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先に結論:総量規制の「対象外」は2種類あります。枠の計算にそもそも入らない「除外貸付け」(住宅ローン・自動車購入資金・高額療養費・有価証券担保など=貸金業法施行規則第10条の21)と、要件を満たせば年収の3分の1を超えても契約できる「例外貸付け」(顧客に有利な借換え・緊急の医療費・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け・事業を営む個人顧客への貸付けなど=同規則第10条の23)です。
貸金業者からの個人の借入れには、総量規制(年収の3分の1ルール)があります。ただしこの規制には、法令上「対象外」となる貸付けが2種類定められています。「除外貸付け」(枠の計算にそもそも入らない)と「例外貸付け」(要件を満たせば枠を超えても契約できる)です。この2つは効果がまったく違うのに、広告や解説記事ではしばしば混同されています。
この記事では、根拠条文である貸金業法第13条の2と貸金業法施行規則第10条の21・第10条の23の原文(e-Gov法令検索・2026年8月28日にAPIでXML原文を取得して確認)だけを根拠に、何がどちらに当たるかを整理します。
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1. 条文の構造:除外と例外は「書かれている場所」が違う
貸金業法第13条の2第2項は、禁止対象となる「個人過剰貸付契約」を次のように定義しています(2026年8月28日・XML原文で確認。強調は引用者)。
個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(…三分の一を乗じて得た額…)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
この条文には「除く」が2系統あります。
| 除外貸付け | 例外貸付け | |
|---|---|---|
| 根拠 | 貸金業法施行規則 第10条の21(「個人過剰貸付契約から除かれる契約」) | 貸金業法施行規則 第10条の23(「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等」) |
| 効果 | その契約自体が規制対象から外れ、残高も「個人顧客合算額」から除かれる(法13条の2第2項のかっこ書き) | 基準額(年収の3分の1)を超えても契約できるが、条文上、残高を合算額から除くという規定は置かれていない |
日本貸金業協会も、除外貸付け(住宅ローン等)は「貸付け残高に含めない」扱いである一方、例外貸付けのうち銀行融資までのつなぎ資金については残高が枠に入る旨を案内しています(日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」・2026年8月28日確認)。
e-Gov法令検索「貸金業法」第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」 https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/total_regulation.php(いずれも2026年8月28日確認)
2. 除外貸付け(施行規則第10条の21)=枠の計算に入らない契約
施行規則第10条の21第1項に列挙されている主な契約は次のとおりです(2026年8月28日・XML原文で確認。要件の細部は条文参照)。
- 不動産の建設・購入・改良に必要な資金の貸付け(借地権取得を含む)=いわゆる住宅ローンなど(第1号)
- 上記の貸付けが行われるまでのつなぎ融資(第2号)
- 自動車購入資金の貸付けのうち、自動車の所有権を貸金業者が取得するか、譲渡担保となっているもの(第3号)
- 健康保険法等に規定する高額療養費を支払うための資金(第4号)
- 時価の範囲内での有価証券担保の貸付け(第5号)
- 不動産担保の貸付け(個人顧客や担保提供者の居宅・生計維持に不可欠なものは除く。不動産価格の範囲内等の要件あり)(第6号)
- 売却予定の不動産の売却代金で弁済される貸付け(売却で生活に支障を来す場合を除く)(第7号)
ポイントは、居宅を担保に取るような貸付けは除外貸付けにならないよう条文が明示的に書かれていることです(第6号かっこ書き)。
3. 例外貸付け(施行規則第10条の23)=要件を満たせば枠を超えても契約できる
施行規則第10条の23第1項に列挙されている主な契約は次のとおりです(2026年8月28日・XML原文で確認)。
| 類型 | 条文上の主な要件 |
|---|---|
| 顧客に有利な借換え(第1号・第1号の2) | 月々の負担・総返済額が既存債務を上回らない、担保・保証の条件を不利にしない等(いわゆる「おまとめローン」がここに当たる場合がある) |
| 緊急に必要と認められる医療費(第2号) | 高額療養費(除外貸付け)に当たるものを除く。返済能力を超えないと認められるもの |
| 特定緊急貸付契約(第2号の2) | 社会通念上緊急に必要と認められる費用等のため、合算額10万円以下・返済期間3か月以内等の要件 |
| 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(第3号) | 配偶者の同意が要件。夫婦の合算額が2人分の基準額の合算以下 |
| 事業を営む個人顧客への貸付け(第4号) | 事業の実態が確認され、事業計画・収支計画・資金計画(100万円以下の貸付けでは事業・収支・資金繰りの状況)に照らし返済能力を超えないと認められること |
| 新たに事業を行うための資金(第5号) | 事業計画等の確認により、確実に事業用資金と認められること等 |
| 預金取扱金融機関からの貸付けまでのつなぎ(第6号) | 正規貸付けが行われることが確実で、返済期間1か月以内 |
いずれも「返済能力を超えないと認められる」ことなどの実質要件と、貸金業者側の書面確認・保存義務(同条第2項)がセットになっています。「例外だから審査なしで借りられる」という制度ではありません。
4. そもそも総量規制がかからない借入れ(銀行など)
総量規制は貸金業法の規制なので、対象は貸金業者からの個人の借入れです。金融庁は「貸金業法のキホン」で、総量規制の対象は貸金業者からの借入れであり、銀行からの借入れや法人名義の借入れは対象外であると案内しています(2026年8月28日確認)。銀行のカードローン・住宅ローンは、この記事の「除外」「例外」以前に、貸金業法の総量規制の枠外です。
金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html(2026年8月28日確認)
総量規制そのもの(年収の3分の1ルールと根拠条文の読み方)は総量規制とはで整理しています。自分の借入れ計画が金利面で法律の枠内に収まっているかは、上限金利の早見と返済シミュレーターで確認できます。
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よくある質問
おまとめローンは総量規制の対象外ですか?
「顧客に一方的に有利となる借換え」の要件(月々の負担・総返済額が既存債務を上回らない、担保・保証を不利にしない等=施行規則第10条の23第1項第1号・第1号の2)をすべて満たす場合に、例外貸付けとして基準額を超えても契約できます(2026年8月28日・条文確認)。個別の商品がこの要件を満たすかどうかは契約条件によるため、この記事では判定できません。
個人事業主は年収の3分の1を超えて借りられますか?
事業を営む個人顧客への貸付けは、事業の実態確認と、事業計画・収支計画・資金計画に照らして返済能力を超えないと認められることを要件に、例外貸付けとされています(施行規則第10条の23第1項第4号・2026年8月28日確認)。無条件に枠が外れるのではなく、貸金業者が計画書面等を確認・保存する義務があります(同条第2項)。
「10万円以下・3か月以内」という要件はどの借入れの話ですか?
社会通念上緊急に必要と認められる費用などを支払うための「特定緊急貸付契約」(施行規則第10条の23第1項第2号の2)の要件です。緊急個人顧客合算額が10万円を超えないこと、返済期間が3か月を超えないこと等が条文に明記されています(2026年8月28日確認)。すべての例外貸付けに共通する上限ではありません。
例外貸付けで借りた分は、その後の借入枠に影響しますか?
貸金業法第13条の2第2項が合算額から除くと明記しているのは「住宅資金貸付契約等(=除外貸付け)に係る貸付けの残高」だけで、例外貸付けの残高を除く規定は条文上置かれていません(2026年8月28日・XML原文確認)。日本貸金業協会も、つなぎ資金の残高は総量規制の対象になると案内しています。
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e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第10条の21・第10条の23 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年8月28日・法令APIでXML原文を取得して確認)
