個人事業主の借入れと総量規制|事業資金の「例外貸付け」の要件を条文(貸金業法施行規則10条の23)で確認する

借りる前チェック|個人事業主の借入れと総量規制

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個人事業主が事業資金を借りようとするとき、貸金業者からの借入れには総量規制(年収の3分の1ルール)が関係します。ただし法令には、事業を営む個人顧客への貸付けを、要件を満たす場合に基準額を超えても契約できる「例外貸付け」とする定めがあります。

この記事では、根拠条文である貸金業法第13条の2貸金業法施行規則第10条の23第1項第4号・第5号の原文(e-Gov法令検索・2026年8月28日にAPIでXML原文を取得して確認)だけを根拠に、個人事業主の借入れと総量規制の関係を整理します。

1. 前提の整理:法人名義の借入れは総量規制の対象外

金融庁は「貸金業法のキホン」で、総量規制が適用されるのは貸金業者から個人が借入れを行う場合であり、「銀行からの借入れや法人名義での借入れは対象外です」と案内しています(2026年8月28日確認)。会社(法人)名義で借りる場合は、そもそもこの記事のテーマである総量規制の枠の外です。

一方、法人化していない個人事業主が自分名義で借りる場合は「個人顧客」としての借入れになるため、総量規制の枠組みの中で考えることになります。なお、日本貸金業協会は、総量規制の「年収」に算入できる収入として、給与・年金などと並んで「事業所得(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるもの)」を挙げています(日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで」・2026年8月28日確認)。

金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html/日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」 https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/annual_income.php(いずれも2026年8月28日確認)

2. 条文の出発点:貸金業法第13条の2

貸金業法第13条の2第1項は、返済能力の調査の結果、「個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない」と定めています。そして第2項の「個人過剰貸付契約」の定義の末尾に、次のかっこ書きがあります(2026年8月28日・XML原文で確認。強調は引用者)。

当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。

この「内閣府令で定めるもの」=例外貸付けの一覧が、貸金業法施行規則第10条の23第1項です。除外貸付けと例外貸付けの違い(効果がまったく違います)は総量規制の対象外の記事で整理しています。

3. 事業を営む個人顧客への貸付け(施行規則第10条の23第1項第4号)

条文の原文は次のとおりです(e-Gov法令検索・2026年8月28日にXML原文で確認)。

四 事業を営む個人顧客に対する貸付けに係る契約であつて、次に掲げるすべての要件に該当するもの
イ 実地調査、当該個人顧客の直近の確定申告書の確認その他の方法により当該事業の実態が確認されていること。
ロ 当該個人顧客の事業計画、収支計画及び資金計画(この号に掲げる契約に係る貸付けの金額が百万円を超えないものであるときは、当該個人顧客の営む事業の状況、収支の状況及び資金繰りの状況。以下同じ。)に照らし、当該個人顧客の返済能力を超えない貸付けに係る契約であると認められること。

条文から読み取れる要件は次の2点です。

要件条文上の内容
イ:事業実態の確認実地調査、直近の確定申告書の確認その他の方法で、事業の実態が確認されていること
ロ:返済能力の確認事業計画・収支計画・資金計画に照らして返済能力を超えないと認められること。貸付金額が100万円以下の場合は、事業の状況・収支の状況・資金繰りの状況でよい
貸金業法施行規則第10条の23第1項第4号の要件(e-Gov法令検索・2026年8月28日確認)。

日本貸金業協会も、個人事業者への貸付けを「総量規制が適用されない場合」(例外貸付け)の一つとして案内しています(日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」・2026年8月28日確認)。

また同条第2項は、貸金業者に対し、これらの確認に用いた書面等の保存義務を課しています。つまり「事業資金だと言えば枠が外れる」制度ではなく、貸金業者側が計画書面等を確認・保存することとセットの制度です。

e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第10条の23 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」 https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/total_regulation.php(いずれも2026年8月28日確認)

4. これから開業する人の資金(同項第5号)

現に事業を営んでいない個人顧客についても、新たな事業を行うために必要な資金の貸付けが例外貸付けとして定められています(施行規則第10条の23第1項第5号・2026年8月28日確認)。要件は、①事業計画・収支計画・資金計画の確認その他の方法により確実に当該事業の用に供するための資金の貸付けであると認められること、②それらの計画に照らし返済能力を超えないと認められること、の2つです。

5. 借りる前に自分で確かめられること

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よくある質問

個人事業主なら年収の3分の1を超えて借りられますか?

無条件ではありません。施行規則第10条の23第1項第4号は、①実地調査や直近の確定申告書の確認等による事業実態の確認、②事業計画・収支計画・資金計画(100万円以下の貸付けでは事業・収支・資金繰りの状況)に照らして返済能力を超えないと認められること、のすべての要件に該当するものに限って例外貸付けとしています(2026年8月28日・条文確認)。個別の契約がこの要件を満たすかどうかの判定は貸金業者が行うため、この記事では判定できません。

法人を作って法人名義で借りれば総量規制は関係ありませんか?

金融庁は、総量規制の対象は貸金業者から個人が借入れを行う場合であり、法人名義での借入れは対象外と案内しています(「貸金業法のキホン」・2026年8月28日確認)。ただし、法人名義の借入れで代表者個人が保証人になる場合の扱いなど、個別の契約構成についての記載は同ページにはありません(記載なし)。

事業資金として借りた分は、その後の個人の借入枠に影響しますか?

貸金業法第13条の2第2項が個人顧客合算額から除くと明記しているのは「住宅資金貸付契約等(=除外貸付け)に係る貸付けの残高」だけで、例外貸付けの残高を合算額から除く規定は条文上置かれていません(2026年8月28日・XML原文確認)。詳しくは除外貸付けと例外貸付けの違いの記事を参照してください。

確定申告をしていない場合はどうなりますか?

条文が挙げる事業実態の確認方法は「実地調査、当該個人顧客の直近の確定申告書の確認その他の方法」です(施行規則第10条の23第1項第4号イ・2026年8月28日確認)。確定申告書以外にどのような方法が認められるかの具体例は、確認した条文には記載がありません(記載なし)。

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最終更新:2026年8月28日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁・日本貸金業協会)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではありません。

e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第10条の23 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年8月28日・法令APIでXML原文を取得して確認)/金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html/日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで」 https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/annual_income.php・「総量規制が適用されない場合について」 https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/total_regulation.php(いずれも2026年8月28日確認)