の規制があり、こちらは違法な取り立ての基準にまとめています。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月13日確認)

    7. 借りる側から手放す場合=期限の利益の放棄と繰上返済

    期限の利益は、失うだけのものではありません。民法第136条第2項が「期限の利益は、放棄することができる。」と定めており、これが繰上返済の側の話につながります。

    消費貸借については第591条(返還の時期)が置かれています。

    条文原文
    民法第591条第1項当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
    民法第591条第2項借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
    民法第591条第3項当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
    e-Gov法令検索「民法」第591条の原文(2026年9月13日確認)。

    第2項と第3項は、セットで読む条文です。期限前に返すこと自体は「いつでも」と書かれており、その一方で、期限前の返還によって貸主に損害が出た場合の賠償請求が第3項に用意されています。第136条第2項のただし書「これによって相手方の利益を害することはできない。」と同じ向きの規定です。

    そして契約の側の扱いは、やはり書面の記載事項になっています。貸金業法施行規則第13条第1項第1号リは「契約上、返済期日前の返済ができるか否か及び返済ができるときは、その内容」を記載事項とし、契約前の書面でも第12条の2第1項第1号トに同じ一文が置かれています。早めに返す前提で借りるなら、契約前の書面のこの行を見ることになります。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    8. 条文からは確認できなかったこと

    実査の範囲で特定できなかった項目は、推測で埋めずにそのまま書き出します。

    • 「旧利息制限法第一条第一項に規定する利率」の数値=記載なし。 規則第13条第1項第1号ヌの括弧書はこの利率を参照していますが、「旧利息制限法」とは規則第12条の2第4項第1号カが定義するとおり「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)第五条の規定による改正前の利息制限法(昭和二十九年法律第百号)」です。e-Gov法令検索が収録している利息制限法は、その改正法による2010年6月18日施行の版だけで(法令APIのリビジョン情報が1件)、改正前の条文は取得できませんでした。よって数値は書きません。
    • 「何日滞納したら喪失するか」=記載なし。 日数や回数を定めた条文は、実査した民法・貸金業法・同施行規則のいずれにも見当たりませんでした。条文は「定めがあるときは、その旨及びその内容」と書くだけです。
    • 個別の契約書の条項の文言は、公表された一次情報を実査していないため扱いません。個々の会社の契約条件の優劣や比較も扱いません。
    • 判例・裁判例の評価は、今回の実査対象(法令API)に含まれないため扱いません。
    • 民法の未施行の改正:法令APIのリビジョン情報では、民法に2029年6月23日施行予定の版が登録されています(2026年6月24日公布の「民法等の一部を改正する法律」)。本記事は2026年9月13日時点で施行されている版の条文に基づいています。

    e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    9. 借りる前に見るのは、金額より先に「条件」

    ここまで条文だけで並べると、確認する順番は自然に決まります。契約前の書面を受け取ったら、金額と利率の行だけでなく、規則第12条の2第1項第1号チにあたる期限の利益の喪失の定めの行と、同号トの期限前の返済の可否の行を読む。担保を出すなら担保の内容の行も合わせて読む。条文がその3つを別々の記載事項として並べているのは、性質の違う条件だからです。

    本記事の結論は、条文の位置を示すところまでです。どの行に何が書かれているかが分かれば、契約前の書面のその行を読むことができます。判断そのものは、交付された書面の記載と個別の事情によります。

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    よくある質問

    期限の利益の喪失は、法律だけで起きるのですか?

    民法第137条が定めているのは3つの場合です(第1号 破産手続開始の決定を受けたとき、第2号 担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき、第3号 担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき)。それ以外は、貸金業法施行規則第13条第1項第1号ヌが「期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」と書いているとおり、契約に置かれた定めの問題になります(2026年9月13日確認)。

    契約する前に、喪失の条件を確認できますか?

    貸金業法第16条の2第1項は、貸金業者が「貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)」を締結しようとする場合に「当該契約を締結するまでに」書面を交付しなければならないと定めており、その記載事項(同項第7号→施行規則第12条の2第1項第1号チ)に「期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」が含まれています。極度方式基本契約の場合は同規則第12条の2第2項第1号チです(2026年9月13日確認)。

    何日くらい遅れると喪失するのですか?

    日数や回数を定めた条文は、今回実査した民法・貸金業法・貸金業法施行規則のいずれにも見当たりませんでした(記載なし)。条文は「定めがあるときは、その旨及びその内容」を書面に記載させる形をとっており、具体的な条件は契約の定めの側に書かれます(2026年9月13日確認)。

    期限の利益を主張できなくなった後の負担は、条文にどう書かれていますか?

    民法第137条は「期限の利益を主張することができない」と定めるだけで、その先の効果は書かれていません。遅滞の責任の側は、民法第412条第1項が「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」と定め、第419条第1項は金銭債務の損害賠償額を「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」としています。第419条第2項により、債権者は損害の証明を要しません。どちらの要件に当たるかは、契約書の「期限の利益の喪失の定め」の内容によります。上限の数値は遅延損害金の上限で扱っています(2026年9月13日確認)。

    期限前に全額返すことはできますか?

    民法第591条第2項は「借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。」と定めています。ただし同条第3項は、期限前の返還により貸主が損害を受けたときは賠償を請求できると定めています。契約上の取扱いは、貸金業法施行規則第13条第1項第1号リ(契約時の書面)および第12条の2第1項第1号ト(契約前の書面)の記載事項として書面に書かれます(2026年9月13日確認)。


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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索の法令API=民法・貸金業法・貸金業法施行規則・利息制限法)のみを根拠に作成しています。条・項・号の帰属は取得した条文XMLの構造に基づいています。旧利息制限法第1条第1項の利率、喪失までの滞納日数、個別の契約書の条項の文言については確認できなかったため「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の契約については、交付される書面の記載をご確認ください。

  • マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の条件|商工会議所の推薦と原則6ヵ月の経営指導、公表されている利率・限度額・返済期間

    マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の条件|商工会議所の推薦と原則6ヵ月の経営指導、公表されている利率・限度額・返済期間

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    マル経融資は、公的な融資のなかで少し変わった形をしています。お金を貸すのは日本政策金融公庫ですが、申込みの前に商工会議所(または商工会)の側で満たしておく条件があり、その条件は公庫のページではなく商工会議所側のページに書かれています。つまり条件の出どころが2か所に分かれている制度です。

    先に結論:公庫が公表しているのは「商工会議所等の長の推薦を受けた方」「融資限度額2,000万円」「10年以内<うち据置期間2年以内>」「特別利率F」「無担保・無保証人」の5点で、経営指導を受ける期間や従業員数の要件は公庫のこのページには書かれていません。それらは日本商工会議所が「推薦要件」として公表しています。この記事は、その2か所の原文を、出典URLと確認日つきで並べた記録です。金額・利率・期間は、原文にある値だけを転記しています。

    1. 制度の形=貸すのは公庫、推薦するのは商工会議所等

    日本政策金融公庫(国民生活事業)は、マル経融資を次のように説明しています(原文・2026年9月13日確認)。

    「商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人でご利用できる制度です。」

    そして「ご利用いただける方」の欄は、こう書かれています。

    「商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会議所等の長の推薦を受けた方」

    ここで名前が挙がっている団体は3つで、商工会議所と商工会は別の組織です(都道府県商工会連合会も別に挙げられています)。日本商工会議所のページでも、要件の文中に「(商工会地区の方は商工会の経営指導となります)」「(商工会地区の方は『商工会地区内』となります)」という読み替えが添えられています。自分の事業所がどちらの地区に当たるかで、指導・推薦を受ける窓口が変わる、という書き方です。

    日本商工会議所は制度の性格を「マル経とは『小規模事業者経営改善資金』の通称で、商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者が利用できる国の融資制度です。一番のポイントは商工会議所の推薦で、日本政策金融公庫から無担保、無保証人で融資が受けられること。融資上限は2000万円。」と説明し、創設年についても「1973年に創設されましたが、当時は小規模事業者の資金調達力が課題となっていたところ、商工会議所が国に要望する形で実現しました。」と記載しています。

    なお同ページには「※ 沖縄県につきましては、文中『日本政策金融公庫』とあるのは、全て『沖縄振興開発金融公庫』と読み替えてください。」という注記もあります。

    公庫が直接貸す融資と、信用保証協会の保証をつけて民間金融機関から借りる形の違いは公庫の融資と民間の融資の違い、自治体が関与する制度融資の仕組みは制度融資とは、保証の仕組みは信用保証協会の役割にまとめています。マル経融資は、このうち公庫が直接貸す形で、かつ保証協会の保証も使わない形です(日本商工会議所の条件表は担保・保証人を「不要(保証協会の保証も不要です)」と記載しています)。

    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html/日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(いずれも2026年9月13日確認)

    2. 公庫のページに書かれている条件は、この6項目だけ

    公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」の概要表を、そのまま転記します(2026年9月13日確認)。

    欄(原文の見出し)原文の値
    ご利用いただける方商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会議所等の長の推薦を受けた方
    融資限度額2,000万円
    ご返済期間10年以内<うち据置期間2年以内>
    利率(年)[特別利率F]
    担保・保証人無担保・無保証人
    併用できる特例制度賃上げ貸付利率特例制度(注)
    留意事項審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。
    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」の概要表(2026年9月13日確認)。(注)は「下記の災害等関連のマル経融資にはご利用いただけません。」

    ここで大事なのは、この表に無いものです。2026年9月13日時点で同ページを確認した限り、次の項目は記載なしでした。

    • 経営指導を受ける期間(「6か月」「6ヵ月」等の記載は同ページ内に見つかりませんでした)
    • 常時使用する従業員の人数要件
    • お使いみちの独立した欄(表に「お使いみち」の行が存在せず、資金の性格は冒頭文の「経営改善に必要な資金」という記述のみ)
    • 納税の要件・事業年数の要件
    • 申込みから入金までの所要日数

    「2,000万円」は制度の上限として書かれている額で、借りられる額ではありません。同じ表の留意事項に「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。」と明記されています。

    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html(2026年9月13日確認)

    3. 期間・規模・納税の要件は、商工会議所側に書かれている

    公庫のページに無かった要件は、日本商工会議所「マル経融資」のページに「推薦要件」として5つ並んでいます。原文のまま転記します(2026年9月13日確認)。

    要件名原文
    規模要件小規模事業者(※)であること
    指導要件原則6ヵ月以上、商工会、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けている者であること
    居住要件最近1年以上、商工会、商工会議所等の地区内で事業を行っていること
    納税要件所得税、法人税、事業税及び都道府県民税や市町村民税(均等割りを含む。)を原則としてすべて完納していること
    業種要件商工業者であり、かつ日本公庫(国民生活事業)の非対象業種等でないこと
    日本商工会議所「マル経融資」の「推薦要件」(2026年9月13日確認)。※は「常時使用する従業員が20人(商業またはサービス業(宿泊業および娯楽業を除く)に属する事業を主たる事業として営む方については5人)以下の法人・個人事業主の方」。

    同ページの「融資対象」の箇条書きでは、指導要件が「商工会議所の経営・金融に関する指導を原則6ヵ月以上受けており、事業改善に取り組んでいる方(商工会地区の方は商工会の経営指導となります)」と書かれ、居住要件は「最近1年以上、商工会議所地区内で事業を行っている方(商工会地区の方は『商工会地区内』となります)」、納税要件は「税金(所得税、法人税、事業税、都道府県民税等)を完納している方」、業種要件は「日本政策金融公庫の非対象業種等に属していない業種の事業を営んでいる方」となっています。

    また同ページは「マル経融資(通常)」を「商工会議所等で経営指導(原則6ヵ月以上)を受けた方に対し、無担保・無保証人で日本政策金融公庫が融資を行う制度です。」と説明し、注意書きとして「マル経を利用するには6ヵ月以上の経営指導を受けるなど推薦要件を満たす必要があります。ご注意ください。」と記載しています。

    つまり、思い立ってすぐ申し込める形の制度ではない、というのが原文から読み取れる構造です。先に指導を受けている期間が要件に入っているためです。

    日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(2026年9月13日確認)

    4. 「特別利率F」の実際の数値=年2.90%(令和8年9月1日現在)

    公庫の制度ページは利率を名称(「[特別利率F]」)で書いていて、数値は書いていません。数値は同じ公庫の「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」に載っています。そこには独立した項目が立っています(原文・2026年9月13日確認)。

    「5.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、生活衛生改善貸付を利用される方」「(令和8年9月1日現在)」「利率名称:特別利率F/年利(%):2.90」

    日本商工会議所の条件表も、利率を「2.90%(特別利率F 2026/9/1現在)」と記載しています。2つの一次情報で、同じ日付基準・同じ数値でした。

    同じ金利情報ページの他の区分と並べると、マル経の書き方の特徴が分かります。

    区分(原文の見出し)利率名称年利(%)
    5.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、生活衛生改善貸付を利用される方特別利率F2.90
    1.無担保で融資を利用される方(1)税務申告を2期終えている方基準利率3.80~5.40
    1.無担保で融資を利用される方(2)税務申告を2期終えていない方基準利率3.75~5.35
    2.有担保で融資を利用される方基準利率2.80~5.00
    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」。いずれも同ページの「(令和8年9月1日現在)」の表記(2026年9月13日確認)。

    他の区分が「3.80~5.40」のように幅で示されているのに対し、マル経の特別利率Fは単一の数値で示されています。ただし同ページには「(注)利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります。」という注記が付いています。上に挙げた数値は「令和8年9月1日現在」のものです。申込みの前に、公庫の金利情報ページで当日の表記を確認してください。

    なお同ページには「遅延損害金の割合は年9.10%です。(令和8年4月1日から令和9年3月31日までの貸付け)」という記載もあります。金利の上限を定める法律側のルールは金利の上限、年率の読み方は実質年率とはにまとめています。

    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html/日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(いずれも2026年9月13日確認)

    5. 返済期間10年以内・据置期間2年以内という書き方

    公庫の概要表は「ご返済期間 10年以内<うち据置期間2年以内>」の1行だけで、運転資金・設備資金の区別を書いていません。日本商工会議所の条件表は同じ内容を「運転資金・設備資金10年以内(据置期間 2年以内)」と、使いみちを明示した形で記載しています。

    項目公庫のページの表記日本商工会議所のページの表記
    限度額融資限度額 2,000万円貸付限度額 2000万円
    返済期間10年以内<うち据置期間2年以内>運転資金・設備資金10年以内(据置期間 2年以内)
    担保・保証人無担保・無保証人不要(保証協会の保証も不要です)
    利率[特別利率F]2.90%(特別利率F 2026/9/1現在)
    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」および日本商工会議所「マル経融資」(いずれも2026年9月13日確認)。

    返済方法については、公庫「お手続きの流れ/小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」に「ご返済は原則として月賦払いです。」「ご返済方法は、元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済などがあります。」と記載されています。据置期間・返済年数を変えると毎月の返済額がどう動くかは返済シミュレーターで試算できます(当サイトの道具です。実際の返済額は契約条件によります)。売上に対する返済額の見方は返済比率の考え方にまとめています。

    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html/同「お手続きの流れ」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/index.html/同「お手続きの流れ/小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html/日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(いずれも2026年9月13日確認)

    6. 併用できる特例制度と、災害等関連の別枠

    公庫の概要表の「併用できる特例制度」に挙がっているのは賃上げ貸付利率特例制度の1つだけで、注として「下記の災害等関連のマル経融資にはご利用いただけません。」と書かれています。その特例制度のページには、次の条件が記載されています(原文・2026年9月13日確認)。

    欄原文
    ご利用いただける方新たに事業を開始後3ヵ月以上の事業者であって、雇用者給与等支給額(注1)の総額が最近の決算期と比較して2.5%以上増加する見込みがある方(注2)
    貸付利率各種融資制度に定める利率-0.5%(貸付日から2年間)(※)利率の下限は0.3%
    その他上記以外の融資条件は、各種融資制度に定める条件が適用されます。
    留意事項一部ご利用いただけない融資制度があります。詳しくは、お近くの支店へお問い合せください。/審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。
    日本政策金融公庫「賃上げ貸付利率特例制度」(2026年9月13日確認)。(注1)は「雇用者に対する給与等の支給額のことをいいます。雇用者には、パート、アルバイトおよび日雇い労働者も含めますが、法人の役員および個人事業主の家族従業員は含めません。」

    もうひとつ、公庫のマル経融資のページには災害等関連の枠が別立てで公表されています。2026年9月13日時点で掲載されていたのは「令和6年能登半島地震関連」と「令和2年7月豪雨関連」の2つで、いずれも対象は「商工会議所等が策定する小規模事業者再建支援方針に沿って事業を行う商工業者」であって直接被害・間接被害のいずれかに該当する方、と書かれています。条件は通常のマル経と異なります。

    項目令和6年能登半島地震関連の原文
    融資限度額通常のご融資額 + 別枠1,000万円
    ご返済期間(別枠の1,000万円以内)設備資金 20年以内<うち据置期間5年以内>/運転資金 15年以内<うち据置期間5年以内>
    利率(直接被害を受けた方で被害証明書等の発行を受けた方)【当初3年間】特別利率F-0.9%(別枠の1,000万円以内)/【4年目以降】特別利率F-0.5%(別枠の1,000万円以内)
    利率(上記以外の方・間接被害を受けた方)特別利率F
    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」の「令和6年能登半島地震関連の概要」(2026年9月13日確認)。「令和2年7月豪雨関連」も別枠1,000万円で、直接被害・被害証明書等の発行を受けた方は【当初3年間】特別利率F-0.9%/【4年目以降】特別利率Fと記載されています。

    日本商工会議所も「通常のマル経融資に加え、危機対応型など要件の異なるいくつかの制度があります。」と記載し、危機対応型の概要は公庫のページを参照するよう案内しています。

    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html/同「賃上げ貸付利率特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/wage_increase_m.html/日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(いずれも2026年9月13日確認)

    7. 申込みまでの流れ=推薦が先、公庫の手続きが後

    日本商工会議所は、融資までの流れを5段階で公表しています(原文・2026年9月13日確認)。

    段階原文
    STEP 01 経営指導原則6ヵ月以上、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受ける必要があります
    STEP 02 推薦依頼商工会議所にマル経融資の推薦を依頼してください。
    STEP 03 推薦商工会議所で受付後、調査・判断、審査会、会長・会頭の認証を経て、日本政策金融公庫へ推薦します。
    STEP 04 融資決定の通知日本政策金融公庫で受付後、審査を経て融資が決定されます。
    STEP 05 融資日本政策金融公庫から小規模事業者に融資が行われます。
    日本商工会議所「マル経融資」の「融資までの流れ」(2026年9月13日確認)。

    公庫側の「お手続きの流れ」には、マル経融資についての注意書きが最初に置かれています。「一般的には次のとおりです。マル経融資(小規模事業者経営改善資金)や生活衛生改善貸付など、ご利用いただく融資制度によっては、手続きや添付していただく書類が異なる場合があります。」。つまり公庫の一般的な流れ(相談→インターネット申込→面談→融資→返済)をそのまま当てはめて考えないよう、公庫自身が断っている形です。一般の申込みで求められる書類は事業資金の借入れに必要な書類一覧にまとめています。

    同ページの相談窓口の欄には「その他のご相談先」として「商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターなどでもご相談を承っております。」と記載があります。面談については「ご面談の際は、事業計画に関連する資料や資産・負債がわかる書類などをご準備いただきます。」「店舗や事業所の予定地をお訪ねいたします。」「オンラインでのご面談も承っております。」と書かれ、「※審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。」の注記が付いています。申込みから入金までの所要日数は、このページにも記載がありません。

    細かい点ですが、同じページの「公庫団体生命保険のご案内」には「日本公庫(国民生活事業)から事業資金(マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、生活衛生改善貸付など一部の融資制度を除く)の融資を受けられる個人事業主、中小企業法人または医療法人等が、任意で加入できる保険です。」と書かれています。マル経融資はこの保険の対象から除かれている、という記載です。

    窓口の数については、日本商工会議所が「商工会議所は全国516箇所にあります。事業活動を行っている地域の商工会議所を検索して直接お問い合わせください。」と記載し、あわせて「※ 商工会議所によって支援内容は異なります。」と注記しています。公的な相談窓口の一覧は借入れの相談窓口にまとめています。

    日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei//日本政策金融公庫「お手続きの流れ」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/index.html/同「お手続きの流れ/小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html(いずれも2026年9月13日確認)

    8. 公表資料だけで、申込みの前に確認できること

    ここまでの原文から、自分で照合できる項目だけを並べます。

    確認することどこに書いてあるか
    自分の地区が商工会議所か商工会か公庫「商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会」/日商「商工会地区の方は商工会の経営指導となります」
    経営指導を受けている期間(原則6ヵ月以上)日商「指導要件」「STEP 01」
    地区内で事業を行っている期間(最近1年以上)日商「居住要件」
    常時使用する従業員の人数(20人/商業・サービス業(宿泊業および娯楽業を除く)は5人以下)日商「規模要件」の※
    税金の完納日商「納税要件」
    公庫(国民生活事業)の非対象業種等でないか日商「業種要件」
    限度額・返済期間・据置期間公庫の概要表(2,000万円/10年以内<うち据置期間2年以内>)
    当日の利率公庫「金利情報」の「5.マル経融資…」(特別利率F)
    賃上げの特例を併用できるか公庫「賃上げ貸付利率特例制度」(3ヵ月以上・2.5%以上増加見込み・-0.5%・2年間・下限0.3%)
    本文で確認した各一次情報から作成(2026年9月13日確認)。

    逆に、公表資料に無いためにこの記事で書かないことも挙げておきます。申込みから入金までの日数、審査の見通し、自己資金の目安、非対象業種の具体的な一覧(公庫・日商のいずれのページにも一覧の掲載はありませんでした)。これらは窓口で確認する項目です。

    指導期間の要件があるため、マル経融資は資金が要る時点で条件が揃っていないことがあります。その場合に民間の事業者向けローンを検討するなら、判断材料は各社サイトの表記(金利、限度額、手数料、対象、契約の型)と貸金業者の登録です。登録は金融庁の検索サービスで照合できます(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。条件は各社が定めるもので、当サイトが保証するものではありません。

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    よくある質問

    マル経融資は商工会議所の会員でないと利用できませんか

    会員であることを要件として書いた記載は、今回確認した公庫・日本商工会議所のいずれのページにもありません。公表されている要件は、公庫が「商工会議所、商工会又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会議所等の長の推薦を受けた方」、日本商工会議所が規模・指導(原則6ヵ月以上)・居住(最近1年以上)・納税・業種の5要件です。会員資格の扱いは公表資料に無いため、この記事では書きません。日本商工会議所は「※ 商工会議所によって支援内容は異なります。」と注記しているため、地域の商工会議所に確認する項目です。

    経営指導はどれくらいの期間受ける必要がありますか

    日本商工会議所の「指導要件」は「原則6ヵ月以上、商工会、商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けている者であること」です。同ページは「マル経を利用するには6ヵ月以上の経営指導を受けるなど推薦要件を満たす必要があります。ご注意ください。」とも記載しています。一方、公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」のページには期間の記載はありません(2026年9月13日確認)。

    利率はいくらですか

    公庫の制度ページは名称のみで「[特別利率F]」と書かれています。数値は公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」の「5.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、生活衛生改善貸付を利用される方」の欄にあり、特別利率F=年2.90%(令和8年9月1日現在)です。日本商工会議所も「2.90%(特別利率F 2026/9/1現在)」と記載しています。同じ金利情報ページには「利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります。」という注記があります。

    2,000万円まで借りられるということですか

    いいえ。公庫のページの表記は「融資限度額 2,000万円」=制度の上限です。同じ表の留意事項に「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。」と記載されています。日本商工会議所側の表記も「貸付限度額 2000万円」です。

    担保や保証人は用意しなくてよいのですか

    公庫の概要表は「担保・保証人:無担保・無保証人」、日本商工会議所の条件表は「不要(保証協会の保証も不要です)」と記載しています。信用保証協会の保証をつける形ではない、という書き方です。保証の仕組み自体は信用保証協会の役割にまとめています。


    日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html/同「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html/同「賃上げ貸付利率特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/wage_increase_m.html/同「お手続きの流れ」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/index.html/同「お手続きの流れ/小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/goriyou.html/日本商工会議所「マル経融資」 https://www.jcci.or.jp/sme/marukei/(いずれも2026年9月13日確認)

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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(日本政策金融公庫、日本商工会議所)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。利率・限度額・返済期間・要件は改定されることがあるため、申込みの前に各公式サイトの最新の表記と、地域の商工会議所・商工会の案内をご確認ください。

  • 借金の債権譲渡の通知が届いたら|貸金業法第24条(債権譲渡等の規制)で譲受人に準用される条文と民法第467条の対抗要件

    借金の債権譲渡の通知が届いたら|貸金業法第24条(債権譲渡等の規制)で譲受人に準用される条文と民法第467条の対抗要件

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    借りた覚えのない社名から「当社が債権を譲り受けました」という通知が来ると、まず何を確かめればいいのか分からなくなります。この記事は、そのときに開く条文をe-Gov法令検索の原文で並べた記録です。

    先に結論:①債権の譲渡そのものは民法第466条第1項で認められています。②譲受人が債務者に請求するには民法第467条第1項の「譲渡人からの通知」または「債務者の承諾」が要ります。③そして貸金業法第24条第2項により、取立て行為の規制(第21条)をはじめとする条文が、債権を譲り受けた者に準用されます。規制は貸金業者の手元に残るのではなく、債権と一緒に移ります。

    なお、債権回収を専門とする会社(いわゆるサービサー)の許可制度については、本記事では実査していないため扱いません(記載なし)。本記事は貸金業法第24条・第21条、民法第466条〜第468条、貸金業法施行規則、および金融庁の登録検索サービスの画面だけを根拠にしています。本記事は法律上の助言ではありません。

    1. 債権の譲渡は民法で認められている(第466条・第467条・第468条)

    民法第466条は見出しが「(債権の譲渡性)」で、第1項は次の一文です(原文・2026年9月13日確認)。

    • 第466条第1項本文「債権は、譲り渡すことができる。」
    • 同項ただし書「ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
    • 第466条第2項「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」

    つまり、譲渡された事実そのものに異議を述べる筋はほとんどありません。見るべきは次の第467条です(見出しは「(債権の譲渡の対抗要件)」)。

    • 第467条第1項「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」
    • 第467条第2項「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」

    条文が求めているのは「譲渡人(もとの貸し手)が債務者に通知する」か「債務者が承諾する」のどちらかです。譲受人が自分の名前だけで送ってきた案内は、第467条第1項が挙げる2つのどちらでもありません。手元の通知が誰の名義で出されたものかを、まず封筒と本文で確かめてください。

    あわせて、第468条(債権の譲渡における債務者の抗弁)第1項は「債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる」と定めています。もとの貸し手との間で生じていた事情が、譲渡によってリセットされるわけではないという条文です。

    e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第466条・第467条・第468条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    2. 貸金業者が譲渡するときの通知義務(貸金業法第24条第1項)

    貸金業法第24条の見出しは、原文では「(債権譲渡等の規制)」です。その第1項は次のとおりです(原文・2026年9月13日確認)。

    「貸金業者は、貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡するに当たつては、その者に対し、当該債権が貸金業者の貸付けに係る契約に基づいて発生したことその他内閣府令で定める事項並びにその者が当該債権に係る貸付けの契約に基づく債権に関してする行為について第十二条の七、第十六条の二第三項及び第四項、第十六条の三、第十七条(第六項を除く。)、第十八条から第二十二条まで、第二十四条の六の十並びにこの項の規定(抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第一条第一項に規定する抵当証券に記載された債権については第十六条の二第三項及び第四項並びに第十七条(第六項を除く。)の規定を除き、これらの規定に係る罰則を含む。)の適用がある旨を、内閣府令で定める方法により、通知しなければならない。」

    ここで混同しやすい点があります。第24条第1項の通知の相手方は「その者」=債権を譲り受ける者です。民法第467条第1項の「債務者への通知」とは相手方が違います。つまり譲渡の場面では、性質の異なる通知が2本存在します。

    条文誰が誰に何を
    民法第467条第1項譲渡人(もとの貸し手)債務者譲渡したこと(債務者の承諾でも代替可)
    貸金業法第24条第1項譲渡する貸金業者債権を譲り受ける者この債権が貸付契約から生じたこと、列挙された条文と罰則の適用があること
    民法第467条第1項と貸金業法第24条第1項の原文から整理(2026年9月13日確認)。

    第24条第1項の通知の方法と内容は内閣府令に委ねられており、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第21条が定めています。同条第3項は「法第二十四条第一項の規定による通知は、書面により行わなければならない」(譲り受ける者の承諾を得て電磁的方法で提供したときは書面通知をしたものとみなす旨が第4項にあります)。同条第1項第4号は通知事項として「譲渡年月日及び当該債権の額」を挙げています。

    e-Gov法令検索「貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)」第24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)」第21条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    3. 譲受人に準用される条文の一覧(第24条第2項)

    第24条第2項は、第1項が列挙したのと同じ条文を、譲受人自身に及ぼします(原文・2026年9月13日確認)。

    「第十二条の七、第十六条の二第三項及び第四項、第十六条の三、第十七条(第六項を除く。)、第十八条から第二十二条まで、第二十四条の六の十並びに前項の規定(抵当証券法第一条第一項に規定する抵当証券に記載された債権については、第十六条の二第三項及び第四項並びに第十七条(第六項を除く。)の規定を除く。)は、貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡があつた場合における当該債権を譲り受けた者について準用する。」

    列挙された条文に、原文の見出しを添えると次のようになります。「第十八条から第二十二条まで」という書き方なので、その範囲に並ぶ第19条の2・第20条・第20条の2・第21条も入ります。

    条原文の見出し
    第12条の7(生命保険契約等の締結に係る制限)
    第16条の2 第3項・第4項(契約締結前の書面の交付)
    第16条の3(生命保険契約等に係る同意前の書面の交付)
    第17条(第6項を除く。)(契約締結時の書面の交付)
    第18条(受取証書の交付)
    第19条(帳簿の備付け)
    第19条の2(帳簿の閲覧)
    第20条(特定公正証書に係る制限)
    第20条の2(公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限)
    第21条(取立て行為の規制)
    第22条(債権証書の返還)
    第24条の6の10(報告徴収及び立入検査)
    第24条第1項(債権譲渡等の規制)=譲受人が更に譲渡するときの通知義務
    貸金業法第24条第1項・第2項の列挙と、各条のe-Gov原文の見出し(2026年9月13日確認)。抵当証券法第1条第1項の抵当証券に記載された債権については、第16条の2第3項・第4項と第17条(第6項を除く。)が除かれると同項の括弧書きに定められています。

    実務で効く形にすると、こうなります。

    • 受取証書(第18条)=譲受人に払ったときも、書面の交付を求められる立場は変わりません。
    • 帳簿(第19条・第19条の2)=第19条の2第1項は「債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、(…)帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる」と定め、施行規則第23条の4は譲り受けた者が「その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない」としています。
    • 債権証書の返還(第22条)=「貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。」
    • 報告徴収・立入検査(第24条の6の10)=第24条第2項の読替えにより、譲受人については「内閣総理大臣又は都道府県知事」が「都道府県知事」と読み替えられます。営業所等の所在する都道府県知事が、報告・資料の提出を命じ、立入検査をする対象になるという建て方です。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第12条の7・第16条の2・第16条の3・第17条・第18条〜第22条・第24条・第24条の6の10 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第23条の4・第23条の5 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    4. 取立て行為の規制(第21条)は譲受人にもそのまま及ぶ

    第21条第1項の柱書は、規制の相手を「貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者」と書き、「貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と定めています。禁じられる言動は第1号から第10号までの10類型です(各号の全文と罰則は違法な取り立ての基準に整理しています)。譲渡の場面で関係が深い号を原文で引くと、次のとおりです。

    • 第1号=「正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。」
      この「内閣府令で定める時間帯」は、施行規則第19条第1項が「午後九時から午前八時までの間」と定めています。同項は括弧書きで「(法第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。)」と明記しており、譲受人からの連絡にも同じ時間帯の制限がかかります。
    • 第5号=「貼り紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。」
    • 第7号=「債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。」
    • 第9号=弁護士・弁護士法人・司法書士・司法書士法人に債務の処理を委託し、又は裁判所における手続をとり、その旨の書面による通知があった場合に、正当な理由がないのに債務者等へ直接弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらず更に要求すること。
    • 第10号=「債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。」

    第2項は、支払の催告書面(又はこれに代わる電磁的記録)に記載すべき事項を第1号から第8号までの8項目として挙げています。①貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及び住所並びに電話番号 ②当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名 ③契約年月日 ④貸付けの金額 ⑤貸付けの利率 ⑥支払の催告に係る債権の弁済期 ⑦支払を催告する金額 ⑧内閣府令で定める事項。施行規則第19条第3項は⑧の中身として「支払の催告時における当該催告に係る残存債務の額」「支払を催告する金額の内訳(元本、利息及び債務の不履行による賠償額の別をいう。)」などを定め、同条第4項はこれらを「日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない」としています。同条第2項は、催告書面を「当該書面に封をする方法(…)その他の債務者の借入れに関する事実が債務者等以外の者に明らかにならない方法により行わなければならない」と定めています。

    そして第21条第3項が、譲受人に問い合わせるときの根拠になります(原文)。

    「前項に定めるもののほか、貸金業を営む者(…)は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たり、相手方の請求があつたときは、貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及びその取立てを行う者の氏名その他内閣府令で定める事項を、内閣府令で定める方法により、その相手方に明らかにしなければならない。」

    債権譲渡後のこの「内閣府令で定める事項」を定めているのが施行規則第25条第1項で、その第1号は「取立てを行う者の弁済受領権限の基礎となる事実」です。第2号以下は、取り立てる債権に係る第17条第1項各号に掲げる事項(契約年月日・貸付けの金額・貸付けの利率など)等が挙げられています。同規則第19条第6項は、明らかにする方法を「前項各号に掲げる事項を(…)八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載した書面を交付又は送付する方法」と定めています。

    言い換えると、「あなたが受け取る権限を持っている根拠を、書面で示してください」と請求できるのが第21条第3項と施行規則第25条です。電話で名乗るだけの説明で終わらせる必要はありません。契約時に交付された書面との突き合わせ方は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務、遅延損害金の上限は遅延損害金の上限、利率の上限は金利の上限で条文を確認できます。請求された金額の内訳が妥当かを自分で並べ直すときは返済シミュレーターが使えます。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第21条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第19条・第25条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    5. 譲渡先そのものにかかる制限(第24条第3項・第4項)

    第24条第3項は、譲渡の相手方を選ぶ段階に制限をかけています(原文・2026年9月13日確認)。柱書は「貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の譲渡又は取立ての委託(以下「債権譲渡等」という。)をしようとする場合において、その相手方が次の各号のいずれかに該当する者(以下この項において「取立て制限者」という。)であることを知り、若しくは知ることができるとき、又は当該債権譲渡等の後取立て制限者が当該債権の債権譲渡等を受けることを知り、若しくは知ることができるときは、当該債権譲渡等をしてはならない」。各号は次の3つです。

    • 第1号「暴力団員等」
    • 第2号「暴力団員等がその運営を支配する法人その他の団体又は当該法人その他の団体の構成員」
    • 第3号「貸付けの契約に基づく債権の取立てに当たり、第二十一条第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者」

    第4項は「貸金業者は、政令で定める密接な関係を有する者に(…)債権譲渡等をしたときは、その相手方が当該債権の取立てに当たり第二十一条第一項(…)の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯さないように、相当の注意を払わなければならない」と定めています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第24条第3項・第4項 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    6. 罰則は譲受人にも付いてくる

    第24条第1項が括弧書きで「これらの規定に係る罰則を含む。」と書いているとおり、準用には罰則が伴います。貸金業法の罰則規定を条文で追うと、次の3本が該当します(原文・2026年9月13日確認)。

    条・号対象となる行為(原文の指示)法定刑
    第47条の3第1項第3号「第二十一条第一項(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項、第二十四条の五第二項及び第二十四条の六において準用する場合を含む。)の規定に違反した者」2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(又は併科)
    第48条第1項第6号「第二十四条第三項の規定に違反して、同項第一号又は第二号に該当する者であることを知りながら、これを相手方として、貸付けの契約に基づく債権の債権譲渡等をした者」1年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(又は併科)
    第49条第1項第8号「第二十四条第一項(同条第二項及び第二十四条の六において準用する場合を含む。)(…)の規定に違反した者」100万円以下の罰金
    貸金業法第47条の3第1項・第48条第1項・第49条第1項の原文から作成(2026年9月13日確認)。柱書の刑の重さは各条の第1項柱書の記載どおり。

    第47条の3第1項第3号が「第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。」と明記している点が要点です。取立て行為の規制違反は、もとの貸金業者だけの問題ではなく、譲り受けた者の行為としても処罰の対象になります。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第47条の3・第48条・第49条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    7. 登録のない業者の債権を譲り受けた場合(第24条の6)

    「譲受人が貸金業の登録を受けていないなら、規制は及ばないのでは」という疑問には、第24条の6(見出しは「(準用)」)が答えています。同条第1項は、「貸金業を営む者(貸金業者を除く。…)」=登録を受けていない者について、次のように定めています(原文・抜粋)。

    「第二十四条第一項の規定は貸金業を営む者(貸金業者を除く。以下この条において同じ。)が貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡する場合について、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十一条並びに第二十四条第一項の規定は貸金業を営む者の貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡があつた場合における当該債権を譲り受けた者について、(…)準用する。」

    第21条(取立て行為の規制)は、この経路でも譲受人に準用されます。第47条の3第1項第3号の括弧書きにも「第二十四条の六において準用する場合を含む。」と入っています。登録の有無で取立て規制が外れる建て方にはなっていません。無登録で貸金業を営む行為そのものの見分け方は無登録業者(ヤミ金)の見分け方にまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第24条の6・第47条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    8. 譲受人が登録貸金業者かを金融庁の検索で照合する手順

    通知に書かれた社名が登録貸金業者として公表されているかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確かめられます。2026年9月13日に検索入力ページ(HTTP 200)を開いて確認した画面の検索項目名は次のとおりです。

    画面の項目名画面の補足表記
    登録番号「第」と「号」で挟む2つの入力欄
    所在地第一候補/第二候補/第三候補(都道府県のプルダウン。初期値は「(未選択)」)
    商号・名称—
    代表者名「(漢字・カタカナ)」「記入例:貸金 太郎」
    電話番号「(半角)」「記入例:0312345678」
    金融庁「登録貸金業者情報検索入力ページ」の表示(2026年9月13日確認)。送信ボタンは「検索開始」、その下に「詳細検索へ」ボタンがあり、画面には「上記以外の項目で検索したい場合は「詳細検索へ」ボタンを押してください」「※画面を変更すると上記で入力したものはクリアされます」と表示されます。

    手順は単純です。

    1. 通知の社名(商号・名称)を入力して「検索開始」。同じ表記が見つからないときは、所在地の都道府県や電話番号だけでも検索できます(同ページの案内文=「一部の項目でも検索は可能です。」)。
    2. 結果に登録番号が表示されたら、通知に書かれた番号と突き合わせます。番号の読み方は貸金業の登録番号(1)(2)の意味、桁の確認は登録番号チェッカーで行えます。
    3. 登録が確認できたら、次に処分歴を見ます(→貸金業者の行政処分歴の調べ方)。検索サービスの使い方と「出てこないとき」の読み方は貸金業者の登録を確認する手順に詳しくまとめています。

    該当がない場合の表示も実測しました。存在しない商号で検索(POST)すると、画面には「検索の結果該当するデータは見つかりませんでした。」「※ブラウザの【戻る】ボタンを押し入力画面へ戻り、再度検索条件を入力し直してください。」「最新の情報やご不明な点は登録先の財務局・都道府県へお問い合せください。」と表示されます(2026年9月13日確認)。

    この検索結果の限界は、金融庁が「ご利用上の注意」に明記しています(原文・2026年9月13日確認)。

    • 「このサービスで検索される情報は、貸金業者の登録を行っている各財務局・都道府県で閲覧できる貸金業者登録簿や、官報等の情報をもとに編集したものです。」
    • 「検索された情報は、各財務局・都道府県がデータの更新処理を行った時点のものであり、照会日現在のものではありません。」
    • 「このサービスで検索されない貸金業者は、各財務局・都道府県がデータ更新処理後に新規登録を行ったか、「貸金業法」に基づく登録を行っていない無登録業者(いわゆるヤミ金融)である可能性があります。」
    • 「本サービスにおいて一回の検索で表示される情報の上限は100件です。」
    • 「金融庁、各財務局・都道府県は、利用者がこのサービスの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。」

    したがって、検索で出てこないことは、それだけでは結論になりません。同ページも「最新の情報やご不明な点は、登録番号欄に記載されている各財務局・都道府県にお問い合わせください」と案内しています。取立ての方法に第21条違反の疑いがあるときの公的な相談先は借入の相談窓口一覧に電話番号と受付時間つきで並べています。

    金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin//同「登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/chuui.html(いずれも2026年9月13日確認)

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    よくある質問

    債権が譲渡されたら、もう払わなくてよいのですか?

    実査した条文にそのような規定はありません(記載なし)。民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。」と定めており、譲渡によって債務が消えるとは書かれていません。民法第467条第1項は、譲受人が債務者に対抗するには譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要だと定めているだけです。また第468条第1項により、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由は譲受人に対抗できます(2026年9月13日確認)。

    譲り受けた会社が夜に電話してきました。規制は及びますか?

    貸金業法第24条第2項は第21条(取立て行為の規制)を譲受人に準用しています。第21条第1項第1号の「内閣府令で定める時間帯」は、貸金業法施行規則第19条第1項が「午後九時から午前八時までの間」と定め、同項は括弧書きで「(法第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。)」と明記しています(2026年9月13日確認)。

    「本当に受け取る権限があるのか」を書面で出してもらえますか?

    貸金業法第21条第3項は「相手方の請求があつたときは(…)その相手方に明らかにしなければならない」と定めています。債権譲渡後の明示事項を定める貸金業法施行規則第25条第1項第1号は「取立てを行う者の弁済受領権限の基礎となる事実」です。同規則第19条第6項は、明示の方法として八ポイント以上の文字で記載した書面を交付又は送付する方法を定めています(2026年9月13日確認)。

    譲り受けた会社が金融庁の検索に出てきません。無登録ということですか?

    金融庁「ご利用上の注意」は「このサービスで検索されない貸金業者は、各財務局・都道府県がデータ更新処理後に新規登録を行ったか、「貸金業法」に基づく登録を行っていない無登録業者(いわゆるヤミ金融)である可能性があります」と記載しており、2つの可能性を併記しています。また「検索された情報は(…)照会日現在のものではありません」とも明記されています。同ページは各財務局・都道府県への問い合わせを案内しています(2026年9月13日確認)。

    登録のない相手に譲渡された場合、取立ての規制は外れますか?

    貸金業法第24条の6第1項は、「貸金業を営む者(貸金業者を除く。…)」の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者について、第20条第1項及び第2項、第20条の2、第21条並びに第24条第1項を準用すると定めています。第47条の3第1項第3号の括弧書きにも「第二十四条の六において準用する場合を含む。」と入っています(2026年9月13日確認)。


    e-Gov法令検索「貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「民法(明治二十九年法律第八十九号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/「貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin//同「ご利用上の注意」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/chuui.html(いずれも2026年9月13日確認)

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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁)のみを根拠に作成しています。条文は2026年9月13日時点でe-Gov法令検索から取得した原文に基づくもので、条・項・号の帰属は同日取得のデータのとおりです。債権管理回収業(いわゆるサービサー)の許可制度、債権譲渡登記、個別の会社の登録内容については実査していないため扱っておらず、確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の事情は弁護士・司法書士などの専門家、または公的な相談窓口にご相談ください。

  • 担保にする不動産の価格を公的データで調べる手順|国税庁の路線価図と国土交通省の不動産情報ライブラリの使い方

    担保にする不動産の価格を公的データで調べる手順|国税庁の路線価図と国土交通省の不動産情報ライブラリの使い方

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    不動産を担保に借りようとするとき、いちばん気になるのは「この土地はいくらと見られるのか」です。この数字そのものは業者の内部で決まりますが、その計算に使われる公的な価格は、申込む前に自分で同じ画面から無料で引けます。貸金業法施行規則が「不動産の価格」の算出資料として名前を挙げているのが、まさにその公表データだからです。

    先に結論:使う公的サイトは2つだけです。国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(路線価・評価倍率)と、国土交通省「不動産情報ライブラリ」(地価公示・都道府県地価調査・実際の取引価格)。この記事は、2026年9月12日にその2サイトを実際にたどって、画面に出てきた文言・メニュー名・注記だけで手順を書き起こした記録です。なお「価格の何%まで貸すか」という掛目(担保評価率)は、実査した一次情報のどこにも記載がありません(後述)。条文そのものの読み方は不動産担保ローンと総量規制に分けてあります。

    1. この2つのサイトで何が引けて、何が引けないか

    まず全体像です。下の表は、各データの公表主体・時点・整備範囲を、両サイトの表示そのままに整理したものです。

    データ公表しているサイト時点・単位整備範囲(検索画面/地図表示画面)
    路線価国税庁 財産評価基準書道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示)最新は令和8年分。平成30年分まで9年分を公開
    評価倍率国税庁 財産評価基準書固定資産税評価額に乗ずる倍率同上(路線価が定められていない地域用)
    地価公示国土交通省 不動産情報ライブラリ毎年1月1日時点・1平方メートル当たり検索画面は昭和45年以降/地図表示画面は平成15年以降
    都道府県地価調査同上毎年7月1日時点・1平方メートル当たり(林地は10アール当たり)検索画面は平成9年以降/地図表示画面は平成15年以降
    不動産取引価格情報同上実際の取引のアンケート回答を、物件を特定できないよう加工したもの検索画面は平成17年7月以降/地図表示画面は直近5年分
    成約価格情報同上指定流通機構(レインズ)保有情報を加工し、RMIで公表しているもの検索画面は令和3年2月以降/地図表示画面は直近5年分(最大)
    両サイトの表示に基づく整理(2026年9月12日確認)。整備範囲は不動産情報ライブラリ「コンテンツの出典」の記載。

    逆に、この2サイトで引けないものもはっきりしています。固定資産税評価額は載っていません。国税庁の評価倍率表の説明は「固定資産税評価額は、都税事務所や市(区)役所又は町村役場で確認してください」と案内しています(取り方は不動産担保ローンの必要書類)。また、あなたの土地そのものの評価額も出てきません。出てくるのは道路単位・標準地単位の価格です。

    国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」 https://www.rosenka.nta.go.jp//同「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_rtof.htm/国土交通省「不動産情報ライブラリ コンテンツの出典」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/contents/(いずれも2026年9月12日確認)

    2. 手順A:国税庁の路線価図で1平方メートル当たりの価額を引く

    国税庁は「路線価図の閲覧の仕方」というページで、町丁名索引からたどる方法を6つのステップとして示しています。ステップ名は同ページの表記どおりです。

    1. 閲覧する都道府県を選択します
    2. 「路線価図」を選択します
    3. 閲覧する市区町村を選択します
    4. 町丁名索引が表示されます
    5. 下方へ変遷し該当箇所を選択します
    6. (例として)銀座5丁目の路線価図が表示されます

    この通りに実際にたどると、次のようになります(2026年9月12日実査)。トップページで年分を選ぶ画面には「ご覧になる年分を選択してください。(現在、令和8年分を選択中です。)」と表示され、令和8年分から平成30年分までが並びます。都道府県を選ぶと「東京都 財産評価基準書目次」が開き、「1. 土地関係」の下に「路線価図」と「評価倍率表(一般の土地等用/大規模工場用地用/ゴルフ場用地等用)」が並びます。ここで「路線価図」を選ぶと市区町村の一覧になり、「1月1日現在の市区町村名を表示していますので、1月2日以降に市区町村名が変更となった場合には変更前の市区町村をクリックしてください」という注記が付いています。

    市区町村(例:中央区)を選ぶと「中央区 (路線価図・町丁名索引)」が開きます。表の列は「地名(町又は大字)」と「路線価図ページ番号」の2つで、同ページには「地名(町又は大字)から探す場合には、このページの町丁名(五十音順)に続く番号(路線価図ページ番号)をクリックしてください」「地図で探す場合には索引図をご利用ください」と書かれています。実際に銀座5の行には18007・18008・18012という3つの番号が並んでいました。1つの町丁が複数の図にまたがるため、番号が複数出るのは普通のことです。

    番号をクリックすると路線価図のページが開きます(例:18007)。図はPDF形式で埋め込まれており、左側には「路線価図の説明を見る」「評価明細書・調整率表を見る」「この市区町村の索引図を見る」「この市区町村の評価倍率表を見る」「路線価図(PDF)のみを表示」というメニューが並びます。上部には「接続図」として隣り合う図の番号(18007の場合は18004・18008・18011・18012)が表示され、「当図と接続している路線価図番号を表示しています。ご覧になりたい番号をクリックし移動してください」と案内されています。探している道路が図の端で切れていたら、接続図の番号へ移動する——ここが実務で迷いやすい部分です。

    この記事では、路線価図PDFの中に描かれている個々の道路の数値までは読み取っていません(PDFの図面のため)。ご自身の土地の前面道路の数字は、上の手順で開いたPDFで確認してください。

    国税庁「路線価図の閲覧の仕方」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/howtobrowse.htm/同「財産評価基準書 東京都(路線価図)中央区 町丁名索引」 https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r08/tokyo/tokyo/prices/d24201fr.htm/同「令和8年分 財産評価基準書 18007 – 路線価図」 https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r08/tokyo/tokyo/prices/html/18007f.htm(いずれも2026年9月12日確認)

    3. 数字の読み方——「215D」は何を表しているか

    路線価図に並ぶ数字と記号の読み方は、国税庁「路線価図の説明」に定義があります。

    まず路線価そのものの定義です。「路線価は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示しています。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います」。千円単位なので、図に「215」とあれば215,000円です。

    数字の右隣のアルファベットは借地権割合です。同ページの対応表は次のとおりです。

    記号ABCDEFG
    借地権割合90%80%70%60%50%40%30%
    国税庁「路線価図の説明」の記載(2026年9月12日確認)。

    国税庁が挙げている読み取り例は「215D」=1平方メートル当たりの路線価が215,000円で、借地権割合が60%。路線価図のページ自体にも同じ形式の凡例があり、「300D」=1平方メートル当たり300,000円(借地権割合「D」は60%)と表示されています。なお地図部分の丸囲み数字は街区番号で、「A町2丁目」と丸囲みの「12」があれば「A町2丁目12番」を示す、という説明も同ページにあります。

    路線価に面積を掛ければ終わり、ではありません。国税庁の計算例(普通商業・併用住宅地区、表記「300C」、奥行距離35メートル、700平方メートルの土地)はこうです。

    • 路線価300,000円 × 奥行距離35メートルに応ずる奥行価格補正率0.97 = 1平方メートル当たりの価額291,000円
    • 291,000円 × 地積700平方メートル = 自用地の価額203,700,000円

    つまり奥行や形状に応じた補正率が間に入るということです。タックスアンサーNo.4604も、正面路線価に奥行価格補正率を乗じ、角地なら側方路線影響加算額を足す形を示したうえで、「正面路線は、原則として、その宅地の接する路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した金額の高い方の路線とします」と注記しています(根拠法令等は評基通13、14、15~18)。補正率の一覧は同サイトの「評価明細書・調整率表」に置かれています。

    国税庁「路線価図の説明」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm/国税庁タックスアンサー「No.4604 路線価方式による宅地の評価」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4604.htm(いずれも2026年9月12日確認)

    4. 路線価が無い地域は「評価倍率表」を見る

    地方の土地では、路線価図に数字ではなく「倍率地域」と書かれていることがあります。この場合は評価倍率表に切り替えます。国税庁「評価倍率表(一般の土地等用)の閲覧の仕方」が示す手順は4ステップです。

    1. 閲覧する都道府県を選択します
    2. 「一般の土地等用」を選択します
    3. 閲覧する市区町村を選択します
    4. (例として)千葉市中央区の評価倍率表が表示されます

    評価倍率表の見方は「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」に書かれています。要点は3つです。

    • 「評価倍率は、路線価が定められていない地域の土地等を評価する場合に用います」
    • 「宅地」欄には固定資産税評価額に乗ずる倍率が載るが、「路線」と表示してあるのは、その地域が路線価地域であることを示す(=路線価図に戻る)
    • 「適用地域名」欄が「一部」または「路線価地域」なら、その町・大字に路線価地域と倍率地域が混在している。どちらに所在するかは路線価図で確認する

    計算は単純です。国税庁の計算例では、宅地の固定資産税評価額10,000,000円 × 倍率1.1 = 評価額11,000,000円。タックスアンサーNo.4606も「路線価が定められていない地域の土地を評価する場合には、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算した金額で評価します」とし、固定資産税評価額は「都税事務所や市(区)役所または町村役場で確認することができます」と案内しています(根拠法令等は評基通21、21-2)。

    国税庁「評価倍率表(一般の土地等用)の閲覧の仕方」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/howtobrowse_ratios.htm/同「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_rtof.htm/国税庁タックスアンサー「No.4606 倍率方式による土地の評価」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4606.htm(いずれも2026年9月12日確認)

    5. 手順B:不動産情報ライブラリで地価公示・都道府県地価調査を引く

    国土交通省「不動産情報ライブラリ」は、同省が「不動産の取引価格、地価公示等の価格情報や防災情報、都市計画情報、周辺施設情報等、不動産に関する情報をご覧になることができる国土交通省のWEBサイトです」と説明しているサイトです。トップから「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」へ進みます。

    検索条件は5つ。マニュアルの記載順にそのまま並べます。

    条件指定できる内容(マニュアルの記載)
    ①区分選択「地価公示」と「地価調査」をチェックボックスで指定
    ②地域選択都道府県単位または市区町村単位。合計10件まで。都道府県地価調査の林地は都道府県単位でのみ検索可能
    ③用途区分選択住宅地/商業地/工業地/宅地見込地/準工業地/市街化調整区域内の現況宅地/市街化調整区域内の現況林地(地価公示のみ)/林地(都道府県地価調査のみ)の8項目
    ④調査年選択プルダウンメニューから指定
    ⑤標準地番号・基準地番号番号を直接入力して指定
    国土交通省「Webの利用方法(地価公示・地価調査)」の記載(2026年9月12日確認)。

    「一覧表示」を押すと結果が表になります。ここから3方向に飛べるのが便利な点です。マニュアルによれば、「標準地番号または基準地番号」のリンクで個別画面、「所在及び地番」のリンクで地図表示画面、「鑑定評価書」のリンクで鑑定評価書表示画面(PDF形式またはHTML形式)が開きます。鑑定評価書まで見えるので、なぜその価格になったのかの根拠まで追えます。

    なお検索画面には「検索結果(該当件数)が1万件を超えた場合、表示される情報は1万件まで」という留意事項が表示されています。市区町村単位まで絞るのが現実的です。

    それぞれの制度の定義も、同サイトの利用約款に明記されています。地価公示は「地価公示法(昭和44年法律第49号)第2条第1項に基づく公示」で、土地鑑定委員会が標準地を選び、2名の鑑定評価員(不動産鑑定士)の鑑定評価をもとに毎年1月1日時点の1平方メートルあたりの正常な価格を判定し公示するもの。都道府県地価調査は「国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)第9条に基づき」、都道府県知事が毎年7月1日における基準地の標準価格を判定し周知するものです。

    国土交通省「不動産情報ライブラリ」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp//同「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices//同「Webの利用方法(地価公示・地価調査)」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/manual//同「利用約款」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/(いずれも2026年9月12日確認)

    6. 手順C:同じサイトで「実際に売買された価格」を引く

    公示価格や路線価は行政が判定した価格です。これに対して、実際の取引で動いた金額を見るのが「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」です。トップの同名ボタンから入ります。

    マニュアルが示す検索条件は4つです。

    条件指定できる内容(マニュアルの記載)
    ①地域選択「住所からの場合」=都道府県・市区町村・地区をプルダウンで指定(都道府県だけでも可)/「路線・駅名からの場合」=地方・路線・駅を指定(駅名まで指定すると結果が出る)
    ②価格情報区分選択「不動産取引価格情報」または「成約価格情報」。両方の指定も可
    ③種類選択土地/土地と建物/宅地/中古マンション等/農地/林地/すべて。成約価格情報は「土地と建物」「中古マンション等」のみ(成約価格情報の「土地と建物」は戸建てを指す)
    ④時期選択取引時期を指定。地図画面で表示可能な期間は直近5年分
    国土交通省「Webの利用方法(不動産価格(取引価格・成約価格)情報検索)」の記載(2026年9月12日確認)。

    結果画面からは、各行の「詳細表示」で個別の取引の詳細、「最寄駅」リンクで土地の1平方メートル単価と駅までの距離の散布図、「前面道路」リンクで単価と前面道路の幅員の散布図が開きます。さらに「土地取引価格の概況画面を表示」ボタンで、その地域の基本統計量(土地面積あたり単価の平均値など)が表とグラフで確認できます。条件を指定したうえでダウンロードボタンからCSVファイルも取得できます。

    この2つのデータが何なのかも、利用約款に定義があります。不動産取引価格情報は「土地・建物の取引を対象としたアンケート調査の結果得られた回答について、個別の物件を特定できないよう加工した」もの。成約価格情報は「指定流通機構(レインズ)保有の不動産取引価格情報を、国土交通省が個別の不動産取引が特定できないよう加工し」、レインズ・マーケット・インフォメーション(RMI)で公表している情報です。どちらも個別の物件を特定できないよう加工されている点は押さえておいてください。

    国土交通省「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices//同「Webの利用方法(不動産価格(取引価格・成約価格)情報検索)」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/manual//同「利用約款」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse/(いずれも2026年9月12日確認)

    7. 引いた数字をどこまで信じるか——公表主体自身が書いている限界

    ここが一番大事な節です。引けた数字を「うちの土地の値段」と読み替えると、話がずれます。公表している側が、限界をはっきり文章にしています。

    国土交通省は地価公示価格等について、「近隣地域の標準的な画地の価格水準を示すものであって、最高又は最低の地価を示すものではありません」と明記しています。さらに「土地の価格は、地域を異にする場合はもとより同一の近隣地域に所在するものであっても、地積、形状、接面道路の状況等個別の価格を形成する要因の違いに応じて異なるものです」とも書かれています。隣の標準地が高くても、形の悪い土地が同じ単価になるとは限らないということです。

    時点のずれもあります。地価公示価格等は基準日(地価公示は1月1日、都道府県地価調査は7月1日)における1平方メートル当たりの価格であり(都道府県地価調査の林地は10アール=1,000平方メートル当たり)、利用する際は価格時点の相違による変動を考慮する必要があると案内されています。加えて同サイトの利用約款第3条は、「作成・更新時点はコンテンツごとに異なっており、内容が最新のものではないことがあります」「コンテンツは、不動産取引時における重要事項説明や建築確認申請等の手続に用いることを保証するものではなく、参考情報としての利用を想定しています」としています。

    路線価の側にも注意書きがあります。国税庁の財産評価基準書は、冒頭で「この財産評価基準は、令和8年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用します」と適用対象を限定しています。路線価は相続税・贈与税の評価のために公表されている数字であって、担保評価そのものではありません。

    なお、路線価と公示価格の比率(「路線価は公示価格の何割」といった関係)を定めた記載は、今回実査した一次情報の中にはありませんでした(記載なし)。よく語られる比率を当サイトでは採用しません。

    国土交通省「地価公示・地価調査の制度や用語の説明」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices/about//同「利用約款」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/help/termsOfUse//国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」 https://www.rosenka.nta.go.jp/(いずれも2026年9月12日確認)

    8. 条文が挙げている資料と、掛目(担保評価率)の話

    ここまで引いてきた数字は、法令の条文に名指しで登場します。貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第10条の21第1項第6号は、不動産担保貸付けについてこう書いています——貸付けの金額が契約締結時における「当該不動産の価格(鑑定評価額、公示価格、路線価、固定資産税評価額(地方税法第三百八十一条第一項又は第二項の規定により土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されている価格をいう。)その他の資料に基づき合理的に算出した額をいう。)」の範囲内であるものに限る、と。公示価格・路線価・固定資産税評価額という、この記事でたどってきた3つがそのまま並んでいます(e-Gov法令検索で取得した版は2026年8月6日施行の改正を反映したもの)。

    ここで肝心なのは、条文が定めているのは「価格の範囲内」という上限の形だけだという点です。「価格の何割まで貸す」という掛目(担保評価率)の数値は、条文にも、国税庁・国土交通省の公表資料にも書かれていません(記載なし)。掛目は各社の内規であり、公表された一次情報として確認できるものは見つかりませんでした。ですから、この記事で引いた金額に何かの率を掛けて「借りられる額」を出すことはできません。実際の借入額とその後の返済がどうなるかは、提示された条件を返済シミュレーターに入れて確かめてください。

    もう一点。同条第2項第5号は、貸金業者が保存すべき書面としてイ「当該不動産の価格の算出の根拠を記載した書面」/ロ「当該不動産の登記事項証明書」/ハ 担保権が実行された場合に当該不動産が売却される可能性があることについての同意書の3点を挙げています。つまり価格の算出根拠は書面に残る建て付けになっています。自分で公的データを引いておけば、示された評価額と見比べる足場ができます。条文の構造そのものは不動産担保ローンと総量規制で、契約時にかかるお金は不動産担保ローンでかかる費用で扱っています。

    そして、申込先が登録を受けた貸金業者かどうかの確認は、価格を調べるより先です(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。総量規制との関係は総量規制とはにまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(2026年9月12日確認・条文原文はe-Gov法令APIで取得)

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    よくある質問

    路線価はいつの時点の価格ですか?

    国税庁の財産評価基準書は、令和8年分について「令和8年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用します」と記載しています。サイトでは令和8年分(最新)から平成30年分までの9年分が公開されています(2026年9月12日確認)。

    路線価は公示価格の何割ですか?

    その比率を定めた記載は、今回実査した一次情報(国税庁 財産評価基準書・同タックスアンサー・国土交通省 不動産情報ライブラリ・e-Gov法令検索)にはありませんでした(記載なし)。当サイトでは推測で比率を書きません。

    担保評価の掛目は何%ですか?

    掛目(担保評価率)の数値を定めた公表資料は、実査した一次情報に見当たりませんでした(記載なし)。貸金業法施行規則第10条の21第1項第6号が定めているのは、貸付けの金額が「当該不動産の価格」の範囲内であること、という上限の形だけです。率は各社の内規であり、公表されていません(2026年9月12日確認)。

    固定資産税評価額はどこで確認できますか?

    国税庁の評価倍率表の説明は「固定資産税評価額は、都税事務所や市(区)役所又は町村役場で確認してください」と案内しており、タックスアンサーNo.4606も「都税事務所や市(区)役所または町村役場で確認することができます」と記載しています(2026年9月12日確認)。取得の窓口と書類名は不動産担保ローンの必要書類にまとめています。

    調べた数字をそのまま担保評価額として使えますか?

    国土交通省は、地価公示価格等は「近隣地域の標準的な画地の価格水準を示すものであって、最高又は最低の地価を示すものではありません」と明記し、同サイトのコンテンツについて「参考情報としての利用を想定しています」としています。また路線価は相続税・贈与税の財産評価に適用される基準です。いずれも担保評価額そのものではありません(2026年9月12日確認)。


    国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」 https://www.rosenka.nta.go.jp//国税庁「路線価図の説明」 https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm/国土交通省「不動産情報ライブラリ」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp//e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(国税庁 財産評価基準書・国税庁タックスアンサー・国土交通省 不動産情報ライブラリ・e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。画面の文言・メニュー名・注記は2026年9月12日時点で実際に取得できた表示に基づくもので、変更されることがあります。路線価図PDFの中身、地図表示画面(GIS)の操作、掛目(担保評価率)については確認できなかったため「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上・税務上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 手数料は金利に含まれるのか|利息制限法第3条「みなし利息」と利息に算入されない費用を条文で確認する

    手数料は金利に含まれるのか|利息制限法第3条「みなし利息」と利息に算入されない費用を条文で確認する

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    先に結論:利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者が受ける「元本以外の金銭」を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。つまり「金利とは別の事務手数料」という名目でも、原則として上限金利の計算に取り込まれます。除かれるのは第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」ですが、業者からの借入れ(営業的金銭消費貸借)では、その除外の範囲が同法第6条と政令によって具体的に絞り込まれています。

    広告に出ている年率と、契約書の費用欄に並ぶ名目。この2つの関係を決めているのは、貸し手の説明ではなく条文です。この記事は、利息制限法・同法施行令・貸金業法・同法施行令の原文(2026年9月12日にe-Gov法令検索の法令APIでJSON全文を取得して確認)だけを根拠に、どの費用が利息に算入され、どの費用が算入されないのかを整理した記録です。

    表示される年率そのものの読み方(貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」)は実質年率とはで扱っています。この記事はその手前、何が利率の分子に入るのかの話です。

    1. 利息制限法第3条:名目を変えても利息として数える

    利息制限法第3条(みなし利息)の原文は次のとおりです(2026年9月12日確認・強調は引用者)。

    前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。

    読み方のポイントは3つです。

    • 「前二条」=第1条と第2条。第1条は利息の上限(元本の額が十万円未満の場合は年二割、十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、百万円以上の場合は年一割五分)を定め、第2条は利息の天引きについて定めています。第3条は、この2つの条文を適用するときの「利息」の数え方のルールです。
    • 判断の基準は名目ではなく実質。条文は「その他いかなる名義をもってするかを問わず」と書いています。事務手数料でも調査料でも、債権者が受ける元本以外の金銭であれば同じ扱いになります。
    • 除外はただし書の1種類だけ。「契約の締結及び債務の弁済の費用」です。この範囲が争点になるため、営業的金銭消費貸借については第6条が別途細かく定めています(次章)。

    なお「営業的金銭消費貸借」という用語は、同法第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義されています(2026年9月12日確認)。貸金業者から借りる場合が、これに当たります。

    e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第5条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    2. 業者からの借入れでは、除外されるのは3つだけ(第6条第2項)

    第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」は、一般論としては幅のある言葉です。ところが利息制限法第6条第2項は、営業的金銭消費貸借について「次に掲げる契約の締結及び債務の弁済の費用に限り、第三条ただし書の規定の適用があるものとする」と定め、対象を号で限定しています(2026年9月12日確認)。

    号条文の内容(利息制限法第6条第2項)
    第1号公租公課の支払に充てられるべきもの
    第2号強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
    第3号債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。)
    利息制限法第6条第2項第1号〜第3号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    ここが実務で効いてきます。「契約の費用だから金利とは別」という説明があっても、この3つの号に当てはまらなければ第3条ただし書は適用されず、本文に戻って利息とみなされる、というのが条文の構造です。第3号のATM等の利用料には、さらに「政令で定める額の範囲内」という上限が付いています。

    e-Gov法令検索「利息制限法」第6条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    3. 政令が列挙した「利息とみなされない費用」と、ATM利用料の上限

    利息制限法第6条第1項は、営業的金銭消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭のうち、「金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの」については第3条本文の規定を適用しないと定めています(2026年9月12日確認)。

    その「政令」が利息制限法施行令(平成十九年政令第三百三十号)です。同令第1条(利息とみなされない費用)は、次の3つを列挙しています(いずれも消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含む。2026年9月12日確認)。

    号利息とみなされない費用(利息制限法施行令第1条)
    第1号金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料
    第2号貸金業法の規定により交付された書面の再発行、および書面の交付に代えて電磁的方法により提供された事項の再提供の手数料
    第3号口座振替の方法による弁済において、債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続に要する費用
    利息制限法施行令第1条第1号〜第3号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    そして同令第2条が、利息制限法第6条第2項第3号にいう機械の利用料の上限額を定めています。

    区分政令で定める額(消費税額等相当額を含む)
    現金自動支払機その他の機械を利用して受け取り、又は支払う額が一万円以下の場合百十円
    同じく一万円を超える場合二百二十円
    利息制限法施行令第2条第1号・第2号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    列挙は限定的です。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、そして枠内のATM利用料。それ以外の名目で債権者が受け取る元本以外の金銭は、第3条本文に戻って利息として数えるのが条文の建て付けです。逆にいえば、名目が何であれ、上限との関係を見るときは「利息+それ以外に払う金銭」を合算して考えることになります。金額の実感は返済シミュレーターで総返済額を出すとつかみやすくなります。

    e-Gov法令検索「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「利息制限法」第6条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月12日確認)

    4. 貸金業者にはもう一本、貸金業法の「みなし利息」がある

    相手が貸金業者の場合、利息制限法に加えて貸金業法が重なります。貸金業法第12条の8第1項は「貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。)が利息制限法第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない」と定め、同条第4項は超過部分を受領すること、その支払を要求することも禁止しています(2026年9月12日確認)。

    その「みなし利息」の定義が同条第2項です。礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭から、(a) 契約の締結及び債務の弁済の費用であって同項各号に掲げるもの、(b) 債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの、を除いたもの——という組み立てです。各号は利息制限法第6条第2項と同じ3つ(公租公課/公の機関の手続費用/機械の利用料)です。

    (b) の政令は貸金業法施行令(昭和五十八年政令第百八十一号)で、第3条の2の2(利息とみなされない費用)がカードの再発行手数料・書面の再発行および事項の再提供の手数料・再度の口座振替手続に要する費用の3つを列挙し、第3条の2の3が機械の利用料の上限を一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円と定めています(2026年9月12日確認)。利息制限法側と同じ内容です。

    論点利息制限法(民事上の効力)貸金業法(業者に対する規制)
    原則第3条=名目を問わず元本以外の金銭は利息とみなす第12条の8第2項=同趣旨の「みなし利息」を定義
    除外される契約締結・弁済の費用第6条第2項第1号〜第3号第12条の8第2項第1号〜第3号
    事務の費用(政令の列挙)利息制限法施行令第1条第1号〜第3号貸金業法施行令第3条の2の2第1号〜第3号
    機械の利用料の上限利息制限法施行令第2条=110円/220円貸金業法施行令第3条の2の3=110円/220円
    超えたときの効果第1条・第3条=超過部分は無効第12条の8第1項・第4項=契約の締結、受領、支払の要求を禁止
    両法の対照(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。条・項・号は各原文の表記による。

    なお、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)の本則には、この「利息とみなされない費用」を列挙した条はありません(本則を走査して確認・記載なし)。列挙しているのは上記のとおり政令です。施行規則が定めているのは、掲示する利率の算出方法(第11条第1項第1号=別表中の算式一)や表示の細かさ(第11条第4項=年率を百分率で少なくとも小数点以下一位まで表示)といった表示のルールのほうです。

    e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日確認)

    5. 合算した結果が超えるとどうなるか

    金融庁は「貸金業法のキホン」で、法律上の上限金利を2本立てで説明しています(2026年9月12日確認)。

    • 利息制限法の上限金利(超過すると民事上無効):貸付額に応じ15%〜20%
    • 出資法の上限金利(超過すると刑事罰):改正前は29.2%

    同ページは、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられてグレーゾーン金利が撤廃され、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%〜20%)になったこと、利息制限法の上限を超える金利帯での貸付けは民事上無効で行政処分の対象にもなり、出資法の上限を超える金利帯での貸付けは刑事罰の対象になることを明記しています。

    ここに利息制限法第3条が効きます。手数料の名目で受け取った金銭も利息として数えるため、約定の金利が上限の内側でも、みなし利息を足した結果が第1条の金額を超えれば超過部分は無効という順番になります。上限の早見は上限金利の記事、超過した場合の全体像は総量規制の記事と併せて確認してください。

    金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html/同「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月12日確認)

    6. 遅延損害金と保証料は、別のものさしで見る

    費用の話でまぎれやすい2つを、条文で切り分けておきます。

    • 遅延損害金(賠償額の予定):利息制限法第4条第1項は、債務の不履行による賠償額の予定が第1条に規定する率の一・四六倍を超えるときは超過部分を無効とし、同条第2項は違約金を賠償額の予定とみなすと定めています。さらに第7条第1項は、営業的金銭消費貸借については年二割を超えるときに超過部分を無効とする特則を置いています(2026年9月12日確認)。詳しくは遅延損害金の記事へ。
    • 保証料:利息制限法第8条第1項は、営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る)がされた場合の保証料の契約について、主たる債務の元本に係る法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額を超える部分を無効とする、という別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を、一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています(2026年9月12日確認)。一方、保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし)。

    e-Gov法令検索「利息制限法」第4条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    7. 契約前に見るところ

    条文を踏まえると、契約前に確認する項目はごく具体的になります。

    • 費用欄の名目と額を書面で押さえる。貸付契約の書面は契約前と契約時の2回交付されます(→貸付契約の書面)。口頭の説明ではなく、書面に並んだ名目で判断します。
    • その費用が政令の列挙に当たるかを見る。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、枠内のATM利用料以外の名目であれば、利息として数える側に入り得ます。
    • 表示された年率の意味を確認する。貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」は、利息およびみなし利息の総額をもとに算出した年率を百分率で表示するものと定義されています(→実質年率とは、返済シミュレーションの読み方)。
    • 広告の表示が法の要求を満たしているかも手がかりになります(→貸金業者の広告規制)。
    • そもそも登録された貸金業者かを先に確認します(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。登録のない相手についてはヤミ金の見分け方を参照してください。

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    よくある質問

    事務手数料は金利とは別、と説明されました。条文ではどうなっていますか?

    利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。除かれるのは同条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」で、営業的金銭消費貸借ではその範囲が第6条第2項第1号〜第3号(公租公課/公の機関が行う手続に関して支払うもの/機械の利用料)に限られます(2026年9月12日・条文確認)。

    ATMの手数料は利息に含まれますか?

    債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料は、政令で定める額の範囲内であれば第3条ただし書の適用対象です(利息制限法第6条第2項第3号)。その額は利息制限法施行令第2条で、一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円(いずれも消費税額等相当額を含む)と定められています。貸金業法側でも貸金業法施行令第3条の2の3が同じ額を定めています(2026年9月12日確認)。

    繰上返済手数料や振込手数料はどちらに入りますか?

    個別の名目がどちらに分類されるかを定めた条文は、今回確認した範囲にはありません(記載なし)。条文が定めているのは判断の枠で、第3条本文で利息とみなすことを原則とし、利息制限法第6条第2項各号と利息制限法施行令第1条各号(貸金業者については貸金業法第12条の8第2項各号と貸金業法施行令第3条の2の2各号)に当たるものだけが外れる、という構造です。

    保証料も金利に含まれますか?

    利息制限法第8条第1項は、保証料について「法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額」を超える部分を無効とする別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています。保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし・2026年9月12日確認)。

    銀行のローンの手数料も同じルールですか?

    この記事で確認した貸金業法第12条の8・第14条の主語は「貸金業者」です。銀行等が受け取る費用の扱いについては、今回確認した条文には記載がありません(記載なし)。利息制限法は金銭を目的とする消費貸借一般について定めており、第6条の特則は営業的金銭消費貸借(第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義)を対象としています(2026年9月12日確認)。


    e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8・第14条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日に法令APIでJSON全文を取得して確認)/金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html(2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁)のみを根拠に作成しています。条・項・号の表記は各法令の原文によるもので、法令は改正されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 創業融資の条件|日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」と信用保証協会「創業関連保証」の公表内容

    創業融資の条件|日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」と信用保証協会「創業関連保証」の公表内容

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    創業のときの資金調達は、情報の質がいちばん荒れる場面です。「いくら自己資金があれば借りられるのか」「何日で入金されるのか」といった話が、根拠のないまま流通しています。

    先に結論:創業時の公的な借入れルートは大きく2本で、どちらも条件が公式サイトに公表されています。ひとつが日本政策金融公庫(国民生活事業)が直接貸す融資、もうひとつが信用保証協会の保証をつけて民間金融機関から借りる形です。この記事は、その2本について公表されている条件を、公式サイトの表記と条文の原文のまま、出典URLと確認日つきで並べた記録です。

    あわせて、公表されていない項目は「記載なし」と書いています。とくに自己資金の金額の要件と、申込みから入金までの日数は、今回確認したページに記載がありませんでした。この記事でも金額の目安や日数は書きません。

    1. 創業時の公的な借入れは、性格の違う2本立て

    まず、2本の違いを整理します。貸し手が誰かが決定的に違います。

    日本政策金融公庫の融資信用保証協会の保証つき融資
    お金を貸す先日本政策金融公庫(国民生活事業)民間の金融機関(銀行・信用金庫等)
    信用保証協会の役割関与しない借入れの債務を保証する
    申込みの窓口公庫の支店/インターネット申込金融機関、信用保証協会。地方自治体や商工団体(商工会・商工会議所、中小企業団体中央会等)で受付を行っているケースもある
    利用者が払うもの利息利息+信用保証料(信用保証をご利用になる対価)
    返済先公庫金融機関
    日本政策金融公庫および全国信用保証協会連合会の各公式ページの表記から整理(2026年9月12日確認)。

    信用保証協会は、あなたにお金を貸す機関ではありません。金融機関からの借入れの債務を保証する機関で、借りたお金は金融機関に返します。全国信用保証協会連合会は「信用保証料」について、保険料ではないため、信用保証協会による代位弁済が行われた後は、利用者から信用保証協会へ弁済すると明記しています。ここは誤解の多いところです(→信用保証協会とは、公庫の融資と民間の借入れの違い)。

    なお、自治体が金融機関・保証協会と組んで用意する制度融資は、この2本目の派生形です(→制度融資とは)。

    全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」 https://www.zenshinhoren.or.jp/flow/(2026年9月12日確認)/同「信用保証料」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoryo/(2026年9月12日確認)

    2. 公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の公表条件

    日本政策金融公庫 国民生活事業が創業向けに公表している制度が「新規開業・スタートアップ支援資金」です。同ページの「概要」の表記は次のとおりです(2026年9月12日確認)。

    項目公庫サイトの表記(原文)
    ご利用いただける方「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方(注1)」
    資金のお使いみち「新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金(注2)」
    融資限度額「7,200万円」
    ご返済期間(設備資金)「20年以内<うち据置期間5年以内>」
    ご返済期間(運転資金)「10年以内<うち据置期間5年以内>(注2)」
    利率(年)「基準利率。ただし、次の要件に該当する方が必要とする資金(原則として土地にかかる資金を除く。)は特別利率。」(要件の一覧は同ページに掲載)
    担保・保証人「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。」
    併用できる特例制度「経営者保証免除特例制度」「創業支援貸付利率特例制度」「賃上げ貸付利率特例制度」
    自己資金の要件同ページに記載なし
    審査・入金までの日数同ページに記載なし
    日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年9月12日確認)。

    注記も条件の一部です。原文は次のとおりです。

    • (注1)「『新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方』に限ります。なお、創業計画書のご提出等をいただき、事業計画の内容を確認させていただきます。」
    • (注2)「『廃業歴等があり、創業に再チャレンジする方』は、前事業に係る債務を返済するために必要な資金もお使いいただくことができ、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)までご利用いただけます。」
    • 留意事項「お使いみち、ご返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。」「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。」

    ここで押さえたいのは、公表されているのは限度額であって、借りられる額ではないという点です。7,200万円は制度の上限の表記です。また、自己資金の金額に関する要件は、このページには書かれていません。書かれているのは事業計画に関する(注1)の要件と、創業計画書の提出です。

    日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html(2026年9月12日確認)

    3. 利率は「名称」で書かれている=数値は金利情報ページにある

    制度ページの利率欄は「基準利率」「特別利率A」といった名称だけで、数値は載っていません。数値は同じ公庫サイトの別ページ(金利情報)にあります。掲載日の表記は「令和8年9月1日現在」です。

    創業期に関係が深いのは、無担保で融資を利用する場合の「税務申告を2期終えていない方」の表です。

    利率名称税務申告を2期終えていない方(年利%)税務申告を2期終えている方(年利%)有担保(年利%)
    基準利率3.75〜5.353.80〜5.402.80〜5.00
    特別利率A3.35〜4.953.40〜5.002.40〜4.60
    特別利率B3.10〜4.703.15〜4.752.20〜4.35
    特別利率C2.85〜4.452.90〜4.502.15〜4.10
    特別利率E2.35〜3.952.40〜4.002.15〜3.60
    特別利率J2.70〜4.302.75〜4.352.00〜3.95
    特別利率P3.55〜4.753.60〜4.802.60〜4.40
    特別利率Q3.35〜4.553.40〜4.602.40〜4.20
    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(令和8年9月1日現在・2026年9月12日確認)。

    同ページには次の注記もあります。「融資制度、お使いみち、ご融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。」「(注)利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります。」。また、遅延損害金の割合は年9.10%(令和8年4月1日から令和9年3月31日までの貸付け)と記載されています。

    上の表はいずれも幅(〜)で示された値です。自分の返済額に落とすときは、金利と期間を入れて計算してください(→返済シミュレーター、返済シミュレーションの読み方)。表示された年率の意味は実質年率とはにまとめています。

    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html(2026年9月12日確認)

    4. 公庫側で併用できる2つの特例制度

    制度ページに「併用できる特例制度」として挙がっているうち、創業期に直接関係する2つの表記を確認しました。

    創業支援貸付利率特例制度

    • ご利用いただける方:「新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方」
    • 利率(年):「各種融資制度に定める利率-0.65%ただし、雇用の拡大を図る場合は、各種融資制度に定める利率-0.9%」
    • その他:「上記以外の融資条件は、各種融資制度に定める条件が適用されます。」「一部ご利用いただけない融資制度があります。」

    経営者保証免除特例制度

    • 前文:「『経営者保証に関するガイドライン』に対応する制度として、経営者の保証を不要とする融資を希望される方に対し…お取り扱いしています。」
    • ご利用いただける方:「次の1から7までのいずれかの要件を満たしており、経営状況等から借入返済が可能と見込まれる法人の方」。うち2番目が「新たに事業を始める方または税務申告を2期終えていない方であって、前1(1)の要件を満たす方」
    • その「1(1)」の要件:「法人と代表者の方の一体性の解消が一定程度図られていることについて、公庫において確認ができること(注1)」。(注1)は「事業上の必要が認められない法人から経営者への貸付金等がないことをいいます。」
    • 利率(年):「各種融資制度に定める利率(上乗せ利率はありません。)」
    • 担保・保証人:「ご融資にあたり、経営者の保証が免除されます。担保の提供の有無は、お申込の際に選択いただけます。」

    対象が法人と明記されている点と、「法人と代表者の方の一体性の解消が一定程度図られていること」が要件に入っている点が要注意です。何をもって確認するかは(注1)に書かれており、「事業上の必要が認められない法人から経営者への貸付金等がないこと」がその内容です。保証人を頼まれる側・なる側の話は保証人になる前ににまとめています。

    日本政策金融公庫「創業支援貸付利率特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyo_tokurei_m.html(2026年9月12日確認)/同「経営者保証免除特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keitoku.html(2026年9月12日確認)

    5. 信用保証協会が公表している創業向けの3制度

    全国信用保証協会連合会は、創業向けの保証制度として3本を挙げています。創業関連保証、再挑戦支援保証、スタートアップ創出促進保証制度です。以下は同サイトの記載を要約したものです(2026年9月12日確認)。

    制度位置づけ保証限度額
    創業関連保証個人による創業や、新たに法人を設立して行う事業に必要な資金を調達する際に利用できる保証制度3,500万円
    再挑戦支援保証経営状況の悪化により過去に営んでいた事業を廃止または会社を解散した経験がある方の再挑戦を支援する保証制度。創業関連保証とは異なり、分社化による創業の場合は利用できない3,500万円
    スタートアップ創出促進保証制度創業関連保証の保証料率(各信用保証協会所定)に0.2%上乗せすることで、経営者が会社の連帯保証人となる必要がない保証制度3,500万円
    全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」の記載を要約(2026年9月12日確認)。

    同ページの【ポイント】には、見落としやすい記載が3つあります。

    • 「経営実績がない創業時に融資を受けるには、『創業計画書』が必要です。ひな形が用意されていますので、ご相談ください。」
    • 「いずれの保証も併用することが可能です。併用した場合、『創業関連保証』、『再挑戦支援保証』、『スタートアップ創出促進保証制度』の合計で3,500万円が保証限度額となります。」=3本を足した額が限度額になるわけではありません。
    • 「『創業支援』の専門部署を設けている信用保証協会もあります。」

    対象になる方の類型は、「事業を営んでいない個人が1か月以内に事業を開始する具体的計画がある」「2か月以内に法人を設立し事業を開始する具体的計画がある」「事業を開始してから5年未満」「設立から5年未満」といった形で列挙されています。いずれの制度にも「※市区町村が実施する認定特定創業支援等事業により支援を受けて創業する方は、6月以内となります」という注記があります。

    なお、保証全体の前提条件として、同連合会は次の点も公表しています(「ご利用条件」より)。

    • 業種:「大半の商工業の業種は保証対象となりますが、農業、林業(素材生産業及び素材生産サービス業を除く)、漁業、金融・保険業(一部の金融・保険業を除く)の業種は保証対象外となります。」
    • 許認可:「許認可・届出等を要する事業を営んでいる(または、営む)場合は、当該事業に係る許認可等を受けている(または、受ける)ことが必要です。」
    • 区域:「原則として、各信用保証協会の管轄区域で事業を営んでいる必要があります。」
    • 資金の使途:「保証対象となる資金は、事業経営に必要な資金(運転資金および設備資金)に限られています。」
    • 保証人:「法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません。」「個人事業者の場合、連帯保証人は原則必要ありません。」
    • 「※反社会的勢力は信用保証制度を利用できません。」

    個人で創業する場合の借入れの型は個人事業主の融資にまとめています。

    全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」 https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/sogyo/(2026年9月12日確認)/同「ご利用条件」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/(2026年9月12日確認)

    6. 「3,500万円」の別枠は、どの条文から出てくるのか

    創業関連保証の3,500万円は、協会が独自に決めた数字ではありません。法律の条文に書かれています。e-Gov法令検索で原文を確認しました(2026年9月12日確認)。

    根拠は産業競争力強化法 第百二十九条(中小企業信用保険法の特例)第1項です。同項は、創業関連保証を受けた創業者について、中小企業信用保険法第三条の二第一項の「保険価額の合計額が八千万円」という文言を、「同法第百二十九条第一項に規定する創業関連保証(以下「創業関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額及びその他の保険関係の保険価額の合計額がそれぞれ三千五百万円及び八千万円」と読み替える、と定めています。

    つまり創業関連保証の3,500万円は、無担保保険の8,000万円とは別枠として読む条文構造になっています。ここが「別枠保証」と呼ばれる根拠です。

    ベースになる枠のほうも条文で確認できます。

    枠条文金額(原文)
    普通保険中小企業信用保険法 第三条第1項「中小企業者一人についての保険価額の合計額が二億円(…組合…であるときは、四億円)を超えることができない」
    無担保保険同法 第三条の二第1項「中小企業者一人についての保険価額の合計額が八千万円を超えることができない」
    創業関連保証(別枠)産業競争力強化法 第百二十九条第1項「それぞれ三千五百万円及び八千万円」と読み替え
    e-Gov法令検索の原文(2026年9月12日確認)。

    全国信用保証協会連合会が「ご利用条件」で示している「普通保険の限度額2億円(組合4億円)と無担保保険の限度額8,000万円を合わせた2億8,000万円(組合4億8,000万円)」という一般保証の限度額は、上の第三条・第三条の二と一致しています。

    創業者の定義も条文側にあります。産業競争力強化法 第二条第三十二項は、創業者を号ごとに定義しています。原文は次のとおりです。第一号「前項第一号に掲げる創業を行おうとする個人であって、一月以内(認定創業支援等事業計画…に記載された特定創業支援等事業(第三号において「認定特定創業支援等事業」という。)により…支援を受けて創業を行おうとする者にあっては、六月以内)に当該創業を行う具体的な計画を有するもの」、第二号「前項第一号に掲げる創業を行った個人であって、事業を開始した日以後五年を経過していないもの」、第三号「前項第二号に掲げる創業を行おうとする個人であって、二月以内(認定特定創業支援等事業により…支援を受けて創業を行おうとする者にあっては、六月以内)に当該創業を行う具体的な計画を有するもの」、第四号「前項第二号に掲げる創業により設立された会社であって、その設立の日以後五年を経過していないもの」。協会サイトの「1か月以内/2か月以内/5年未満/6月以内」という記載は、この条文と一致します。

    保険料の額は別の項に書かれています。産業競争力強化法 第百二十九条第6項は、創業関連保証に係る保険料の額を「保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額」と定めています。利用者が払う信用保証料の料率そのものではない点に注意してください。信用保証料率の実数は、全国信用保証協会連合会のサイトには記載がありません(「経営状況に応じた9つの料率区分から適用」「担保のご提供がある場合や会計参与設置会社である場合等には、割引」とだけ記載)。金額は各信用保証協会に確認する項目です。

    e-Gov法令検索「産業競争力強化法」(第百二十九条、第二条第三十二項) https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000098(2026年9月12日確認)/同「中小企業信用保険法」(第三条、第三条の二) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000264(2026年9月12日確認)/全国信用保証協会連合会「信用保証料」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoryo/(2026年9月12日確認)

    7. 申込みの流れは、2本でまったく違う

    公庫(創業予定の方)の流れ

    公庫は「お手続きの流れ/創業予定の方」で、インターネット申込(24時間365日受付中)の際に準備する書類を次のとおり列挙しています(電子データを準備)。

    • 創業計画書
    • 設備資金の申込みの場合は見積書
    • 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
    • 担保を希望する場合は、不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
    • 生活衛生関係の事業を営む方は、都道府県知事の「推せん書」(設備資金の申込金額が500万円以下の場合は不要)または生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」
    • 運転免許証(両面)、マイナンバーカード(表面のみ)またはパスポート(顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページ)
    • 許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営んでいる方)
    • 日本公庫電子契約サービス(国民生活事業)利用申込書(電子契約サービスを利用する方)
    • 送金先口座の預金通帳の写し(表紙、見開き1ページ目)(電子契約サービスを利用する方)

    窓口については「法人で創業される方は本店所在地、個人で創業される方は創業予定地のお近くの支店」と記載されています。その後は面談(「オンラインでのご面談も承っております」)、「店舗や事業所の予定地をお訪ねいたします」という現地確認、契約、送金と続きます。返済は「原則として月賦払い」で、「元金均等返済、元利均等返済、ステップ(段階)返済など」と記載されています。書類の全体像は事業資金の必要書類一覧にまとめています。

    信用保証協会の流れ

    全国信用保証協会連合会は、申込みから返済までを5段階で説明しています。要点は次のとおりです。

    1. 保証のお申込:金融機関経由の場合、「金融機関の窓口で融資を申し込まれる際に、信用保証の申込手続を行います。金融機関が融資適当と判断した場合、必要書類を金融機関経由で信用保証協会に提出」。協会に直接出向いて申し込む形もある
    2. 保証審査:「審査過程において、訪問や面談を行う場合があります。」
    3. 保証承諾:「保証を適当と認めたときは、金融機関に対して『信用保証書』を発行します。」
    4. 融資実行:「『信用保証書』に記載された条件にそって、金融機関から融資が実行されます。」その際に「信用保証委託契約書」を作成・提出し、所定の信用保証料を金融機関経由で支払う。「※信用保証のご利用にあたり、信用保証料のほかに費用を頂くことはありません。」
    5. ご返済:「返済条件に基づき、金融機関に借入金をご返済いただきます。」

    申込時の主な提出書類は「(1)信用保証委託申込書(保証人等明細)(2)申込人(企業)概要(3)信用保証依頼書(4)個人情報の取扱いに関する同意書(5)確定申告書(決算書)(6)商業登記簿謄本(7)印鑑証明書」と記載されています。

    ④の「信用保証料のほかに費用を頂くことはありません」という一文は、そのまま詐欺対策の物差しになります。保証や融資の実行前に別名目の金銭の振込を求められた場合の型は融資保証金詐欺とはにまとめています。

    日本政策金融公庫「お手続きの流れ/創業予定の方」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/tetsudukij_c.html(2026年9月12日確認)/全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」 https://www.zenshinhoren.or.jp/flow/(2026年9月12日確認)

    8. 借りる前に、公表資料だけで確認できること

    ここまでで確認できた内容を、着手前に手元で片づく順に並べます。いずれも公表資料を見れば答えが出る項目で、相談の前に済ませておけるものです。

    確認することどこで確認するか
    自分が「創業者」の類型に当たるか(1か月以内/2か月以内/5年未満、認定特定創業支援等事業を受けた場合は6月以内)産業競争力強化法 第二条第三十二項/保証協会の「創業をお考えの方」
    公庫側の対象(新たに事業を始める、または事業開始後おおむね7年以内)に当たるか公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
    自分の業種が保証対象外(農業・林業の一部・漁業・金融・保険業の一部)に当たらないか保証協会「ご利用条件」
    許認可・届出が要る事業なら、許認可を受けているか(または受ける段取りがあるか)保証協会「ご利用条件」/公庫の提出書類(許認可証)
    創業計画書を書いたか公庫・保証協会いずれも提出書類に記載あり
    法人なら、履歴事項全部証明書・印鑑証明書を取れる状態か公庫「創業予定の方」/保証協会「提出書類」
    返済額が事業計画の中で回るか(利率の幅と期間を入れて試算)公庫「金利情報」+返済シミュレーター
    本文で確認した各一次情報から作成(2026年9月12日確認)。

    公的な2本を当たったうえで、時期や金額が合わずに民間の事業者向けローンを検討する場面もあります。その場合は各社サイトの表記(金利、限度額、手数料、対象)と、貸金業者の登録を自分で確認してください。登録は金融庁の検索サービスで照合できます(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。上限金利のルールは金利の上限にまとめています。条件は各社が定めるもので、当サイトが保証するものではありません。

    条件と注意事項を確認する

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    法人向け事業資金融資なら【アクト・ウィル】広告・公式サイトへ/契約条件と注意事項を必ず確認してください

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    よくある質問

    創業融資を受けるのに自己資金はいくら必要ですか

    今回確認した日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」のページには、自己資金の金額に関する要件の記載はありません。記載があるのは、注1の「適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方」に限るという要件と、創業計画書の提出です。金額の目安は公表資料に無いため、この記事では書きません。

    公庫の「7,200万円」は借りられる金額ですか

    いいえ。公庫サイトの表記は「融資限度額 7,200万円」=制度の上限です。同ページには「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。」と記載されています。

    創業関連保証の3,500万円は、ほかの保証と足せますか

    全国信用保証協会連合会は、創業関連保証・再挑戦支援保証・スタートアップ創出促進保証制度について「いずれの保証も併用することが可能」とし、「併用した場合、『創業関連保証』、『再挑戦支援保証』、『スタートアップ創出促進保証制度』の合計で3,500万円が保証限度額となります」と記載しています。3本を足した額にはなりません。なお条文上(産業競争力強化法 第百二十九条第1項)、この3,500万円は無担保保険の8,000万円とは別枠として読み替えられます。

    申込みから入金まで何日かかりますか

    今回確認した公庫「お手続きの流れ/創業予定の方」と、全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」のいずれにも、所要日数の記載はありません。公庫側には面談と「店舗や事業所の予定地をお訪ねいたします」という現地確認の工程が、保証協会側には「訪問や面談を行う場合があります」という記載があります。日数は公表資料に無いため、この記事では書きません。

    信用保証協会からお金を借りるのですか

    いいえ。信用保証協会は金融機関からの借入れの債務を保証する機関で、融資を実行するのは金融機関です。返済先も金融機関です。信用保証料は「保険料ではない」ため、代位弁済が行われた後は利用者から信用保証協会へ弁済する、と全国信用保証協会連合会が明記しています。


    日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html/同「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html/同「創業支援貸付利率特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyo_tokurei_m.html/同「経営者保証免除特例制度」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/keitoku.html/同「お手続きの流れ/創業予定の方」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/tetsudukij_c.html/全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」 https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/sogyo//同「ご利用条件」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken//同「信用保証のお申込の流れ」 https://www.zenshinhoren.or.jp/flow//同「信用保証料」 https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hoshoryo//e-Gov法令検索「産業競争力強化法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000098/同「中小企業信用保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000264(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(日本政策金融公庫、全国信用保証協会連合会、e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。利率・限度額・条件は改定されることがあるため、申込みの前に各公式サイトの最新の表記をご確認ください。