カテゴリー: 金利と法律

  • 期限の利益の喪失とは|民法第137条と、貸金業法17条書面に書かれる「期限の利益の喪失の定め」

    期限の利益の喪失とは|民法第137条と、貸金業法17条書面に書かれる「期限の利益の喪失の定め」

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    毎月きちんと分割で返していたものが、ある時点から「残り全額をまとめて」という請求に変わる。この切り替えを起こしているのが期限の利益の喪失です。先に結論:民法が喪失を定めているのは3つの場合だけ(第137条第1号〜第3号)で、そのほかは契約に置かれた「期限の利益の喪失の定め」によります。そしてその定めは、貸金業者との契約なら契約を締結するまでに交付される書面の記載事項として条文に位置づけられています(貸金業法第16条の2第1項。原文が対象としているのは「貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)」で、同項第7号→同法施行規則第12条の2第1項第1号チ。極度方式基本契約は同条第2項第6号→同規則第12条の2第2項第1号チ)。

    この記事は、e-Gov法令検索の法令API(民法・貸金業法・貸金業法施行規則・利息制限法)から条文を取得し、どの条・どの項・どの号に何が書かれているかを原文どおりに整理した記録です(2026年9月13日確認)。届いた書面への対応、判例の評価、個別の契約の有効性については扱いません。

    1. 「期限の利益」は、条文上どう定義されているか

    民法は、期限の効果と利益を第135条・第136条で定めています。

    第135条(期限の到来の効果)第1項は「法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。」と定めます。期限が来るまでは請求されない、という状態そのものが条文に書かれているわけです。

    そのうえで第136条(期限の利益及びその放棄)が置かれています。

    条文原文
    民法第136条第1項期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
    民法第136条第2項期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第136条の原文(2026年9月13日確認)。

    読みどころは第1項の「債務者の利益のために」です。期限は借りた側の利益として推定される、と条文が書いています。第135条第1項は、始期付きの法律行為について「期限が到来するまで、これを請求することができない」と定めています。第136条第1項が期限を債務者の利益と推定し、第137条がその利益を「主張することができない」場合を列挙する、という並びです。次節の第137条は、まさに「期限の利益を主張することができない」という書き方で作られています。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    2. 民法が定める「喪失」は3つの場合だけ(第137条)

    民法第137条は、見出しがそのまま「(期限の利益の喪失)」です。柱書は「次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。」で、続く号は3つで終わっています(第4号以降は存在しません)。

    号原文
    第1号債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
    第2号債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
    第3号債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
    e-Gov法令検索「民法」第137条の原文(2026年9月13日確認)。第2号・第3号はいずれも担保に関する場合。

    ここで目を引くのは、「返済が遅れたとき」が条文に挙がっていないことです。第137条に並ぶのは破産手続開始の決定と、担保をめぐる2つの場合だけ。条文の言い方も「喪失する」ではなく「期限の利益を主張することができない」です。

    3つのうち2つ(第2号・第3号)が担保に関する場合です。担保を出して借りるときは、担保の内容そのものも貸金業者の交付する書面の記載事項になっています(第5節でその位置を示します)。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    3. 実際の引き金は契約の「定め」=条文がその存在を前提にしている

    では、返済の遅れをきっかけにした一括請求はどこから来るのか。条文のたどり方はこうなります。

    貸金業法第17条(契約締結時の書面の交付)第1項は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約を除く。)を締結したときに交付する書面の記載事項を第1号から第8号まで列挙しています。第1号「貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所」、第2号「契約年月日」、第3号「貸付けの金額」、第4号「貸付けの利率」、第5号「返済の方式」、第6号「返済期間及び返済回数」、第7号「賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容」、そして第8号が「前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項」です。

    この第8号を受けているのが貸金業法施行規則第13条第1項で、柱書は「法第十七条第一項第八号に規定する内閣府令で定める事項は、次の各号に掲げる貸付けに係る契約の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。」。その第1号(金銭の貸付けに係る契約)はイからソまで18個の細目を並べており、10番目のヌが該当箇所です。

    位置原文
    貸金業法施行規則
    第13条第1項第1号ヌ
    期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容(旧利息制限法第一条第一項に規定する利率を超えない範囲においてのみ効力を有する旨を含む。)(極度方式貸付けに係る契約であつて当該契約で定める利息の額が旧利息制限法第一条第一項に定める利息の制限額を超えないものを締結する場合において、法第十七条第二項の規定により交付する書面に記載されているとき、又は記載されているものより契約の相手方に有利なものであるときは、記載を省略することができる。)
    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第13条第1項第1号ヌの原文(2026年9月13日確認)。

    注目したいのは「定めがあるときは」という条件つきの書き方です。法令の側が喪失事由を作っているのではなく、契約に定めが置かれる場合があることを前提に、その内容を書面に書かせているという構造になっています。つまり、返済の遅れで一括請求に変わるかどうか、変わるとして何が引き金になるかは、この「定め」の側に書かれているということです。

    書面の交付義務そのものの全体像(契約前と契約時の2回・保証人向けの書面・電磁的方法)は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務にまとめています。本記事はそのうち1つの記載事項の中身だけを見ています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    4. その定めは「契約を締結するまでに」読める

    ここが借りる前の確認として一番効く点です。同じ「期限の利益の喪失の定め」は、契約時の書面より前に交付される書面の記載事項にもなっています。

    貸金業法第16条の2(契約締結前の書面の交付)第1項の柱書は「貸金業者は、貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)を締結しようとする場合には、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにし、当該契約の内容を説明する書面を当該契約の相手方となろうとする者に交付しなければならない。」。第1号から第7号まであり、第7号が「前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項」です。

    これを受ける貸金業法施行規則第12条の2第1項の第1号は、イからヌまで10個の細目を並べています。うち8番目のチが次の一文です。

    位置原文
    貸金業法施行規則
    第12条の2第1項第1号チ
    期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容
    (参考)同項第1号ト契約上、返済期日前の返済ができるか否か及び返済ができるときは、その内容
    (参考)同項第1号ヘ各回の返済期日及び返済金額の設定の方式
    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」第12条の2第1項第1号の原文(2026年9月13日確認)。契約締結時の書面(第13条)側と違い、括弧書のない素の形。

    契約前の書面の側は、括弧による省略の許容がなく、一文だけの素の形です。極度方式基本契約(枠を設定する型の契約)の場合も、第12条の2第2項第1号チに同じ一文が置かれています。

    つまり条文上は、第16条の2第1項が対象とする契約(貸付けに係る契約から極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除いたもの)と、同条第2項の極度方式基本契約について、署名する前の段階で、喪失の条件と内容が書かれた書面が手元に来る建前になっています。金利の表示の読み方は実質年率とは、返済額の見え方は返済シミュレーターで確認できますが、この条項は金額の計算ではなく「いつ全額になるか」の条件にあたる部分です。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    5. 同じ定めが載る書面は1種類ではない

    条文を横に並べると、「期限の利益の喪失の定め」は複数の書面の記載事項として繰り返し登場します。実査で条・項・号まで特定できたのは次の7か所です(施行規則の条文XMLで「期限の利益の喪失」の語が現れるのは、この7か所)。

    書面法の根拠府令の位置
    契約締結前の書面貸金業法第16条の2第1項第7号規則第12条の2第1項第1号チ
    契約締結前の書面(極度方式基本契約)貸金業法第16条の2第2項第6号規則第12条の2第2項第1号チ
    保証契約締結前の書面(保証の対象となる貸付けに係る契約の定め)貸金業法第16条の2第3項第4号規則第12条の2第4項第1号カ
    保証契約締結前の書面(保証契約自体の定め)貸金業法第16条の2第3項第6号規則第12条の2第6項第8号
    契約締結時の書面貸金業法第17条第1項第8号規則第13条第1項第1号ヌ
    契約締結時の書面(極度方式基本契約)貸金業法第17条第2項第7号規則第13条第3項第1号ヌ
    一定期間の取引状況を記載した書面貸金業法第17条第6項規則第13条第17項第1号レ
    e-Gov法令検索「貸金業法」「貸金業法施行規則」から取得した条文の対応(2026年9月13日確認)。

    最後の「取引状況を記載した書面」は、極度方式貸付けで個別の契約書面に代えて交付できる型の書面です。その柱書は、記載に用いる文字について「日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に」と定めています。

    担保を出す場合は、同じ第13条第1項第1号のルが「当該契約に基づく債権につき物的担保を供させるときは、当該担保の内容」を記載事項としています。民法第137条第2号・第3号が担保の場合を挙げていることと合わせて読むと、担保付きの借入れでは、担保の内容と喪失の定めの両方が同じ書面に並ぶことになります。

    保証人が付く契約では、貸金業法第17条第4項が「貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結したとき、又は貸付けに係る契約で保証契約に係るものを締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、第一項各号に掲げる事項についてこれらの貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面をこれらの保証契約の保証人に交付しなければならない。」と定めています。保証契約そのものの書面についても、規則第12条の2第6項第8号が「保証契約に期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」を挙げています。保証の側の論点は保証人になる前に確認することにまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    6. 喪失した後、条文の上では何が動くか

    民法第137条が書いているのは「次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。」までです。そこから先=一括請求や遅延損害金の起算がどうなるかは、第137条にも、次に引く第412条・第419条にも書かれていません。実際にどうなるかは、契約書の「期限の利益の喪失の定め」の内容と、民法第412条・第419条の要件に当たるかどうかで個別に決まります。以下は、その要件の側の条文です。

    第412条(履行期と履行遅滞)第1項は「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」、第3項は「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」です。

    遅滞の責任の中身は第419条(金銭債務の特則)が定めています。第1項は「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」、第2項は「前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。」です。

    この損害賠償の額の上限には利息制限法の制限(第4条・第7条)がかかりますが、その数値と条文は遅延損害金の上限は法律で決まっているで扱っているため、本記事では数値を再掲しません。また、支払を求める側の行為には貸金業法第21条の規制があり、こちらは違法な取り立ての基準にまとめています。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月13日確認)

    7. 借りる側から手放す場合=期限の利益の放棄と繰上返済

    期限の利益は、失うだけのものではありません。民法第136条第2項が「期限の利益は、放棄することができる。」と定めており、これが繰上返済の側の話につながります。

    消費貸借については第591条(返還の時期)が置かれています。

    条文原文
    民法第591条第1項当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
    民法第591条第2項借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
    民法第591条第3項当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
    e-Gov法令検索「民法」第591条の原文(2026年9月13日確認)。

    第2項と第3項は、セットで読む条文です。期限前に返すこと自体は「いつでも」と書かれており、その一方で、期限前の返還によって貸主に損害が出た場合の賠償請求が第3項に用意されています。第136条第2項のただし書「これによって相手方の利益を害することはできない。」と同じ向きの規定です。

    そして契約の側の扱いは、やはり書面の記載事項になっています。貸金業法施行規則第13条第1項第1号リは「契約上、返済期日前の返済ができるか否か及び返済ができるときは、その内容」を記載事項とし、契約前の書面でも第12条の2第1項第1号トに同じ一文が置かれています。早めに返す前提で借りるなら、契約前の書面のこの行を見ることになります。

    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    8. 条文からは確認できなかったこと

    実査の範囲で特定できなかった項目は、推測で埋めずにそのまま書き出します。

    • 「旧利息制限法第一条第一項に規定する利率」の数値=記載なし。 規則第13条第1項第1号ヌの括弧書はこの利率を参照していますが、「旧利息制限法」とは規則第12条の2第4項第1号カが定義するとおり「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)第五条の規定による改正前の利息制限法(昭和二十九年法律第百号)」です。e-Gov法令検索が収録している利息制限法は、その改正法による2010年6月18日施行の版だけで(法令APIのリビジョン情報が1件)、改正前の条文は取得できませんでした。よって数値は書きません。
    • 「何日滞納したら喪失するか」=記載なし。 日数や回数を定めた条文は、実査した民法・貸金業法・同施行規則のいずれにも見当たりませんでした。条文は「定めがあるときは、その旨及びその内容」と書くだけです。
    • 個別の契約書の条項の文言は、公表された一次情報を実査していないため扱いません。個々の会社の契約条件の優劣や比較も扱いません。
    • 判例・裁判例の評価は、今回の実査対象(法令API)に含まれないため扱いません。
    • 民法の未施行の改正:法令APIのリビジョン情報では、民法に2029年6月23日施行予定の版が登録されています(2026年6月24日公布の「民法等の一部を改正する法律」)。本記事は2026年9月13日時点で施行されている版の条文に基づいています。

    e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    9. 借りる前に見るのは、金額より先に「条件」

    ここまで条文だけで並べると、確認する順番は自然に決まります。契約前の書面を受け取ったら、金額と利率の行だけでなく、規則第12条の2第1項第1号チにあたる期限の利益の喪失の定めの行と、同号トの期限前の返済の可否の行を読む。担保を出すなら担保の内容の行も合わせて読む。条文がその3つを別々の記載事項として並べているのは、性質の違う条件だからです。

    本記事の結論は、条文の位置を示すところまでです。どの行に何が書かれているかが分かれば、契約前の書面のその行を読むことができます。判断そのものは、交付された書面の記載と個別の事情によります。

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    よくある質問

    期限の利益の喪失は、法律だけで起きるのですか?

    民法第137条が定めているのは3つの場合です(第1号 破産手続開始の決定を受けたとき、第2号 担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき、第3号 担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき)。それ以外は、貸金業法施行規則第13条第1項第1号ヌが「期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」と書いているとおり、契約に置かれた定めの問題になります(2026年9月13日確認)。

    契約する前に、喪失の条件を確認できますか?

    貸金業法第16条の2第1項は、貸金業者が「貸付けに係る契約(極度方式基本契約及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)」を締結しようとする場合に「当該契約を締結するまでに」書面を交付しなければならないと定めており、その記載事項(同項第7号→施行規則第12条の2第1項第1号チ)に「期限の利益の喪失の定めがあるときは、その旨及びその内容」が含まれています。極度方式基本契約の場合は同規則第12条の2第2項第1号チです(2026年9月13日確認)。

    何日くらい遅れると喪失するのですか?

    日数や回数を定めた条文は、今回実査した民法・貸金業法・貸金業法施行規則のいずれにも見当たりませんでした(記載なし)。条文は「定めがあるときは、その旨及びその内容」を書面に記載させる形をとっており、具体的な条件は契約の定めの側に書かれます(2026年9月13日確認)。

    期限の利益を主張できなくなった後の負担は、条文にどう書かれていますか?

    民法第137条は「期限の利益を主張することができない」と定めるだけで、その先の効果は書かれていません。遅滞の責任の側は、民法第412条第1項が「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」と定め、第419条第1項は金銭債務の損害賠償額を「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」としています。第419条第2項により、債権者は損害の証明を要しません。どちらの要件に当たるかは、契約書の「期限の利益の喪失の定め」の内容によります。上限の数値は遅延損害金の上限で扱っています(2026年9月13日確認)。

    期限前に全額返すことはできますか?

    民法第591条第2項は「借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。」と定めています。ただし同条第3項は、期限前の返還により貸主が損害を受けたときは賠償を請求できると定めています。契約上の取扱いは、貸金業法施行規則第13条第1項第1号リ(契約時の書面)および第12条の2第1項第1号ト(契約前の書面)の記載事項として書面に書かれます(2026年9月13日確認)。


    e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月13日確認)

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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索の法令API=民法・貸金業法・貸金業法施行規則・利息制限法)のみを根拠に作成しています。条・項・号の帰属は取得した条文XMLの構造に基づいています。旧利息制限法第1条第1項の利率、喪失までの滞納日数、個別の契約書の条項の文言については確認できなかったため「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の契約については、交付される書面の記載をご確認ください。

  • 借金の債権譲渡の通知が届いたら|貸金業法第24条(債権譲渡等の規制)で譲受人に準用される条文と民法第467条の対抗要件

    借金の債権譲渡の通知が届いたら|貸金業法第24条(債権譲渡等の規制)で譲受人に準用される条文と民法第467条の対抗要件

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    借りた覚えのない社名から「当社が債権を譲り受けました」という通知が来ると、まず何を確かめればいいのか分からなくなります。この記事は、そのときに開く条文をe-Gov法令検索の原文で並べた記録です。

    先に結論:①債権の譲渡そのものは民法第466条第1項で認められています。②譲受人が債務者に請求するには民法第467条第1項の「譲渡人からの通知」または「債務者の承諾」が要ります。③そして貸金業法第24条第2項により、取立て行為の規制(第21条)をはじめとする条文が、債権を譲り受けた者に準用されます。規制は貸金業者の手元に残るのではなく、債権と一緒に移ります。

    なお、債権回収を専門とする会社(いわゆるサービサー)の許可制度については、本記事では実査していないため扱いません(記載なし)。本記事は貸金業法第24条・第21条、民法第466条〜第468条、貸金業法施行規則、および金融庁の登録検索サービスの画面だけを根拠にしています。本記事は法律上の助言ではありません。

    1. 債権の譲渡は民法で認められている(第466条・第467条・第468条)

    民法第466条は見出しが「(債権の譲渡性)」で、第1項は次の一文です(原文・2026年9月13日確認)。

    • 第466条第1項本文「債権は、譲り渡すことができる。」
    • 同項ただし書「ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
    • 第466条第2項「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」

    つまり、譲渡された事実そのものに異議を述べる筋はほとんどありません。見るべきは次の第467条です(見出しは「(債権の譲渡の対抗要件)」)。

    • 第467条第1項「債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」
    • 第467条第2項「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」

    条文が求めているのは「譲渡人(もとの貸し手)が債務者に通知する」か「債務者が承諾する」のどちらかです。譲受人が自分の名前だけで送ってきた案内は、第467条第1項が挙げる2つのどちらでもありません。手元の通知が誰の名義で出されたものかを、まず封筒と本文で確かめてください。

    あわせて、第468条(債権の譲渡における債務者の抗弁)第1項は「債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる」と定めています。もとの貸し手との間で生じていた事情が、譲渡によってリセットされるわけではないという条文です。

    e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第466条・第467条・第468条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月13日確認)

    2. 貸金業者が譲渡するときの通知義務(貸金業法第24条第1項)

    貸金業法第24条の見出しは、原文では「(債権譲渡等の規制)」です。その第1項は次のとおりです(原文・2026年9月13日確認)。

    「貸金業者は、貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡するに当たつては、その者に対し、当該債権が貸金業者の貸付けに係る契約に基づいて発生したことその他内閣府令で定める事項並びにその者が当該債権に係る貸付けの契約に基づく債権に関してする行為について第十二条の七、第十六条の二第三項及び第四項、第十六条の三、第十七条(第六項を除く。)、第十八条から第二十二条まで、第二十四条の六の十並びにこの項の規定(抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第一条第一項に規定する抵当証券に記載された債権については第十六条の二第三項及び第四項並びに第十七条(第六項を除く。)の規定を除き、これらの規定に係る罰則を含む。)の適用がある旨を、内閣府令で定める方法により、通知しなければならない。」

    ここで混同しやすい点があります。第24条第1項の通知の相手方は「その者」=債権を譲り受ける者です。民法第467条第1項の「債務者への通知」とは相手方が違います。つまり譲渡の場面では、性質の異なる通知が2本存在します。

    条文誰が誰に何を
    民法第467条第1項譲渡人(もとの貸し手)債務者譲渡したこと(債務者の承諾でも代替可)
    貸金業法第24条第1項譲渡する貸金業者債権を譲り受ける者この債権が貸付契約から生じたこと、列挙された条文と罰則の適用があること
    民法第467条第1項と貸金業法第24条第1項の原文から整理(2026年9月13日確認)。

    第24条第1項の通知の方法と内容は内閣府令に委ねられており、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第21条が定めています。同条第3項は「法第二十四条第一項の規定による通知は、書面により行わなければならない」(譲り受ける者の承諾を得て電磁的方法で提供したときは書面通知をしたものとみなす旨が第4項にあります)。同条第1項第4号は通知事項として「譲渡年月日及び当該債権の額」を挙げています。

    e-Gov法令検索「貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)」第24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)」第21条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    3. 譲受人に準用される条文の一覧(第24条第2項)

    第24条第2項は、第1項が列挙したのと同じ条文を、譲受人自身に及ぼします(原文・2026年9月13日確認)。

    「第十二条の七、第十六条の二第三項及び第四項、第十六条の三、第十七条(第六項を除く。)、第十八条から第二十二条まで、第二十四条の六の十並びに前項の規定(抵当証券法第一条第一項に規定する抵当証券に記載された債権については、第十六条の二第三項及び第四項並びに第十七条(第六項を除く。)の規定を除く。)は、貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡があつた場合における当該債権を譲り受けた者について準用する。」

    列挙された条文に、原文の見出しを添えると次のようになります。「第十八条から第二十二条まで」という書き方なので、その範囲に並ぶ第19条の2・第20条・第20条の2・第21条も入ります。

    条原文の見出し
    第12条の7(生命保険契約等の締結に係る制限)
    第16条の2 第3項・第4項(契約締結前の書面の交付)
    第16条の3(生命保険契約等に係る同意前の書面の交付)
    第17条(第6項を除く。)(契約締結時の書面の交付)
    第18条(受取証書の交付)
    第19条(帳簿の備付け)
    第19条の2(帳簿の閲覧)
    第20条(特定公正証書に係る制限)
    第20条の2(公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限)
    第21条(取立て行為の規制)
    第22条(債権証書の返還)
    第24条の6の10(報告徴収及び立入検査)
    第24条第1項(債権譲渡等の規制)=譲受人が更に譲渡するときの通知義務
    貸金業法第24条第1項・第2項の列挙と、各条のe-Gov原文の見出し(2026年9月13日確認)。抵当証券法第1条第1項の抵当証券に記載された債権については、第16条の2第3項・第4項と第17条(第6項を除く。)が除かれると同項の括弧書きに定められています。

    実務で効く形にすると、こうなります。

    • 受取証書(第18条)=譲受人に払ったときも、書面の交付を求められる立場は変わりません。
    • 帳簿(第19条・第19条の2)=第19条の2第1項は「債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、(…)帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる」と定め、施行規則第23条の4は譲り受けた者が「その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない」としています。
    • 債権証書の返還(第22条)=「貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。」
    • 報告徴収・立入検査(第24条の6の10)=第24条第2項の読替えにより、譲受人については「内閣総理大臣又は都道府県知事」が「都道府県知事」と読み替えられます。営業所等の所在する都道府県知事が、報告・資料の提出を命じ、立入検査をする対象になるという建て方です。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第12条の7・第16条の2・第16条の3・第17条・第18条〜第22条・第24条・第24条の6の10 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第23条の4・第23条の5 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    4. 取立て行為の規制(第21条)は譲受人にもそのまま及ぶ

    第21条第1項の柱書は、規制の相手を「貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者」と書き、「貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と定めています。禁じられる言動は第1号から第10号までの10類型です(各号の全文と罰則は違法な取り立ての基準に整理しています)。譲渡の場面で関係が深い号を原文で引くと、次のとおりです。

    • 第1号=「正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。」
      この「内閣府令で定める時間帯」は、施行規則第19条第1項が「午後九時から午前八時までの間」と定めています。同項は括弧書きで「(法第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。)」と明記しており、譲受人からの連絡にも同じ時間帯の制限がかかります。
    • 第5号=「貼り紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。」
    • 第7号=「債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。」
    • 第9号=弁護士・弁護士法人・司法書士・司法書士法人に債務の処理を委託し、又は裁判所における手続をとり、その旨の書面による通知があった場合に、正当な理由がないのに債務者等へ直接弁済を要求し、直接要求しないよう求められたにもかかわらず更に要求すること。
    • 第10号=「債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。」

    第2項は、支払の催告書面(又はこれに代わる電磁的記録)に記載すべき事項を第1号から第8号までの8項目として挙げています。①貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及び住所並びに電話番号 ②当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名 ③契約年月日 ④貸付けの金額 ⑤貸付けの利率 ⑥支払の催告に係る債権の弁済期 ⑦支払を催告する金額 ⑧内閣府令で定める事項。施行規則第19条第3項は⑧の中身として「支払の催告時における当該催告に係る残存債務の額」「支払を催告する金額の内訳(元本、利息及び債務の不履行による賠償額の別をいう。)」などを定め、同条第4項はこれらを「日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない」としています。同条第2項は、催告書面を「当該書面に封をする方法(…)その他の債務者の借入れに関する事実が債務者等以外の者に明らかにならない方法により行わなければならない」と定めています。

    そして第21条第3項が、譲受人に問い合わせるときの根拠になります(原文)。

    「前項に定めるもののほか、貸金業を営む者(…)は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たり、相手方の請求があつたときは、貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及びその取立てを行う者の氏名その他内閣府令で定める事項を、内閣府令で定める方法により、その相手方に明らかにしなければならない。」

    債権譲渡後のこの「内閣府令で定める事項」を定めているのが施行規則第25条第1項で、その第1号は「取立てを行う者の弁済受領権限の基礎となる事実」です。第2号以下は、取り立てる債権に係る第17条第1項各号に掲げる事項(契約年月日・貸付けの金額・貸付けの利率など)等が挙げられています。同規則第19条第6項は、明らかにする方法を「前項各号に掲げる事項を(…)八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載した書面を交付又は送付する方法」と定めています。

    言い換えると、「あなたが受け取る権限を持っている根拠を、書面で示してください」と請求できるのが第21条第3項と施行規則第25条です。電話で名乗るだけの説明で終わらせる必要はありません。契約時に交付された書面との突き合わせ方は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務、遅延損害金の上限は遅延損害金の上限、利率の上限は金利の上限で条文を確認できます。請求された金額の内訳が妥当かを自分で並べ直すときは返済シミュレーターが使えます。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第21条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第19条・第25条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月13日確認)

    5. 譲渡先そのものにかかる制限(第24条第3項・第4項)

    第24条第3項は、譲渡の相手方を選ぶ段階に制限をかけています(原文・2026年9月13日確認)。柱書は「貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の譲渡又は取立ての委託(以下「債権譲渡等」という。)をしようとする場合において、その相手方が次の各号のいずれかに該当する者(以下この項において「取立て制限者」という。)であることを知り、若しくは知ることができるとき、又は当該債権譲渡等の後取立て制限者が当該債権の債権譲渡等を受けることを知り、若しくは知ることができるときは、当該債権譲渡等をしてはならない」。各号は次の3つです。

    • 第1号「暴力団員等」
    • 第2号「暴力団員等がその運営を支配する法人その他の団体又は当該法人その他の団体の構成員」
    • 第3号「貸付けの契約に基づく債権の取立てに当たり、第二十一条第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者」

    第4項は「貸金業者は、政令で定める密接な関係を有する者に(…)債権譲渡等をしたときは、その相手方が当該債権の取立てに当たり第二十一条第一項(…)の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯さないように、相当の注意を払わなければならない」と定めています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第24条第3項・第4項 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    6. 罰則は譲受人にも付いてくる

    第24条第1項が括弧書きで「これらの規定に係る罰則を含む。」と書いているとおり、準用には罰則が伴います。貸金業法の罰則規定を条文で追うと、次の3本が該当します(原文・2026年9月13日確認)。

    条・号対象となる行為(原文の指示)法定刑
    第47条の3第1項第3号「第二十一条第一項(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項、第二十四条の五第二項及び第二十四条の六において準用する場合を含む。)の規定に違反した者」2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(又は併科)
    第48条第1項第6号「第二十四条第三項の規定に違反して、同項第一号又は第二号に該当する者であることを知りながら、これを相手方として、貸付けの契約に基づく債権の債権譲渡等をした者」1年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(又は併科)
    第49条第1項第8号「第二十四条第一項(同条第二項及び第二十四条の六において準用する場合を含む。)(…)の規定に違反した者」100万円以下の罰金
    貸金業法第47条の3第1項・第48条第1項・第49条第1項の原文から作成(2026年9月13日確認)。柱書の刑の重さは各条の第1項柱書の記載どおり。

    第47条の3第1項第3号が「第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。」と明記している点が要点です。取立て行為の規制違反は、もとの貸金業者だけの問題ではなく、譲り受けた者の行為としても処罰の対象になります。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第47条の3・第48条・第49条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    7. 登録のない業者の債権を譲り受けた場合(第24条の6)

    「譲受人が貸金業の登録を受けていないなら、規制は及ばないのでは」という疑問には、第24条の6(見出しは「(準用)」)が答えています。同条第1項は、「貸金業を営む者(貸金業者を除く。…)」=登録を受けていない者について、次のように定めています(原文・抜粋)。

    「第二十四条第一項の規定は貸金業を営む者(貸金業者を除く。以下この条において同じ。)が貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡する場合について、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十一条並びに第二十四条第一項の規定は貸金業を営む者の貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡があつた場合における当該債権を譲り受けた者について、(…)準用する。」

    第21条(取立て行為の規制)は、この経路でも譲受人に準用されます。第47条の3第1項第3号の括弧書きにも「第二十四条の六において準用する場合を含む。」と入っています。登録の有無で取立て規制が外れる建て方にはなっていません。無登録で貸金業を営む行為そのものの見分け方は無登録業者(ヤミ金)の見分け方にまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第24条の6・第47条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月13日確認)

    8. 譲受人が登録貸金業者かを金融庁の検索で照合する手順

    通知に書かれた社名が登録貸金業者として公表されているかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確かめられます。2026年9月13日に検索入力ページ(HTTP 200)を開いて確認した画面の検索項目名は次のとおりです。

    画面の項目名画面の補足表記
    登録番号「第」と「号」で挟む2つの入力欄
    所在地第一候補/第二候補/第三候補(都道府県のプルダウン。初期値は「(未選択)」)
    商号・名称—
    代表者名「(漢字・カタカナ)」「記入例:貸金 太郎」
    電話番号「(半角)」「記入例:0312345678」
    金融庁「登録貸金業者情報検索入力ページ」の表示(2026年9月13日確認)。送信ボタンは「検索開始」、その下に「詳細検索へ」ボタンがあり、画面には「上記以外の項目で検索したい場合は「詳細検索へ」ボタンを押してください」「※画面を変更すると上記で入力したものはクリアされます」と表示されます。

    手順は単純です。

    1. 通知の社名(商号・名称)を入力して「検索開始」。同じ表記が見つからないときは、所在地の都道府県や電話番号だけでも検索できます(同ページの案内文=「一部の項目でも検索は可能です。」)。
    2. 結果に登録番号が表示されたら、通知に書かれた番号と突き合わせます。番号の読み方は貸金業の登録番号(1)(2)の意味、桁の確認は登録番号チェッカーで行えます。
    3. 登録が確認できたら、次に処分歴を見ます(→貸金業者の行政処分歴の調べ方)。検索サービスの使い方と「出てこないとき」の読み方は貸金業者の登録を確認する手順に詳しくまとめています。

    該当がない場合の表示も実測しました。存在しない商号で検索(POST)すると、画面には「検索の結果該当するデータは見つかりませんでした。」「※ブラウザの【戻る】ボタンを押し入力画面へ戻り、再度検索条件を入力し直してください。」「最新の情報やご不明な点は登録先の財務局・都道府県へお問い合せください。」と表示されます(2026年9月13日確認)。

    この検索結果の限界は、金融庁が「ご利用上の注意」に明記しています(原文・2026年9月13日確認)。

    • 「このサービスで検索される情報は、貸金業者の登録を行っている各財務局・都道府県で閲覧できる貸金業者登録簿や、官報等の情報をもとに編集したものです。」
    • 「検索された情報は、各財務局・都道府県がデータの更新処理を行った時点のものであり、照会日現在のものではありません。」
    • 「このサービスで検索されない貸金業者は、各財務局・都道府県がデータ更新処理後に新規登録を行ったか、「貸金業法」に基づく登録を行っていない無登録業者(いわゆるヤミ金融)である可能性があります。」
    • 「本サービスにおいて一回の検索で表示される情報の上限は100件です。」
    • 「金融庁、各財務局・都道府県は、利用者がこのサービスの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。」

    したがって、検索で出てこないことは、それだけでは結論になりません。同ページも「最新の情報やご不明な点は、登録番号欄に記載されている各財務局・都道府県にお問い合わせください」と案内しています。取立ての方法に第21条違反の疑いがあるときの公的な相談先は借入の相談窓口一覧に電話番号と受付時間つきで並べています。

    金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin//同「登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/chuui.html(いずれも2026年9月13日確認)

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    よくある質問

    債権が譲渡されたら、もう払わなくてよいのですか?

    実査した条文にそのような規定はありません(記載なし)。民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。」と定めており、譲渡によって債務が消えるとは書かれていません。民法第467条第1項は、譲受人が債務者に対抗するには譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要だと定めているだけです。また第468条第1項により、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由は譲受人に対抗できます(2026年9月13日確認)。

    譲り受けた会社が夜に電話してきました。規制は及びますか?

    貸金業法第24条第2項は第21条(取立て行為の規制)を譲受人に準用しています。第21条第1項第1号の「内閣府令で定める時間帯」は、貸金業法施行規則第19条第1項が「午後九時から午前八時までの間」と定め、同項は括弧書きで「(法第二十四条第二項(…)において準用する場合を含む。)」と明記しています(2026年9月13日確認)。

    「本当に受け取る権限があるのか」を書面で出してもらえますか?

    貸金業法第21条第3項は「相手方の請求があつたときは(…)その相手方に明らかにしなければならない」と定めています。債権譲渡後の明示事項を定める貸金業法施行規則第25条第1項第1号は「取立てを行う者の弁済受領権限の基礎となる事実」です。同規則第19条第6項は、明示の方法として八ポイント以上の文字で記載した書面を交付又は送付する方法を定めています(2026年9月13日確認)。

    譲り受けた会社が金融庁の検索に出てきません。無登録ということですか?

    金融庁「ご利用上の注意」は「このサービスで検索されない貸金業者は、各財務局・都道府県がデータ更新処理後に新規登録を行ったか、「貸金業法」に基づく登録を行っていない無登録業者(いわゆるヤミ金融)である可能性があります」と記載しており、2つの可能性を併記しています。また「検索された情報は(…)照会日現在のものではありません」とも明記されています。同ページは各財務局・都道府県への問い合わせを案内しています(2026年9月13日確認)。

    登録のない相手に譲渡された場合、取立ての規制は外れますか?

    貸金業法第24条の6第1項は、「貸金業を営む者(貸金業者を除く。…)」の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者について、第20条第1項及び第2項、第20条の2、第21条並びに第24条第1項を準用すると定めています。第47条の3第1項第3号の括弧書きにも「第二十四条の六において準用する場合を含む。」と入っています(2026年9月13日確認)。


    e-Gov法令検索「貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「民法(明治二十九年法律第八十九号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/「貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin//同「ご利用上の注意」 https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/chuui.html(いずれも2026年9月13日確認)

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    最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁)のみを根拠に作成しています。条文は2026年9月13日時点でe-Gov法令検索から取得した原文に基づくもので、条・項・号の帰属は同日取得のデータのとおりです。債権管理回収業(いわゆるサービサー)の許可制度、債権譲渡登記、個別の会社の登録内容については実査していないため扱っておらず、確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の事情は弁護士・司法書士などの専門家、または公的な相談窓口にご相談ください。

  • 手数料は金利に含まれるのか|利息制限法第3条「みなし利息」と利息に算入されない費用を条文で確認する

    手数料は金利に含まれるのか|利息制限法第3条「みなし利息」と利息に算入されない費用を条文で確認する

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    先に結論:利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者が受ける「元本以外の金銭」を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。つまり「金利とは別の事務手数料」という名目でも、原則として上限金利の計算に取り込まれます。除かれるのは第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」ですが、業者からの借入れ(営業的金銭消費貸借)では、その除外の範囲が同法第6条と政令によって具体的に絞り込まれています。

    広告に出ている年率と、契約書の費用欄に並ぶ名目。この2つの関係を決めているのは、貸し手の説明ではなく条文です。この記事は、利息制限法・同法施行令・貸金業法・同法施行令の原文(2026年9月12日にe-Gov法令検索の法令APIでJSON全文を取得して確認)だけを根拠に、どの費用が利息に算入され、どの費用が算入されないのかを整理した記録です。

    表示される年率そのものの読み方(貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」)は実質年率とはで扱っています。この記事はその手前、何が利率の分子に入るのかの話です。

    1. 利息制限法第3条:名目を変えても利息として数える

    利息制限法第3条(みなし利息)の原文は次のとおりです(2026年9月12日確認・強調は引用者)。

    前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。

    読み方のポイントは3つです。

    • 「前二条」=第1条と第2条。第1条は利息の上限(元本の額が十万円未満の場合は年二割、十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、百万円以上の場合は年一割五分)を定め、第2条は利息の天引きについて定めています。第3条は、この2つの条文を適用するときの「利息」の数え方のルールです。
    • 判断の基準は名目ではなく実質。条文は「その他いかなる名義をもってするかを問わず」と書いています。事務手数料でも調査料でも、債権者が受ける元本以外の金銭であれば同じ扱いになります。
    • 除外はただし書の1種類だけ。「契約の締結及び債務の弁済の費用」です。この範囲が争点になるため、営業的金銭消費貸借については第6条が別途細かく定めています(次章)。

    なお「営業的金銭消費貸借」という用語は、同法第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義されています(2026年9月12日確認)。貸金業者から借りる場合が、これに当たります。

    e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第5条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    2. 業者からの借入れでは、除外されるのは3つだけ(第6条第2項)

    第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」は、一般論としては幅のある言葉です。ところが利息制限法第6条第2項は、営業的金銭消費貸借について「次に掲げる契約の締結及び債務の弁済の費用に限り、第三条ただし書の規定の適用があるものとする」と定め、対象を号で限定しています(2026年9月12日確認)。

    号条文の内容(利息制限法第6条第2項)
    第1号公租公課の支払に充てられるべきもの
    第2号強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
    第3号債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。)
    利息制限法第6条第2項第1号〜第3号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    ここが実務で効いてきます。「契約の費用だから金利とは別」という説明があっても、この3つの号に当てはまらなければ第3条ただし書は適用されず、本文に戻って利息とみなされる、というのが条文の構造です。第3号のATM等の利用料には、さらに「政令で定める額の範囲内」という上限が付いています。

    e-Gov法令検索「利息制限法」第6条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    3. 政令が列挙した「利息とみなされない費用」と、ATM利用料の上限

    利息制限法第6条第1項は、営業的金銭消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭のうち、「金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの」については第3条本文の規定を適用しないと定めています(2026年9月12日確認)。

    その「政令」が利息制限法施行令(平成十九年政令第三百三十号)です。同令第1条(利息とみなされない費用)は、次の3つを列挙しています(いずれも消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含む。2026年9月12日確認)。

    号利息とみなされない費用(利息制限法施行令第1条)
    第1号金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料
    第2号貸金業法の規定により交付された書面の再発行、および書面の交付に代えて電磁的方法により提供された事項の再提供の手数料
    第3号口座振替の方法による弁済において、債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続に要する費用
    利息制限法施行令第1条第1号〜第3号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    そして同令第2条が、利息制限法第6条第2項第3号にいう機械の利用料の上限額を定めています。

    区分政令で定める額(消費税額等相当額を含む)
    現金自動支払機その他の機械を利用して受け取り、又は支払う額が一万円以下の場合百十円
    同じく一万円を超える場合二百二十円
    利息制限法施行令第2条第1号・第2号(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。

    列挙は限定的です。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、そして枠内のATM利用料。それ以外の名目で債権者が受け取る元本以外の金銭は、第3条本文に戻って利息として数えるのが条文の建て付けです。逆にいえば、名目が何であれ、上限との関係を見るときは「利息+それ以外に払う金銭」を合算して考えることになります。金額の実感は返済シミュレーターで総返済額を出すとつかみやすくなります。

    e-Gov法令検索「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「利息制限法」第6条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月12日確認)

    4. 貸金業者にはもう一本、貸金業法の「みなし利息」がある

    相手が貸金業者の場合、利息制限法に加えて貸金業法が重なります。貸金業法第12条の8第1項は「貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。)が利息制限法第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない」と定め、同条第4項は超過部分を受領すること、その支払を要求することも禁止しています(2026年9月12日確認)。

    その「みなし利息」の定義が同条第2項です。礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭から、(a) 契約の締結及び債務の弁済の費用であって同項各号に掲げるもの、(b) 債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの、を除いたもの——という組み立てです。各号は利息制限法第6条第2項と同じ3つ(公租公課/公の機関の手続費用/機械の利用料)です。

    (b) の政令は貸金業法施行令(昭和五十八年政令第百八十一号)で、第3条の2の2(利息とみなされない費用)がカードの再発行手数料・書面の再発行および事項の再提供の手数料・再度の口座振替手続に要する費用の3つを列挙し、第3条の2の3が機械の利用料の上限を一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円と定めています(2026年9月12日確認)。利息制限法側と同じ内容です。

    論点利息制限法(民事上の効力)貸金業法(業者に対する規制)
    原則第3条=名目を問わず元本以外の金銭は利息とみなす第12条の8第2項=同趣旨の「みなし利息」を定義
    除外される契約締結・弁済の費用第6条第2項第1号〜第3号第12条の8第2項第1号〜第3号
    事務の費用(政令の列挙)利息制限法施行令第1条第1号〜第3号貸金業法施行令第3条の2の2第1号〜第3号
    機械の利用料の上限利息制限法施行令第2条=110円/220円貸金業法施行令第3条の2の3=110円/220円
    超えたときの効果第1条・第3条=超過部分は無効第12条の8第1項・第4項=契約の締結、受領、支払の要求を禁止
    両法の対照(e-Gov法令検索・2026年9月12日確認)。条・項・号は各原文の表記による。

    なお、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)の本則には、この「利息とみなされない費用」を列挙した条はありません(本則を走査して確認・記載なし)。列挙しているのは上記のとおり政令です。施行規則が定めているのは、掲示する利率の算出方法(第11条第1項第1号=別表中の算式一)や表示の細かさ(第11条第4項=年率を百分率で少なくとも小数点以下一位まで表示)といった表示のルールのほうです。

    e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日確認)

    5. 合算した結果が超えるとどうなるか

    金融庁は「貸金業法のキホン」で、法律上の上限金利を2本立てで説明しています(2026年9月12日確認)。

    • 利息制限法の上限金利(超過すると民事上無効):貸付額に応じ15%〜20%
    • 出資法の上限金利(超過すると刑事罰):改正前は29.2%

    同ページは、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられてグレーゾーン金利が撤廃され、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%〜20%)になったこと、利息制限法の上限を超える金利帯での貸付けは民事上無効で行政処分の対象にもなり、出資法の上限を超える金利帯での貸付けは刑事罰の対象になることを明記しています。

    ここに利息制限法第3条が効きます。手数料の名目で受け取った金銭も利息として数えるため、約定の金利が上限の内側でも、みなし利息を足した結果が第1条の金額を超えれば超過部分は無効という順番になります。上限の早見は上限金利の記事、超過した場合の全体像は総量規制の記事と併せて確認してください。

    金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html/同「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月12日確認)

    6. 遅延損害金と保証料は、別のものさしで見る

    費用の話でまぎれやすい2つを、条文で切り分けておきます。

    • 遅延損害金(賠償額の予定):利息制限法第4条第1項は、債務の不履行による賠償額の予定が第1条に規定する率の一・四六倍を超えるときは超過部分を無効とし、同条第2項は違約金を賠償額の予定とみなすと定めています。さらに第7条第1項は、営業的金銭消費貸借については年二割を超えるときに超過部分を無効とする特則を置いています(2026年9月12日確認)。詳しくは遅延損害金の記事へ。
    • 保証料:利息制限法第8条第1項は、営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る)がされた場合の保証料の契約について、主たる債務の元本に係る法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額を超える部分を無効とする、という別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を、一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています(2026年9月12日確認)。一方、保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし)。

    e-Gov法令検索「利息制限法」第4条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    7. 契約前に見るところ

    条文を踏まえると、契約前に確認する項目はごく具体的になります。

    • 費用欄の名目と額を書面で押さえる。貸付契約の書面は契約前と契約時の2回交付されます(→貸付契約の書面)。口頭の説明ではなく、書面に並んだ名目で判断します。
    • その費用が政令の列挙に当たるかを見る。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、枠内のATM利用料以外の名目であれば、利息として数える側に入り得ます。
    • 表示された年率の意味を確認する。貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」は、利息およびみなし利息の総額をもとに算出した年率を百分率で表示するものと定義されています(→実質年率とは、返済シミュレーションの読み方)。
    • 広告の表示が法の要求を満たしているかも手がかりになります(→貸金業者の広告規制)。
    • そもそも登録された貸金業者かを先に確認します(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。登録のない相手についてはヤミ金の見分け方を参照してください。

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    よくある質問

    事務手数料は金利とは別、と説明されました。条文ではどうなっていますか?

    利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。除かれるのは同条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」で、営業的金銭消費貸借ではその範囲が第6条第2項第1号〜第3号(公租公課/公の機関が行う手続に関して支払うもの/機械の利用料)に限られます(2026年9月12日・条文確認)。

    ATMの手数料は利息に含まれますか?

    債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料は、政令で定める額の範囲内であれば第3条ただし書の適用対象です(利息制限法第6条第2項第3号)。その額は利息制限法施行令第2条で、一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円(いずれも消費税額等相当額を含む)と定められています。貸金業法側でも貸金業法施行令第3条の2の3が同じ額を定めています(2026年9月12日確認)。

    繰上返済手数料や振込手数料はどちらに入りますか?

    個別の名目がどちらに分類されるかを定めた条文は、今回確認した範囲にはありません(記載なし)。条文が定めているのは判断の枠で、第3条本文で利息とみなすことを原則とし、利息制限法第6条第2項各号と利息制限法施行令第1条各号(貸金業者については貸金業法第12条の8第2項各号と貸金業法施行令第3条の2の2各号)に当たるものだけが外れる、という構造です。

    保証料も金利に含まれますか?

    利息制限法第8条第1項は、保証料について「法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額」を超える部分を無効とする別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています。保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし・2026年9月12日確認)。

    銀行のローンの手数料も同じルールですか?

    この記事で確認した貸金業法第12条の8・第14条の主語は「貸金業者」です。銀行等が受け取る費用の扱いについては、今回確認した条文には記載がありません(記載なし)。利息制限法は金銭を目的とする消費貸借一般について定めており、第6条の特則は営業的金銭消費貸借(第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義)を対象としています(2026年9月12日確認)。


    e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8・第14条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日に法令APIでJSON全文を取得して確認)/金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html(2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁)のみを根拠に作成しています。条・項・号の表記は各法令の原文によるもので、法令は改正されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 抵当権と根抵当権の違い|民法第369条・第398条の2の原文と、極度額・元本確定の意味

    抵当権と根抵当権の違い|民法第369条・第398条の2の原文と、極度額・元本確定の意味

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    不動産を担保に入れる話になると、契約書や登記の書面に「抵当権」と「根抵当権」という、よく似た2つの言葉が出てきます。1字違うだけですが、条文の置き場所も、書かれている中身も別ものです。

    先に結論:抵当権は「その1本の債権」を担保する権利で、根拠は民法第369条。根抵当権は「一定の範囲に属する不特定の債権」を「極度額」の限度で担保する権利で、根拠は民法第398条の2第1項です。前者には登記事項として債権額が並び、後者には担保すべき債権の範囲及び極度額が並びます(不動産登記法第83条第1項第一号/第88条第2項第一号)。手元の書面がどちらの型かは、この欄の名前で読み分けられます。

    この記事は、e-Gov法令検索が配信する民法・不動産登記法・登記手数料令・貸金業法の法令データと、法務省・法務局が公表しているページだけを根拠に、条文がこの2つをどう書き分けているかを確認した記録です。どちらが有利か・どちらを選ぶべきかという話は、条文に定めがないため扱いません。各社の商品でどちらが設定されるかも、公表された一次情報がないため記載なしとします。

    1. 条文の置き場所からして違う

    民法の第二編「物権」には第十章「抵当権」という章があり、その中がさらに節に分かれています。実査した法令データのツリーをたどると、位置関係は次のとおりでした(2026年9月12日確認)。

    条文章・節見出し(原文)
    第369条第十章 抵当権 > 第一節 総則(抵当権の内容)
    第373条・第375条第十章 抵当権 > 第二節 抵当権の効力(抵当権の順位)/(抵当権の被担保債権の範囲)
    第396条第十章 抵当権 > 第三節 抵当権の消滅(抵当権の消滅時効)
    第398条の2 〜 第398条の22第十章 抵当権 > 第四節 根抵当(根抵当権)ほか
    e-Gov法令検索「民法」の法令データから、各条が属する章・節を確認(2026年9月12日確認)。第四節 根抵当に置かれている条は21か条。

    まず第369条が、抵当権そのものを定義しています。

    第一項「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」
    第二項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。」

    ポイントは「占有を移転しないで」です。担保に入れても、その不動産を使い続けられる。そして「他の債権者に先立って」=優先弁済を受けられる。この優先順位は第373条が「同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。」と定めています。

    一方、根抵当権は第398条の2第1項です。

    「抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。」

    条文は「抵当権は……ためにも設定することができる」と書いています。根抵当権は抵当権とまったく別の権利として新設されたのではなく、抵当権の一形態として第十章の中に置かれている、という組み立てです。同条第2項が「前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)」と略称を与えています。

    なお抵当権の側には、第396条が「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。」という定めを置いています。担保される債権と抵当権が一体で扱われていることが、条文からも読み取れます。

    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第369条・第373条・第396条・第398条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認)

    2. いちばんの違いは「債権額」か「極度額」か

    抵当権には、担保される債権が1本あります。だから登記にも「債権額」が書かれます。根抵当権には、担保される債権があらかじめ特定されていません。代わりに上限の枠=極度額が書かれます。

    その枠がどこまでを飲み込むかを定めているのが第398条の3第1項です。

    「根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。」

    ここが抵当権との分かれ目です。抵当権のほうは、第375条第1項が次のように制限しています。

    第一項「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。」
    第二項「前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。」

    つまり抵当権は「利息は最後の2年分まで」という上限の引き方、根抵当権は「元本も利息も損害賠償も全部まとめて、極度額まで」という上限の引き方です。同じ「担保の上限」でも、数え方の設計が違います。

    比べる点抵当権根抵当権
    根拠条文民法第369条民法第398条の2第1項
    担保される債権特定の債権一定の範囲に属する不特定の債権
    上限の書き方債権額(登記事項)極度額(登記事項)
    利息・損害賠償の扱い最後の二年分について行使できる(第375条)確定した元本・利息等の全部を極度額を限度として行使できる(第398条の3第1項)
    上限額の変更条文に「極度額の変更」に当たる規定は置かれていない利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない(第398条の5)
    順位登記の前後による(第373条・根抵当権も第十章の抵当権)
    民法第369条・第373条・第375条・第398条の2・第398条の3・第398条の5の原文から作成(2026年9月12日確認)。優劣や有利・不利を示すものではありません。

    極度額を動かしたいときの条文が第398条の5です。「根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。」——枠を広げるにも狭めるにも、後順位の担保権者などの承諾が要る、という設計になっています。

    e-Gov法令検索「民法」第375条・第398条の3・第398条の5 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認)

    3. 「何でも担保」は条文が禁じている——債権の範囲

    「不特定の債権を担保する」と聞くと、その人と自分の間のあらゆる債務が無制限に入るように読めます。しかし第398条の2第2項は、そこに枠をはめています。

    第二項「前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。」

    「限定して、定めなければならない」。つまり債権の範囲は登記され、そこに書かれた取引から生じる債権だけが枠の中に入ります。第3項は、この原則の例外として「特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。」と定めています。

    この範囲は後から動かせます。第398条の4は次のとおりです。

    • 第一項「元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。」
    • 第二項「前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。」
    • 第三項「第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。」

    極度額の変更(第398条の5)は利害関係人の承諾が要るのに、債権の範囲・債務者の変更(第398条の4第2項)は承諾が要らない。枠の大きさは他人の利害に直結するが、枠の中身の入れ替えは枠を超えないから——という条文の書き分けになっています。ただし第3項のとおり、登記をしないまま元本が確定すると、その変更はなかったものとみなされます。

    e-Gov法令検索「民法」第398条の2第2項・第3項・第398条の4 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認)

    4. 「元本確定」とは何が起きることか

    根抵当権の条文には「元本の確定前」「元本の確定後」という表現が繰り返し出てきます。元本確定=それ以降に生じる債権は、もうこの枠に入らなくなる時点のことです。出入り自由だった枠が締め切られ、中身が固定されます。

    あらかじめ期日を決めておく場合(第398条の6)

    • 第一項「根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。」
    • 第三項「第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。」
    • 第四項「第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。」

    請求で確定させる場合(第398条の19)

    • 第一項「根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。」
    • 第二項「根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。」
    • 第三項「前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。」

    担保を提供した側(根抵当権設定者)は設定から3年を待つ必要があり、確定まで2週間かかる。担保を取った側(根抵当権者)はいつでも請求でき、その場で確定する。条文は左右対称ではありません。そして確定期日が定めてある場合、この確定請求の規定は適用されません(第3項)。

    一定の事由が起きて確定する場合(第398条の20第1項)

    号元本が確定する場合(原文の要旨)
    一根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第372条において準用する第304条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
    二根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
    三根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
    四債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
    民法第398条の20第1項第一号〜第四号(2026年9月12日確認)。同条第2項は、第三号の競売手続の開始・差押えまたは第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは確定しなかったものとみなす旨(ただし書あり)を定めています。

    相続・合併があった場合(第398条の8・第398条の9)

    第398条の8は、元本の確定前に根抵当権者や債務者について相続が開始したとき、相続開始の時に存する債権・債務のほか、合意により定めた相続人が相続開始後に取得・負担する債権債務も担保する、と定めます。ただし第4項は「第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。」としています。

    合併の場合は第398条の9で、根抵当権設定者は元本の確定を請求でき(第3項)、その請求があったときは合併の時に確定したものとみなされます(第4項)。この請求は「根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。」(第5項)と期間が区切られています。

    e-Gov法令検索「民法」第398条の6・第398条の8・第398条の9・第398条の19・第398条の20 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認)

    5. 確定の前と後で、できることが入れ替わる

    根抵当権の条文群は、「元本の確定前ならできる/できない」「元本の確定後ならできる」がはっきり書き分けられています。実査した条文を並べると次のとおりです。

    条文タイミング内容(原文の要旨)
    第398条の4第1項元本の確定前担保すべき債権の範囲の変更ができる。債務者の変更も同様
    第398条の7第1項元本の確定前根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も同様
    第398条の7第2項元本の確定前債務の引受けがあったとき、根抵当権者は引受人の債務について根抵当権を行使することができない
    第398条の11第1項元本の確定前根抵当権者は第376条第1項の規定による根抵当権の処分をすることができない(その根抵当権を他の債権の担保とすることは妨げない)
    第398条の12第1項元本の確定前根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる
    第398条の21第1項元本の確定後根抵当権設定者は、極度額を「現に存する債務の額」+「以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額」に減額することを請求できる
    第398条の22第1項元本の確定後現に存する債務の額が極度額を超えるとき、物上保証人や抵当不動産について所有権等を取得した第三者は、極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して根抵当権の消滅請求ができる(その払渡し・供託は弁済の効力を有する)
    民法第398条の4・第398条の7・第398条の11・第398条の12・第398条の21・第398条の22(2026年9月12日確認)。

    第398条の7第1項は、抵当権との対比で効いてきます。ふつうの抵当権は債権にくっついて動きますが、根抵当権は元本が確定するまで特定の債権と結びついていないため、債権だけを譲り受けた人が根抵当権を使うことはできない、と条文が明言しています。

    逆に確定後は、枠が固定される代わりに設定者側の手当てが用意されます。第398条の21第1項の減額請求と、第398条の22第1項の消滅請求です。とくに後者は「極度額に相当する金額を払い渡し又は供託」すれば、現に存する債務の額が極度額を超えていても根抵当権を消せる、という構造になっています。

    なお、不動産を担保として提供する立場と、保証人になる立場は別の制度です(→保証人になる前に確認すること)。契約前に渡される書面そのものの確認は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務にまとめています。

    e-Gov法令検索「民法」第398条の7・第398条の11・第398条の12・第398条の21・第398条の22 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認)

    6. 手元の不動産がどちらの型か——登記事項証明書で確かめる

    抵当権と根抵当権は、登記に書かれる項目そのものが違います。不動産登記法を原文で見ると、こうなっています。

    条文登記事項(原文の要旨)
    第83条第1項先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項=第59条各号のほか、一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)/二 債務者の氏名又は名称及び住所/三 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利/四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利/五 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する場合の本邦通貨で表示した担保限度額
    第88条第1項抵当権(根抵当権を除く)の登記事項=第59条各号及び第83条第1項各号のほか、一 利息に関する定めがあるときはその定め/二 民法第375条第2項に規定する損害の賠償額の定めがあるときはその定め/三 債権に付した条件があるときはその条件 ほか
    第88条第2項根抵当権の登記事項=第59条各号及び第83条第1項各号(第一号を除く。)のほか、一 担保すべき債権の範囲及び極度額/二 民法第370条ただし書の別段の定めがあるときはその定め/三 担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときはその定め/四 民法第398条の14第1項ただし書の定めがあるときはその定め
    不動産登記法第83条・第88条(2026年9月12日確認)。第88条第1項の括弧書きは、根抵当権を「民法第398条の2第1項の規定による抵当権」と定義したうえで第1項の対象から除いています。

    注目したいのは第88条第2項の「第83条第1項各号(第一号を除く。)」という括弧書きです。第一号は「債権額」。根抵当権の登記事項からは、債権額が外されています。代わりに第2項第一号の「担保すべき債権の範囲及び極度額」が入る。だから登記の欄に「債権額」とあれば抵当権、「極度額」と「債権の範囲」が並んでいれば根抵当権、という読み方ができます。「確定期日」の欄(第2項第三号)が見えるのも根抵当権の側です。

    その登記を取る手続は、不動産登記法第119条が定めています。第1項は「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。」。第5項は「第一項の交付の請求は、法務省令で定める場合を除き、請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができる。」と定めています。第4項は手数料の納付方法を収入印紙(法務省令で定める方法で請求するときは現金も可)としています。

    手数料の額は登記手数料令が定めています。第2条第1項は「登記事項証明書……の交付についての手数料は、一通につき六百円とする。ただし、一通の枚数が五十枚を超えるものについては、六百円にその超える枚数五十枚までごとに百円を加算した額とする。」、第3条第1項は電子情報処理組織を使用して行う請求について「一通につき四百九十円(当該登記事項証明書の送付を求める場合にあつては、五百二十円)」と定めています。法務省が公表している「登記手数料について」(令和7年4月1日〜)の表も、書面請求600円/オンライン請求・送付520円/オンライン請求・窓口交付490円と、同じ額を示しています(2026年9月12日確認)。

    法務局「各種証明書請求手続」(ページ内の更新日=2026年2月2日)は、オンライン請求について「交付方法は、郵送又は窓口受取であり、電磁的な登記事項証明書等がオンラインで交付されるものではありません。」と明記しています。また「登記事項要約書は、証明書とは異なるもので、管轄登記所の窓口にしか請求できません。オンライン、郵送による請求はできませんので、インターネットで登記の内容を確認したい場合は、登記情報提供サービスをご利用ください」とも記載しています(2026年9月12日確認)。

    不動産担保ローンと総量規制の関係、および登記事項証明書が保存書類として挙がっている条文は不動産担保ローンと総量規制で扱っています。

    e-Gov法令検索「不動産登記法」(平成十六年法律第百二十三号)第83条・第88条・第119条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123/同「登記手数料令」第2条・第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000140/法務省「登記手数料について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html/法務局「各種証明書請求手続」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/category_00002.html(いずれも2026年9月12日確認)

    7. カードローンの「極度額」とは、根拠法が違う

    「極度額」という言葉は、カードローンの説明でも見かけます。同じ言葉ですが、根拠法が違います。本記事の極度額は民法第398条の2第1項の根抵当権の極度額で、カードローンの極度額は貸金業法第2条第7項の「極度方式基本契約」の極度額です。同項の原文は次のとおりです(2026年9月12日確認)。

    「この法律において「極度方式基本契約」とは、貸付けに係る契約のうち、資金需要者である顧客によりあらかじめ定められた条件に従つた返済が行われることを条件として、当該顧客の請求に応じ、極度額の限度内において貸付けを行うことを約するものをいう。」

    一方は不動産に設定する担保権の枠(民法)、もう一方は貸付契約そのものの枠(貸金業法)で、登記されるかどうかも、変更に承諾が要るかどうかも別の条文で決まります。カードローン側の極度額についてはカードローンの極度額と利用限度額の違いにまとめています。年収の3分の1の枠組みは総量規制とはを参照してください。

    e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第2条第7項 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「民法」第398条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(いずれも2026年9月12日確認)

    8. 申し込む前に確認しておくこと

    条文の読み分けができたら、次は相手方の確認です。金銭の貸付けを業として行うには貸金業の登録が要ります。登録の有無は金融庁の検索サービスで確認できます(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。契約前後に交付される書面の記載事項は貸金業法16条の2・17条の書面交付義務に条番号つきで整理しています。

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    よくある質問

    根抵当権は、抵当権とは別の権利ですか?

    民法第398条の2第1項は「抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」と定め、同条第2項が「前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)」と略称を与えています。条文上は第十章「抵当権」の第四節「根抵当」に置かれた21か条で規律されています(2026年9月12日確認)。

    登記を見て、抵当権か根抵当権かを見分けられますか?

    登記事項が違います。抵当権は不動産登記法第83条第1項第一号の「債権額」が登記事項ですが、根抵当権については第88条第2項が「第83条第1項各号(第一号を除く。)」としたうえで、第一号に「担保すべき債権の範囲及び極度額」を挙げています。第2項第三号には「担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め」も入ります(2026年9月12日確認)。

    「元本確定」とは、条文上どういう意味ですか?

    民法第398条の3第1項は、根抵当権者が「確定した元本」並びに利息その他の定期金及び損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できると定めています。確定の時期は、あらかじめ定めた期日(第398条の6。定め・変更の日から五年以内)、確定請求(第398条の19。設定者は設定から三年経過後・請求から二週間、根抵当権者はいつでも・請求の時)、一定の事由(第398条の20第1項第一号〜第四号)によります(2026年9月12日確認)。

    極度額は後から変えられますか?

    民法第398条の5は「根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない」と定めています。また元本の確定後については、第398条の21第1項が、根抵当権設定者は極度額を「現に存する債務の額」と「以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額」とを加えた額に減額することを請求できると定めています(2026年9月12日確認)。

    登記事項証明書はいくらで取れますか?

    登記手数料令第2条第1項は一通につき六百円、第3条第1項は電子情報処理組織を使用して行う請求について一通につき四百九十円(送付を求める場合は五百二十円)と定めています。法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日〜)の表も、書面請求600円/オンライン請求・送付520円/オンライン請求・窓口交付490円と同じ額を示しています。請求できる者について、不動産登記法第119条第1項は「何人も」と定めています(2026年9月12日確認)。


    出典(主要):e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/同「不動産登記法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123/同「登記手数料令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000140/同「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/法務省「登記手数料について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html/法務局「各種証明書請求手続」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/category_00002.html(いずれも2026年9月12日確認。各節末に節ごとの出典を記載)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索が配信する民法・不動産登記法・登記手数料令・貸金業法の法令データ、法務省・法務局の公表ページ)のみを根拠に作成しています。条文は2026年9月12日時点で取得した版(民法=施行日2026年6月24日、不動産登記法=施行日2026年6月24日、登記手数料令=施行日2026年4月1日、貸金業法=施行日2025年10月1日)に基づくもので、改正されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、個別の登記・契約の判断は司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。また特定の金融商品を推奨するものではありません。

  • 不動産担保ローンでかかる費用|抵当権設定の登録免許税・契約書の印紙税と、事務手数料が「みなし利息」になるか

    不動産担保ローンでかかる費用|抵当権設定の登録免許税・契約書の印紙税と、事務手数料が「みなし利息」になるか

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    不動産担保ローンの見積もりを見ると、金利のほかに「登録免許税」「印紙代」「事務手数料」といった行が並びます。このうち税額が法令で決まっているものと、貸し手が決めるものは、性質がまったく違います。前者は誰が貸しても同じ額、後者は契約次第で、しかも法律上は「利息」として扱われる場合があります。

    先に結論:不動産担保ローンで動くお金は、①国に納める税金(登録免許税・印紙税)、②登記所などに払う実費(登記事項証明書の手数料)、③専門家や貸し手に払うお金(司法書士報酬・事務手数料)の3つに分かれます。①と②は利息制限法第3条ただし書と第6条第2項により利息から外れますが、③のうち貸し手が受け取る手数料・調査料は同法第3条本文で「利息とみなす」と書かれています。この記事は、その根拠をe-Gov法令検索と国税庁のページだけで並べた記録です(2026年9月12日確認)。

    1. 借入額以外に動くお金を、根拠で3つに分ける

    費用の名前ではなく、誰に払うお金かで分けると、条文との対応がはっきりします。

    区分具体例額を決めているもの利息制限法上の扱い
    ①国に納める税金抵当権設定登記の登録免許税、契約書の印紙税登録免許税法 別表第一/印紙税額の一覧表「公租公課の支払に充てられるべきもの」=利息から外れる(第6条第2項第1号)
    ②公の機関に払う実費登記事項証明書の交付手数料登記手数料令 第2条・第3条「公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの」に関する定めがある(第6条第2項第2号)
    ③貸し手・専門家に払うお金事務手数料、調査料、礼金、司法書士報酬各社・各事務所が定める(法令に額の定めなし)債権者が受ける元本以外の金銭は「利息とみなす」(第3条本文)
    利息制限法(昭和二十九年法律第百号)第3条・第6条、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第一、登記手数料令(昭和二十四年政令第百四十号)第2条・第3条の条文から整理(2026年9月12日確認)。司法書士報酬が第3条本文の「債権者の受ける元本以外の金銭」に当たるかは、誰に支払うかによって変わります。

    ③に入るお金の相場は、公表されている一次情報には存在しません(記載なし)。この記事でも金額は書きません。代わりに、それが利息として数えられるのかどうかという、条文で確かめられる側を扱います。

    e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    2. 抵当権設定登記の登録免許税は「債権金額の千分の四」

    不動産を担保に入れるときは、その不動産に抵当権(または根抵当権)の設定登記をします。この登記にかかる登録免許税の課税標準と税率は、登録免許税法第9条が「別表第一の課税標準欄に掲げる金額又は数量及び同表の税率欄に掲げる割合又は金額による」と定めています。

    別表第一の「一 不動産の登記」(五)は、次のとおりです(原文・2026年9月12日確認)。

    登記の種類課税標準税率
    (五)先取特権の保存、質権若しくは抵当権の設定、強制競売、担保不動産競売…に係る差押え、仮差押え、仮処分又は抵当付債権の差押えその他権利の処分の制限の登記債権金額、極度金額又は不動産工事費用の予算金額千分の四
    (十五)登記の抹消(土地又は建物の表題部の登記の抹消を除く。)不動産の個数一個につき千円(同一の申請書により二十個を超える不動産について登記の抹消を受ける場合には、申請件数一件につき二万円)
    登録免許税法 別表第一 一(五)(十五)(2026年9月12日確認)。「千分の四」は、同じ割合を百分率で書けば0.4%にあたります(この百分率表記は原文にはなく、当サイトによる書き換えです)。

    ここで押さえておきたいのは、課税標準が不動産の価格ではなく「債権金額」だという点です。根抵当権であれば極度金額が課税標準になります。つまり、担保に入れる不動産の評価額ではなく、設定する枠の大きさで税額が動きます。

    複数の不動産を同じ債権の担保にする場合

    登録免許税法第13条第1項は、一の登記官署等において同時の申請により同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする抵当権の設定登記等を受ける場合には、これらを一の抵当権等の設定登記等とみなしてこの法律の規定を適用する、と定めています。

    さらに同条第2項は、同一の債権のための設定登記等でその申請が最初の申請以外のものであるときは、財務省令で定める書類を添付して申請するものに限り、課税標準及び税率は不動産等に関する権利の件数一件につき千五百円とする、としています。

    住宅取得資金の場合の軽減(措法75)

    国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」の「(3)住宅用家屋の軽減税率」には、住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記(措法75)の行があり、軽減税率は1,000分の1と記載されています。対象は「個人が、令和9年3月31日までの間に住宅用家屋の新築(増築を含む。)または住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築または取得をするための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記」です(原文)。

    備考には「登記申請に当たって、その家屋の所在する市町村等の証明書を添付する必要があります。なお、登記した後で証明書を提出しても軽減税率の適用を受けられませんので注意してください」とあり、表の(注)には「床面積が50平方メートル以上であることや、新築または取得後1年以内の登記であること等一定の要件を満たす必要があります」と書かれています(いずれも原文・2026年9月12日確認)。

    なお、No.7191の「不動産の登記(主なもの)」の表に掲載されているのは、土地の所有権の移転登記、建物の登記、住宅用家屋の軽減税率、配偶者居住権の設定登記です。住宅用家屋以外の一般の抵当権設定登記の税率は、同ページには載っていません。この記事の「千分の四」は、上に引いた登録免許税法 別表第一を根拠としています。

    e-Gov法令検索「登録免許税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035/国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm(いずれも2026年9月12日確認。同ページは「[令和8年4月1日現在法令等]」と表示されています)

    3. 金銭消費貸借契約書の印紙税は「第1号文書」

    借入れの契約書に貼る収入印紙の額は、国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」で確認できます。第1号文書の欄には、[消費貸借に関する契約書] 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書などと明記されています(原文・2026年9月12日確認)。

    記載された契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
    1万円未満(※)非課税
    1万円以上10万円以下200円
    10万円を超え50万円以下400円
    50万円を超え100万円以下1千円
    100万円を超え500万円以下2千円
    500万円を超え1千万円以下1万円
    1千万円を超え5千万円以下2万円
    5千万円を超え1億円以下6万円
    1億円を超え5億円以下10万円
    5億円を超え10億円以下20万円
    10億円を超え50億円以下40万円
    50億円を超えるもの60万円
    契約金額の記載のないもの200円
    国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」第1号文書(2026年9月12日確認)。※印は原文の注記「第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。」

    同ページの(注)では、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される「不動産の譲渡に関する契約書」のうち契約金額が一定額を超えるものについて税率が軽減されている、として国税庁コード7108が案内されています。軽減の対象として名前が挙がっているのは不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負に関する契約書で、消費貸借に関する契約書は挙げられていません。

    契約書に金額が書かれていないとき

    国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」は、文書の内容判断は「その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行います」としています。また「文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号等により、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし」とも書かれています(原文)。上の表の「契約金額の記載のないもの 200円」は、その判断を経てなお金額が出てこない場合の扱いです。

    印紙を貼らなかったとき・消印しなかったとき

    国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」は、次のとおり記載しています(原文・2026年9月12日確認)。

    • 課税文書の作成の時までに納付しなかった場合は、納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収される。
    • ただし、所轄税務署長に印紙税不納付事実申出書を提出し、その申出が調査があったことにより過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、1.1倍に軽減される。
    • 貼り付けた印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収される。
    • 過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されない。

    なお、契約を電子的に締結した場合の印紙税の取扱いについては、今回確認した国税庁の4ページ(No.7191/No.7140/No.7131/No.7100)のいずれにも記載がありませんでした(記載なし)。

    国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm/同「No.7131 印紙税を納めなかったとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm/同「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm(いずれも2026年9月12日確認)

    4. 登記事項証明書の手数料と、司法書士報酬の調べ方

    担保に入れる不動産の登記の内容を確かめるには、登記事項証明書を取ります。手数料は登記手数料令で決まっています(原文・2026年9月12日確認)。

    請求の方法手数料根拠
    登記事項証明書(登記簿の謄本・抄本を含む)の交付一通につき六百円(一通の枚数が五十枚を超えるものは、六百円にその超える枚数五十枚までごとに百円を加算)登記手数料令 第2条第1項
    登記事項要約書の交付一登記記録につき五百円登記手数料令 第2条第2項
    電子情報処理組織(オンライン)を使用して行う交付請求一通につき四百九十円(送付を求める場合は五百二十円)登記手数料令 第3条第1項
    登記手数料令(昭和二十四年政令第百四十号)第2条・第3条(2026年9月12日確認)。

    登記の申請を司法書士に依頼する場合の報酬額については、司法書士法施行規則第22条(報酬の基準を明示する義務)が次のとおり定めています(原文)。

    司法書士は、法第三条第一項各号に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない。

    つまり、金額そのものは各事務所が定めるものですが、受任前に基準を示す義務が規則に書かれています。全国一律の報酬額を定めた一次情報は、今回の実査では見つかりませんでした(記載なし)。

    e-Gov法令検索「登記手数料令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000140/同「司法書士法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/353M50000010055(いずれも2026年9月12日確認)

    5. 事務手数料は「利息」になるのか=利息制限法第3条と第6条

    ここがこの記事の本題です。利息制限法第3条(みなし利息)は、次のとおり定めています(原文)。

    前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。

    本文で「手数料」「調査料」が名指しされている一方、ただし書で「契約の締結及び債務の弁済の費用」が除かれています。では、事務手数料は「契約の締結の費用」だから除かれるのか——ここに、営業として貸す相手向けの特則が置かれています。

    利息制限法第6条(みなし利息の特則)第2項は、営業的金銭消費貸借(第5条第1号により「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」)においては、次に掲げる契約の締結及び債務の弁済の費用に限り、第3条ただし書の規定の適用があるとしています(原文)。

    号第3条ただし書が適用される費用(原文)この記事で扱った例
    一公租公課の支払に充てられるべきもの抵当権設定登記の登録免許税、契約書の印紙税
    二強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの登記所に支払う手数料など
    三債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。)返済に使うATMの利用料
    利息制限法 第6条第2項第1号〜第3号(2026年9月12日確認)。右列は本記事で扱った費目を当てはめたもので、条文そのものの例示ではありません。

    条文は「…に限り」と書いています。営業的金銭消費貸借では、第3条ただし書で利息から外れるのはこの3つの範囲であって、それ以外に債権者が受け取る元本以外の金銭は、名目が事務手数料でも調査料でも第3条本文に戻って「利息とみなす」という組み立てです。

    もう一つ、第6条第1項は逆向きの定めです。カードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものについては、第3条本文を適用しない(=利息とみなさない)としています。

    そして、みなし利息を含めた利息が超えてはならない上限は、第1条です。元本の額が十万円未満の場合は年二割、十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、百万円以上の場合は年一割五分。超えた部分はその超過部分について無効とされます(詳しくは上限金利の記事)。

    e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)

    6. 貸金業者から借りる場合=貸金業法にも同じ線引きがある

    不動産担保ローンを貸金業者から借りる場合、貸金業法にも同じ構造の規定があります。第12条の8(利息、保証料等に係る制限等)第1項は「貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。…)が利息制限法…第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない」と定め、第2項で「みなし利息」を次のように定義しています(原文)。

    前項に規定する「みなし利息」とは、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもつてするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭(契約の締結及び債務の弁済の費用であつて、次に掲げるものを除く。)のうち、金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるものを除いたものをいう。
    一 公租公課の支払に充てられるべきもの
    二 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの
    三 債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。)

    同条第4項は「貸金業者は、利息制限法第一条に規定する金額を超える利息を受領し、又はその支払を要求してはならない」としています。

    そして第14条第1項第1号は、掲示すべき「貸付けの利率」を「利息及び第十二条の八第二項に規定するみなし利息の総額(…)を内閣府令で定める方法によつて算出した元本の額で除して得た年率(当該年率に小数点以下三位未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)を百分率で表示するもの」と定義しています。手数料の扱いが年率の表示に跳ね返る、という構造です(→実質年率の読み方)。

    書面での確認も条文にあります。第16条の2第1項は契約締結前に交付する書面の記載事項として、第1号から順に「貸金業者の商号、名称又は氏名及び住所」「貸付けの金額」「貸付けの利率」「返済の方式」「返済期間及び返済回数」「賠償額の予定(違約金を含む。以下同じ。)に関する定めがあるときは、その内容」を挙げ、第17条第1項も契約締結時の書面に「契約年月日」「貸付けの金額」「貸付けの利率」などを記載するよう定めています(→貸付契約の書面)。

    借入れの前に、その貸し手が登録貸金業者かどうかを確かめる手順は貸金業者の登録を確認する手順と登録番号チェッカーに、不動産担保ローンと総量規制の関係は不動産担保ローンと総量規制(制度の全体像は総量規制とは)にまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月12日確認)

    7. 契約前に見ておく順番

    ここまでの条文を、手元で確かめられる順に並べ替えると次のようになります。

    1. 設定する枠の大きさを見る。登録免許税の課税標準は債権金額(根抵当権なら極度金額)です。枠を大きく設定すれば、その分だけ登録免許税が動きます。
    2. 契約書の契約金額と印紙税額を突き合わせる。第1号文書の税額表(上記3)で、契約金額の区分と貼る印紙の額が一致しているか見ます。
    3. 見積書の各行を「誰に払うか」で仕分ける。国・登記所に行くお金か、貸し手・事務所に行くお金か。後者は利息制限法第3条本文の射程に入ります。
    4. 年率の表示に手数料が含まれているか確かめる。貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」は、利息とみなし利息の総額から算出した年率です。返済総額の見え方は返済シミュレーターで確認できます。
    5. 司法書士に依頼するなら、受任前に報酬の基準を見せてもらう。司法書士法施行規則第22条が、あらかじめ示すよう定めています。

    逆に、この記事で確かめられなかったことも書いておきます。事務手数料・融資手数料の相場、不動産の鑑定・担保評価にかかる費用、火災保険料の水準については、公表されている一次情報に記載がありません(記載なし)。個別の見積もりで確認する項目です。

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    よくある質問

    抵当権設定登記の登録免許税は、不動産の評価額で決まるのですか?

    登録免許税法 別表第一 一(五)は、抵当権の設定の登記の課税標準を「債権金額、極度金額又は不動産工事費用の予算金額」、税率を「千分の四」と定めています(2026年9月12日確認)。所有権の移転登記のように「不動産の価額」を課税標準とする区分とは別の行です。

    複数の不動産をまとめて担保に入れると、その分だけ税額が増えますか?

    登録免許税法第13条第1項は、同一の登記官署等において同時の申請により同一の債権のために数個の不動産等に関する権利を目的とする抵当権の設定登記等を受ける場合、これらを一の抵当権等の設定登記等とみなしてこの法律の規定を適用するとしています。また同条第2項は、最初の申請以外の申請について、財務省令で定める書類を添付するものに限り件数一件につき千五百円とする旨を定めています(2026年9月12日確認)。

    契約書に収入印紙を貼り忘れると、どうなりますか?

    国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」は、課税文書の作成の時までに納付しなかった場合、当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されると記載しています。所轄税務署長に印紙税不納付事実申出書を提出し、調査があったことにより過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは1.1倍に軽減されます。また、貼り付けた印紙を消印しなかった場合は、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されるとされています(2026年9月12日確認)。

    事務手数料は金利とは別物として考えていいのですか?

    利息制限法第3条本文は、債権者の受ける元本以外の金銭を「礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす」と定めています。同法第6条第2項は、営業的金銭消費貸借では第3条ただし書(契約の締結及び債務の弁済の費用)が適用されるのは①公租公課②公の機関に支払うもの③政令で定める額の範囲内のATM等の利用料に限るとしています。貸金業者については貸金業法第12条の8第2項が同じ構造で「みなし利息」を定義しています(いずれも2026年9月12日確認)。

    この記事に書かれた税額は、これからも同じですか?

    国税庁の税額表は「[令和8年4月1日現在法令等]」と表示されたページの内容です(2026年9月12日確認)。税額や軽減措置の適用期限は税制改正で変わることがありますので、契約の時点で国税庁のページと条文を見直してください。この記事の出典URLは各節末に記載しています。


    e-Gov法令検索「利息制限法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/「登録免許税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035/「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「登記手数料令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000140/「司法書士法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/353M50000010055/国税庁「No.7191」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm・「No.7140」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm・「No.7131」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm・「No.7100」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・国税庁)のみを根拠に作成しています。条文・税額は2026年9月12日時点の記載に基づくもので、税制改正等により変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上・税務上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の取扱いは、契約前に貸し手の交付する書面と、国税庁・法務局・司法書士等にご確認ください。

  • カードローンの極度額と利用限度額の違い|条文にある言葉は「極度額」だけ——貸金業法2条7項・13条の3を原文で確認

    カードローンの極度額と利用限度額の違い|条文にある言葉は「極度額」だけ——貸金業法2条7項・13条の3を原文で確認

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    カードローンの説明を読んでいると、「極度額」と「利用限度額」という2つの言葉が出てきます。同じものなのか、違うものなのか。申込前に調べても、はっきりしないまま契約書に進むことになりがちです。

    先に結論:貸金業法とその施行規則の条文に出てくるのは「極度額」だけでした。「利用限度額」という語は、法令の全文を検索して0件です。そして法律は、その「極度額」と、貸金業者が別に提示する「極度額を下回る額」を、契約書面の記載事項として書き分けています。

    この記事は、e-Gov法令検索が配信する貸金業法・貸金業法施行規則の法令データと、金融庁が公表している「貸金業法Q&A」だけを根拠に、条文がどの言葉をどう使っているかを確認した記録です。各社の商品説明で「利用限度額」が何を指すかは各社が定めるものなので、当サイトでは「極度額と利用限度額は同じ意味です」とは断定しません。枠が増える・減る条件も、条文には書かれていないため扱いません。

    1. 条文にある言葉は「極度額」——「利用限度額」「途上与信」は0件

    貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第2条第7項は、カードローンの土台になる契約を次のように定義しています(原文・2026年9月5日確認)。

    「この法律において『極度方式基本契約』とは、貸付けに係る契約のうち、資金需要者である顧客によりあらかじめ定められた条件に従つた返済が行われることを条件として、当該顧客の請求に応じ、極度額の限度内において貸付けを行うことを約するものをいう。」

    続く第8項は「『極度方式貸付け』とは、極度方式基本契約に基づく貸付けをいう」と定めています。つまり法律の組み立ては、枠を決める契約(極度方式基本契約)とその枠から実際に引き出す貸付け(極度方式貸付け)の2階建てです。

    では「利用限度額」はどこに出てくるのか。e-Gov法令検索が配信する法令データの全文を機械的に数えると、結果は次のとおりでした(2026年9月5日確認)。

    語貸金業法(本則)貸金業法施行規則(本則)
    極度額20回27回
    極度方式基本契約53回154回
    利用限度額0回0回
    限度額0回0回
    途上与信0回0回
    与信0回0回
    e-Gov法令検索の法令データ(貸金業法 lawId=358AC1000000032/貸金業法施行規則 lawId=358M50000040040)の本文テキストを連結して文字列カウントした結果。「本則」は附則を除いた部分。附則を含む全文でも、利用限度額・限度額・途上与信・与信はいずれも0回でした(2026年9月5日確認)。

    よく使われる「途上与信」も、条文の言葉ではありません。後述する第13条の3が定めているのは「調査」という語で、業界や解説で使われる呼び名が条文に載っているわけではない、というだけのことです。

    ここから言えるのは、次の1点に限られます。法律用語は「極度額」であり、「利用限度額」は法令に定義のない表記である。各社サイトの「利用限度額」が極度額と同じ額を指すのか、後述する「極度額を下回る額」を指すのかは、その会社の表記によります。契約前書面と契約書面に何と書かれているかが、確認できる唯一の一次情報です。

    e-Gov法令検索「貸金業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月5日確認)

    2. 法律は「極度額」と「それを下回る額」を書き分けている

    ここが、この記事でいちばん実務的な部分です。貸金業法第16条の2第2項は、極度方式基本契約を結ぶ前に交付される書面の記載事項を並べていますが、その第2号は次のようになっています(原文・2026年9月5日確認)。

    「二 極度額(貸金業者が極度方式基本契約の相手方となろうとする者に対し貸付けの元本の残高の上限として極度額を下回る額を提示する場合にあつては、当該下回る額及び極度額)」

    第17条第2項第3号も、契約を結んだときに交付される書面について、ほぼ同じ書きぶりです(「当該下回る額及び極度額」)。

    つまり法律は、1つの契約に「極度額」と「貸金業者が提示した、それを下回る額」という2つの数字が併存しうることを前提にしています。しかも「下回る額」だけでなく「及び極度額」=両方を書面に書け、と定めています。手元の書面に金額が2つ並んでいたとしても、それは誤記ではなく条文どおりの記載です。

    条文いつの書面か金額の記載事項
    貸金業法 第16条の2第2項第2号極度方式基本契約を締結するまで極度額(下回る額を提示する場合は、当該下回る額及び極度額)
    貸金業法 第17条第2項第3号極度方式基本契約を締結したとき(遅滞なく)極度額(下回る額を提示する場合は、当該下回る額及び極度額)
    いずれの条文も、ほかに貸金業者の商号・名称・住所、貸付けの利率、返済の方式、賠償額の予定の定めがあるときはその内容などを記載事項として挙げています(2026年9月5日確認)。書面の記載事項の全体像は別記事にまとめています。

    2回もらえる書面のチェックリストは貸付契約の書面は「契約前」と「契約時」の2回もらえるに、利率の表示の読み方は実質年率とはに整理しています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第16条の2・第17条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月5日確認)

    3. 申込みのとき:50万円・100万円で収入証明の提出義務が生じる

    枠の数字が効いてくる最初の場面が、申込時の調査です。貸金業法第13条第1項は「貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない」と定め、第2項は個人が相手方の場合に「指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない」としています。

    そのうえで第3項は、次のいずれかに当たるとき、源泉徴収票などの資力を明らかにする書面等の提出または提供を受けなければならないと定めています(原文・2026年9月5日確認)。

    • 第1号:当該貸金業者合算額が五十万円を超える場合。ここで合算される「貸付けの金額」は、極度方式基本契約にあつては極度額(貸金業者が元本残高の上限として極度額を下回る額を提示する場合は、当該下回る額)と明記されています。
    • 第2号:他社分を含む個人顧客合算額が百万円を超える場合(第1号に当たる場合を除く)。他社分は「指定信用情報機関から提供を受けた信用情報により判明した」残高の合計額です。

    注目したいのは第1号の書きぶりです。判定に使われるのは実際に借りた残高ではなく、枠そのもの(極度額、または提示された下回る額)です。1円も引き出していなくても、枠を設定した時点で50万円の線を越えることがある、という構造になっています。

    金融庁も「貸金業法Q&A」で同じ内容を、利用者向けの言葉で説明しています(原文・2026年9月5日確認)。

    「規制上は、個人がお金を借りる場合(リボルビング契約の借入枠を設定する場合も含む)、(1) ある貸金業者から50万円を超えて借りるとき (2) 他の貸金業者から借りている分も合わせて100万円を超えて借りるとき のどちらかに当てはまれば、『年収を証明する書類』の提出が必要となります。それ以外の借入れであれば、自己申告に基づき年収を確認することとなります。」

    ここでも、条文が「極度額」と呼ぶものを、金融庁のQ&Aは「借入枠」と呼んでいます。同じ対象を指す言葉が、法令・監督官庁の解説・各社の商品説明で三者三様になっている——それが「極度額と利用限度額はどう違うのか」という疑問の正体です。

    なお同Q&Aは「年収を証明する書類」として、源泉徴収票・支払調書・給与の支払明細書・確定申告書・青色申告決算書・収支内訳書・納税通知書・納税証明書・所得証明書・年金証書・年金通知書の11種類を挙げています(2026年9月5日確認)。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/金融庁「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月5日確認)

    4. 「年収の3分の1」=基準額と、枠の扱い

    貸金業法第13条の2第2項は、締結してはならない「個人過剰貸付契約」を定義するなかで、基準額を「その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額」と定めています(原文・2026年9月5日確認)。これがいわゆる総量規制です。

    同項でひとつ見落とされやすいのが、個人過剰貸付契約の定義から「極度方式貸付けに係る契約を除く」と書かれている点です。枠から1回引き出すたびに個別に判定するのではなく、枠のほうを別の条文(第13条の3)で見る建て付けになっています。その第13条の3は、この記事の5章で扱います。

    金融庁のQ&Aは、この規制の効果を具体的な数字で説明しています(原文・2026年9月5日確認)。

    • 「貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新たな借入れはできなくなる…例えば、年収300万円の方は、貸金業者から100万円までしか借りることができない」
    • 「複数の貸金業者から借りている場合、全ての貸金業者からの借入れの合計が、年収の3分の1以内であることが必要です。…例えば、年収300万円の方が、貸金業者Aに80万円の借入れがある場合、貸金業者Bからは、20万円(300万円×1/3-80万円=20万円)までしか借りることができません」
    • 「貸金業者からの借入残高のデータは、厳格な情報管理のもと、『指定信用情報機関』に集められることとなっています」

    総量規制そのものの条文は総量規制とは、対象から外れる貸付けは総量規制の対象外となる借入れ、個人事業主の扱いは個人事業主の借入れと総量規制、記録される情報の枠組みは指定信用情報機関とはにまとめています。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/金融庁「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月5日確認)

    5. 利用中に枠が調べ直される仕組み——第13条の3と施行規則10条の24・10条の25

    契約したあとも、枠は放置されません。貸金業法第13条の3は、2種類の調査を貸金業者に義務づけています(原文・2026年9月5日確認)。

    第1項は、極度方式貸付けの「時期、金額その他の状況を勘案して内閣府令で定める要件に該当するとき」に、指定信用情報機関の保有する信用情報を使用して、その契約が「基準額超過極度方式基本契約」に当たるかどうかを調査しなければならない、と定めます。第2項は、それとは別に「内閣府令で定める期間ごとに」同じ調査をしなければならない、と定めています(ただし残高が少額である場合その他の内閣府令で定める場合を除く)。

    「内閣府令で定める要件」「内閣府令で定める期間」の中身は、貸金業法施行規則にあります。数字はすべて原文どおりです(2026年9月5日確認)。

    根拠条文内容(原文の数値)
    施行規則 第10条の24第1項第1号契約期間を一月ごとの期間に区切り、その期間内の極度方式貸付けの金額の合計額が五万円を超え、かつ、その期間の末日の極度方式貸付けの残高の合計額が十万円を超えること(他の極度方式基本契約に基づく金額・残高を含む)
    施行規則 第10条の24第1項第2号第10条の25第3項第3号などの措置を解除しようとする場合であること
    施行規則 第10条の24第2項上記の基準を満たした場合、その期間の末日から三週間を経過する日までに、指定信用情報機関に個人信用情報の提供の依頼をしなければならない
    施行規則 第10条の25第1項法第13条の3第2項の「内閣府令で定める期間」は三月以内とする
    施行規則 第10条の25第2項その期間の末日から三週間を経過する日までに、指定信用情報機関に個人信用情報の提供の依頼をしなければならない
    施行規則 第10条の25第3項定期調査が不要となる場合=①期間の末日の残高の合計額が十万円以下 ②第10条の28第4項第2号等の措置が講じられている ③元本または利息の支払の遅延その他の合理的な理由により新たな極度方式貸付けの停止措置が講じられている ④一定の類型の契約である場合
    貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第10条の24・第10条の25(2026年9月5日確認)。第10条の24第1項は「次に掲げる基準のいずれかを満たすこと」と定めており、2つの基準は並列です。

    調査の対象となる「基準額超過極度方式基本契約」の中身は、第13条の3第5項が定義しています。合算されるのは次の3つです。

    1. 当該極度方式基本契約の極度額(貸金業者が元本残高の上限として極度額を下回る額を提示している場合は、当該下回る額)
    2. 同じ貸金業者との他の貸付けに係る契約の残高(極度方式基本契約は極度額または下回る額)の合計額(住宅資金貸付契約等を除く)
    3. 指定信用情報機関から提供を受けた信用情報で判明した、他の貸金業者の貸付けの残高の合計額(住宅資金貸付契約等を除く)

    ここでも第1号は残高ではなく枠です。第3項は、この極度方式個人顧客合算額が百万円を超えるときは、調査に際して源泉徴収票などの提出・提供を受けなければならない(すでに受けている場合を除く)と定め、第4項は調査に関する記録を作成し、保存しなければならないと定めています。

    ここで条文は終わります。第13条の3が課しているのは「調べる義務」と「記録を残す義務」までで、その結果として枠をいくらに変えるか、どんな場合に増やすかという判断基準は、貸金業法にも施行規則にも記載なしです。増減は各社の審査によるものであり、当サイトでは条件を推測しません。

    利用者側から見える形での説明として、金融庁のQ&Aには次の記載があります(原文・2026年9月5日確認)。質問は「現在、借入枠は設定されていますが、借入残高はありません。『年収を証明する書類』を提出する必要がありますか?」で、回答はこうです。

    「『年収を証明する書類』を提出しない場合、個々の貸金業者の判断で、借入枠(キャッシング枠)が減額される場合があります。」

    e-Gov法令検索「貸金業法」第13条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第10条の24・第10条の25 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月5日確認)

    6. 銀行のカードローンは、この枠組みの外にある

    ここまでの条文は、すべて貸金業法のものです。金融庁のQ&Aは、貸金業者の範囲と銀行の扱いを次のように説明しています(原文・2026年9月5日確認)。

    • 「お金を貸す業務を行っており、財務局又は都道府県に登録をしている業者のことを、『貸金業者』といいます。具体的には、消費者金融、クレジットカード会社などが貸金業者です…銀行や、信用金庫、信用組合、労働金庫なども、様々な融資を行っていますが、これらは『貸金業者』ではありません。」
    • 「総量規制は、貸金業者からの借入れを対象としており、銀行の貸付けは貸金業法の規制(総量規制)の対象外です。…また、銀行のカードローンも、一般の銀行等の借入れ同様、総量規制の対象とはなりません。」
    • クレジットカードについては、「クレジットカードで現金を借りる場合(キャッシング)」は「貸金業法」が適用され、「クレジットカードで商品やサービスを購入する場合(ショッピング)」には適用されない(リボ払い・分割払い・ボーナス払いには別途「割賦販売法」が適用される)。

    したがって、同じ「カードローン」という商品名でも、貸し手が貸金業者なのか銀行なのかで、適用される法律そのものが変わります。第13条の3の調査義務も、貸金業者に課されたものです。適用法令の違いは銀行カードローンと貸金業者の違いにまとめています。

    なお貸金業法は、平成18年12月に改正法が成立し、総量規制などを含むすべての規定が平成22年6月18日に施行されました(金融庁の記載・2026年9月5日確認)。

    金融庁「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html/同「多重債務者対策・貸金業法等について」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

    7. 申し込む前・利用中に、自分の側で確認できること

    枠の増減は各社の審査によりますが、条文と公的な仕組みに沿って、利用者側で確認・実行できることははっきりしています。

    確認すること根拠・方法
    相手が登録を受けた貸金業者か金融庁のQ&Aは、貸金業者を「財務局又は都道府県に登録をしている業者」と説明しています。手順は貸金業者の登録を確認する手順、番号の形は登録番号チェッカーで確認できます
    書面に金額がいくつ書かれているか貸金業法第16条の2第2項第2号・第17条第2項第3号は「当該下回る額及び極度額」の記載を定めています(→貸付契約の書面)
    毎月いくら返すことになるか金融庁は計画的な借入れの注意点として「本当に借入れが必要か。(必要としない借入れは行わない。)」「無理なく確実な返済が可能か。(借入れ前に毎月の返済額等を計算してみる。)」を挙げています。計算は返済シミュレーター、数式の意味は返済シミュレーションの読み方
    新たな借入れを自分で止めたい金融庁は「日本貸金業協会または全国銀行個人信用情報センターのどちらかへ申告することで、浪費やギャンブル等のための資金を新たに借り入れられないようにすることができる『貸付自粛制度』があります」と案内しています
    返済が苦しくなってきた公的な相談先を電話番号つきで借入の相談窓口一覧に整理しています。登録のない業者の見分け方は無登録業者(ヤミ金)の見分け方
    金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」および「貸金業法Q&A」の記載に基づく(2026年9月5日確認)。

    金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html(2026年9月5日確認)

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    よくある質問

    極度額と利用限度額は同じ意味ですか?

    貸金業法および貸金業法施行規則の条文に出てくるのは「極度額」で、「利用限度額」という語は本則・附則を通じて0回でした(2026年9月5日確認)。各社サイトの「利用限度額」が何を指すかは各社が定める表記であるため、当サイトでは同じ意味だと断定しません。ただし法律は、契約前の書面(第16条の2第2項第2号)と契約時の書面(第17条第2項第3号)で「極度額」と「貸金業者が提示した、極度額を下回る額」の両方を記載事項としています。手元の書面の表記が、確認できる一次情報です。

    使っていないのに枠が減ることはありますか?

    金融庁「貸金業法Q&A」は、借入枠は設定されているが残高がない場合について「『年収を証明する書類』を提出しない場合、個々の貸金業者の判断で、借入枠(キャッシング枠)が減額される場合があります」と記載しています(2026年9月5日確認)。減額の判断は個々の貸金業者によるものとされており、その基準は条文には定められていません(記載なし)。

    どのくらいの頻度で枠が調べ直されるのですか?

    貸金業法第13条の3第2項の「内閣府令で定める期間」は、貸金業法施行規則第10条の25第1項により三月以内とされています。これとは別に、同規則第10条の24第1項第1号は、一月ごとの期間内の極度方式貸付けの合計額が五万円を超え、かつその期間の末日の残高の合計額が十万円を超えるときを、法第13条の3第1項の調査の要件としています。いずれも期間の末日から三週間を経過する日までに指定信用情報機関へ個人信用情報の提供を依頼することとされています(2026年9月5日確認)。

    枠が増える条件は法律に書いてありますか?

    書かれていません(記載なし)。貸金業法第13条の3が定めているのは、指定信用情報機関の信用情報を使って基準額超過極度方式基本契約に当たるかどうかを調査する義務(第1項・第2項)、極度方式個人顧客合算額が百万円を超えるときに源泉徴収票等の提出・提供を受ける義務(第3項)、そして調査に関する記録を作成・保存する義務(第4項)までです。調査の結果として枠をどう扱うかの基準は、貸金業法にも施行規則にも定めがありません。

    銀行のカードローンにも同じ条文が当てはまりますか?

    当てはまりません。金融庁「貸金業法Q&A」は「銀行のカードローンも、一般の銀行等の借入れ同様、総量規制の対象とはなりません」と記載しています(2026年9月5日確認)。本記事で扱った第13条の3の調査義務も、貸金業法が貸金業者に課しているものです。適用される法律の違いは銀行カードローンと貸金業者の違いにまとめています。


    e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html/金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    最終更新:2026年9月5日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索が配信する貸金業法・貸金業法施行規則の法令データ、金融庁の公表ページ)のみを根拠に作成しています。用語の出現回数は、2026年9月5日にe-Gov法令検索から取得した法令データの本文テキストを機械的に数えた結果です。条文・記載は改正や更新により変わることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、特定の金融商品を推奨するものでもありません。手数料・金利・限度に関する各社の条件は各社サイトの表記によるもので、当サイトは保証しません。

  • 不動産担保ローンと総量規制|除外貸付けの条文(貸金業法施行規則10条の21第6号)と、居宅を除く括弧書き・抵当権(民法369条)・登記事項証明書の確かめ方

    不動産担保ローンと総量規制|除外貸付けの条文(貸金業法施行規則10条の21第6号)と、居宅を除く括弧書き・抵当権(民法369条)・登記事項証明書の確かめ方

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    先に結論:不動産担保ローンが「年収の3分の1」の枠に入るかどうかを決めているのは、広告の文言ではなく貸金業法施行規則第10条の21第1項第6号という1つの号です。そして同号は、括弧書きの中で居宅・居宅の用に供する土地若しくは借地権・生計を維持するために不可欠なものを、同号がいう「不動産」から除いています。

    この記事は、その条文の位置関係を e-Gov 法令検索の原文でたどり、あわせて担保として設定される抵当権(民法第369条)と登記事項証明書(不動産登記法第119条)の確かめ方までを、法令と官庁の公表資料だけで整理した記録です。個別の会社の商品説明・金利・手数料・審査の話は扱いません。総量規制そのものの全体像は総量規制とはにあります。

    1. 総量規制の条文は、どこで「不動産担保」に接続するのか

    出発点は貸金業法第13条の2です(2026年9月5日確認・原文)。

    第一項「貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない。」

    その「個人過剰貸付契約」の定義が第2項に置かれています。

    第二項「前項に規定する『個人過剰貸付契約』とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下『住宅資金貸付契約等』という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、…当該個人顧客に係る個人顧客合算額…が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。…)を超えることとなるもの(…)をいう。」

    ここに2つの委任があります。1つは「三分の一」を掛ける前の収入の中身で、貸金業法施行規則第10条の22が、年間の年金の金額・年間の恩給の金額・年間の定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)の金額・年間の事業所得の金額(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る。)の4つを挙げています。

    もう1つが「その他の内閣府令で定める契約」で、これを受けているのが、見出しに「(個人過剰貸付契約から除かれる契約)」と書かれた貸金業法施行規則第10条の21です。同条第1項の柱書は「法第十三条の二第二項に規定する内閣府令で定める契約は、次に掲げる契約とする。」とだけ書いており、第一号から第八号までが並びます。不動産を担保とする貸付けは、その第六号にあります。

    e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月5日確認)

    2. 第10条の21第1項第6号の原文——3つの条件と、1つの括弧書き

    該当する号の全文です(2026年9月5日確認・原文)。長いので、まず丸ごと引用します。

    「不動産(借地権を含み、個人顧客若しくは担保を提供する者の居宅、居宅の用に供する土地若しくは借地権又は当該個人顧客若しくは担保を提供する者の生計を維持するために不可欠なものを除く。)を担保とする貸付けに係る契約であつて、当該個人顧客の返済能力を超えないと認められるもの(貸付けの金額が当該貸付けに係る契約の締結時における当該不動産の価格(鑑定評価額、公示価格、路線価、固定資産税評価額(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百八十一条第一項又は第二項の規定により土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されている価格をいう。)その他の資料に基づき合理的に算出した額をいう。以下この項及び次項において同じ。)の範囲内であるものに限る。)」

    括弧を外して並べると、この号が要求しているのは次の3つです。

    #条文が求めていること原文の言葉
    ①担保が「不動産」であること(借地権を含む)「不動産(借地権を含み、…を除く。)を担保とする貸付けに係る契約」
    ②その個人顧客の返済能力を超えないと認められること「当該個人顧客の返済能力を超えないと認められるもの」
    ③貸付けの金額が、契約締結時の不動産の価格の範囲内であること「貸付けの金額が…当該不動産の価格…の範囲内であるものに限る」
    貸金業法施行規則第10条の21第1項第6号を要素に分解(2026年9月5日確認)。

    そして①の括弧書きが、同号がいう「不動産」から次の3つを除いています。個人顧客についても、担保を提供する者についても、同じように書かれている点が読みどころです。

    • 居宅
    • 居宅の用に供する土地若しくは借地権
    • 生計を維持するために不可欠なもの

    書き方には注意が要ります。条文は「これらを担保にしてはならない」とは書いていません。書かれているのは、これらを担保とする貸付けに係る契約は第10条の21第1項第6号に掲げる契約に当たらないということだけです。当たらなければ法第13条の2第2項の「内閣府令で定める契約」から外れる——つまり個人過剰貸付契約かどうかの判定(基準額の計算)の対象に戻る、という関係です。借りられる・借りられないという結論を、この号の文言から直接導くことはできません。

    同じ第1項では、第一号が「不動産の建設若しくは購入に必要な資金(借地権の取得に必要な資金を含む。)又は不動産の改良に必要な資金の貸付けに係る契約」、第七号が「売却を予定している個人顧客の不動産(借地権を含む。)の売却代金により弁済される貸付けに係る契約…」です。買うための資金・売却までのつなぎ・持っている不動産を担保にする場合が、それぞれ別の号として書き分けられています。号ごとの一覧は総量規制の対象外となる借入れにあります。

    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」第10条の21 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(2026年9月5日確認)

    3. 「不動産の価格」は何で算出すると条文が書いているか

    第6号の③には、価格の算出資料が名指しで4つ挙げられています。鑑定評価額、公示価格、路線価、固定資産税評価額、そして「その他の資料に基づき合理的に算出した額」です。固定資産税評価額については、条文の中でさらに定義が置かれています——「地方税法…第三百八十一条第一項又は第二項の規定により土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されている価格をいう」。それぞれの出どころは次のとおりです。

    条文の言葉公的な出どころ公表資料に書かれていること
    公示価格国土交通省「地価公示」「地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が…毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するもの」。主な役割として「一般の土地の取引に対して指標を与えること」「不動産鑑定の規準となること」等が挙げられている。個別地点(標準地)の情報は「不動産情報ライブラリ」で閲覧できる。
    路線価国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」2026年9月5日時点の最新は令和8年分。「この財産評価基準は、令和8年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用します」と明記されている。
    固定資産税評価額市町村(地方税法第381条)市町村長は土地課税台帳に、登記されている土地の登記事項・登記名義人の住所氏名とともに「基準年度の価格又は比準価格」を登録しなければならない(第1項)。登記されていない土地は土地補充課税台帳に同様に登録する(第2項)。
    鑑定評価額—第10条の21第1項第6号は「鑑定評価額」という語を挙げるのみで、誰がいつ行うかを同号は定めていない(記載なし)。
    施行規則第10条の21第1項第6号が挙げる資料と、その公的な出どころ(2026年9月5日確認)。

    固定資産税評価額を自分の側で確かめる手段も、地方税法に条文があります。第382条の2(固定資産課税台帳の閲覧)は「納税義務者その他の政令で定める者の求めに応じ」閲覧に供しなければならないと定め、第382条の3(証明書の交付)は「政令で定める者の請求があつたとき」に交付しなければならないと定めています。閲覧も証明書も、請求できる人の範囲が政令で定められている仕組みです。

    国土交通省「地価公示」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html/国土交通省「不動産情報ライブラリ」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp//国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」 https://www.rosenka.nta.go.jp//e-Gov法令検索「地方税法」(昭和二十五年法律第二百二十六号) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226(いずれも2026年9月5日確認)

    4. 第6号に当たっても省かれない手続——保存書類3点と返済能力の調査

    第10条の21には第2項があり、第1項第一号から第七号までの契約を締結した場合に保存しなければならない書面が号ごとに列挙されています。第6号(不動産担保)に対応するのは第2項第五号で、3点が挙げられています。

    記号保存が求められる書面(原文)
    イ当該不動産の価格の算出の根拠を記載した書面
    ロ当該不動産の登記事項証明書
    ハ担保権が実行された場合には、当該不動産が売却される可能性があることについての当該個人顧客又は担保を提供する者の同意書
    貸金業法施行規則第10条の21第2項第五号(2026年9月5日確認)。保存期間は同項柱書が「当該貸付けに係る契約に定められた最終の返済期日…までの間」と定めている。

    ハの同意書は、この号の性質をそのまま言葉にしたものです。担保権が実行されれば不動産が売却される可能性がある——その一文への同意が、契約書とは別に保存対象として条文に書かれています(→貸付契約の書面は「契約前」と「契約時」の2回もらえる)。

    また、第10条の21は法第13条の2(過剰貸付け等の禁止)の委任を受けた条文であって、その手前にある法第13条(返済能力の調査)の義務を外すものではありません。

    • 第1項「貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。」
    • 第2項個人である顧客等との貸付けの契約(極度方式貸付けに係る契約その他の内閣府令で定める貸付けの契約を除く。)では、調査を行うに際し「指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない」。
    • 第3項当該貸金業者合算額が五十万円を超える場合、または個人顧客合算額が百万円を超える場合には、「源泉徴収票…その他の当該個人顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする事項を記載し、又は記録した書面…の提出又は提供を受けなければならない。」
    • 第4項契約を締結した場合は「第一項の規定による調査に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。」

    第2項がいう「その他の内閣府令で定める貸付けの契約」は、施行規則第10条の16が「一 極度方式貸付けに係る契約/二 第一条の二の三第二号から第五号までに掲げる契約」の2つだけを挙げています。後者は手形の割引・金融商品取引業者が保護預りしている有価証券等を担保とする貸付け・貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介であり、不動産を担保とする貸付けはここに挙がっていません。第3項の資力を明らかにする書面等は施行規則第10条の17が列挙しており、源泉徴収票・確定申告書・青色申告決算書・納税証明書・年金証書などが並びます(→指定信用情報機関とは)。

    e-Gov法令検索「貸金業法」第13条・第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「貸金業法施行規則」第10条の16・第10条の17・第10条の21 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月5日確認)

    5. 「除外」と「例外」は、別の条文に置かれている

    不動産担保の話を読み進めると、事業資金の「例外貸付け」の説明と混ざりがちです。条文上は場所がはっきり分かれています。

    条見出し(原文)受けている法の条文
    施行規則第10条の21(個人過剰貸付契約から除かれる契約)法第13条の2第2項の「内閣府令で定める契約」
    施行規則第10条の23(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等)法第13条の2第2項の「内閣府令で定めるもの」(同項末尾の括弧書き)
    2つの条の見出しと委任元(2026年9月5日確認)。

    第10条の23のほうには、事業を営む個人顧客に対する貸付けが第四号として置かれ、事業計画・収支計画・資金計画(貸付けの金額が百万円を超えないときは事業・収支・資金繰りの状況)に照らして返済能力を超えないと認められること等が要件とされています。この号は個人事業主の借入れと総量規制、売掛債権や動産を担保にする場合はABL(売掛債権・動産担保融資)を借りる前に確認することで扱っています。

    e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」第10条の21・第10条の23 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(2026年9月5日確認)

    6. 担保として設定される抵当権は、民法にこう書かれている

    「不動産を担保に入れる」と言うとき、実務で設定されることが多いのが抵当権です。民法第369条が内容を定めています(2026年9月5日確認・原文)。

    第一項「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」
    第二項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。」

    • 占有を移転しない——担保に供しても、その不動産を引き渡すことは条文上の要件になっていない。
    • 債務者又は第三者——担保を提供する者は債務者本人に限られていない。施行規則第10条の21第1項第6号の括弧書きが「個人顧客若しくは担保を提供する者」と両方を書いているのは、この構造に対応している。
    • 他の債権者に先立って——優先弁済を受ける権利である。

    周辺の条文も同じ章にあります。第370条は「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産…に付加して一体となっている物に及ぶ。」と効力の範囲を定め、第373条は「同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。」、第177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法…の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。順位も対抗力も登記に結びついている——施行規則が保存書類として登記事項証明書を挙げているのは、この構造と対応しています。なお、担保を提供する者と保証人は別の制度です(→保証人になる前に確認すること)。

    e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)第369条・第370条・第373条・第177条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月5日確認)

    7. 登記事項証明書には何が載るか、いくらで取れるか

    不動産登記法第119条第1項は「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下『登記事項証明書』という。)の交付を請求することができる。」と定めています。同条第5項は請求を「請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができる」とし、第4項は手数料の納付を「収入印紙をもってしなければならない。ただし、法務省令で定める方法で…請求するときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。」としています。

    載る内容(担保権の部分)

    権利に関する登記の登記事項は第59条が定め、「一 登記の目的/二 申請の受付の年月日及び受付番号/三 登記原因及びその日付/四 登記に係る権利の権利者の氏名又は名称及び住所…」が並びます。担保権はこれに上乗せがあります(以下、原文の抜粋)。

    条登記事項(原文の抜粋)
    第83条第1項一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)/二 債務者の氏名又は名称及び住所/四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利 …
    第83条第2項「登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。」
    第88条第1項一 利息に関する定めがあるときは、その定め/二 民法第三百七十五条第二項に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め …
    第88条第2項根抵当権について 一 担保すべき債権の範囲及び極度額/三 担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、その定め …
    不動産登記法第59条・第83条・第88条(2026年9月5日確認)。第88条第2項は根抵当権の登記事項。

    抵当権と根抵当権では、登記事項として書かれるものが違います。抵当権は債権額(第83条第1項第一号)、根抵当権は担保すべき債権の範囲及び極度額(第88条第2項第一号)です。手元の書面がどちらの型なのかは、この欄の名前で読み分けられます。

    取り方と手数料

    法務局は「登記事項証明書、印鑑証明書等の請求は、インターネットを利用して行うことができます(交付方法は、郵送又は窓口受取であり、電磁的な登記事項証明書等がオンラインで交付されるものではありません。)」と案内し、「土地・建物の登記事項証明書の請求方法としては、オンラインによる請求のほか、請求書を郵送する方法や登記所の窓口に提出する方法もあります」としています(同ページの更新日:2026年2月2日)。手数料は法務省が公表しています。

    区分手数料額
    登記事項証明書(謄抄本) 書面請求600円
     同 オンライン請求・送付520円
     同 オンライン請求・窓口交付490円
    登記事項要約書の交付・登記簿等の閲覧500円
    法務省「登記手数料について」(令和7年4月1日~)より抜粋。2026年9月5日確認。注記として「1通の枚数が50枚を超える場合には、その超える枚数50枚までごとに登記事項証明書及び筆界特定書の写しは100円、登記事項要約書は50円が加算されます」とある。

    e-Gov法令検索「不動産登記法」(平成十六年法律第百二十三号)第59条・第83条・第88条・第119条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123/法務局「各種証明書請求手続」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/category_00002.html/法務省「登記手数料について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

    8. 申込みの前に、公的な窓口だけで確かめられること

    ここまでの条文は、いずれも貸金業者に対する規制です。金融庁は「貸金業法とは、消費者金融などの貸金業者の業務等について定めている法律です」とし、改正貸金業法は「平成18年12月」に成立、「平成22年6月18日に、完全施行されました」と公表しています。銀行が行う融資に適用される法律との違いは銀行カードローンと貸金業者の違いで整理しています。

    相手が登録を受けた貸金業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確かめられます。同ページは「入力欄に検索したい言葉を入力して検索開始ボタンを押してください。一部の項目でも検索は可能です。」と案内し、入力項目は登録番号・所在地・商号・名称・代表者名・電話番号です。手順は貸金業者の登録を確認する手順、番号だけを貼って確かめる道具は登録番号チェッカー、その次に見るものは貸金業者の行政処分歴の調べ方にあります。

    借入額と返済額の関係は、条文ではなく計算の話です。総返済額の出し方は返済シミュレーションの読み方と返済シミュレーター、返済負担の考え方は返済比率・返済負担の考え方、表示金利の中身は実質年率とは、法律上の上限は消費者金融・貸金業者の金利の上限にあります。個々の会社が掲げる金利・手数料・融資までの日数は同社サイトの表記であり、当サイトはその内容を保証しません。

    金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html/金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」 https://clearing.fsa.go.jp/kashikin/(いずれも2026年9月5日確認)

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    よくある質問

    不動産担保ローンは総量規制の対象外ですか?

    「不動産を担保とする貸付けに係る契約」は貸金業法施行規則第10条の21第1項第六号に掲げられており、同条は法第13条の2第2項の「内閣府令で定める契約」を定めた条文です。ただし同号は、返済能力を超えないと認められること、貸付けの金額が契約締結時の不動産の価格の範囲内であることを条件とし、さらに括弧書きで居宅・居宅の用に供する土地若しくは借地権・生計を維持するために不可欠なものを同号の不動産から除いています(2026年9月5日確認)。商品名ではなく、号の要件に当てはまるかどうかで決まる書き方です。

    自宅を担保にする場合はどうなりますか?

    第10条の21第1項第六号の括弧書きは、「個人顧客若しくは担保を提供する者の居宅、居宅の用に供する土地若しくは借地権」を同号の不動産から除いています(2026年9月5日確認)。条文が定めているのはここまでで、「担保にできない」という定めではありません。同号に当たらない場合は、法第13条の2第2項の基準額(年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額を合算した額に三分の一を乗じて得た額)の計算対象に戻る、という関係になります。

    担保にする不動産の価格は、何を基準に決めるのですか?

    第10条の21第1項第六号は「鑑定評価額、公示価格、路線価、固定資産税評価額…その他の資料に基づき合理的に算出した額」と書いています。固定資産税評価額は、条文自身が「地方税法第三百八十一条第一項又は第二項の規定により土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録されている価格」と定義しています。誰がいつ鑑定を行うかについて、同号に定めはありません(記載なし・2026年9月5日確認)。

    担保権の内容を自分で確かめるには何を見ればよいですか?

    登記事項証明書です。不動産登記法第119条第1項は「何人も、登記官に対し、手数料を納付して…交付を請求することができる」と定めており、手数料は書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円と法務省が公表しています(令和7年4月1日~・2026年9月5日確認)。抵当権なら債権額(第83条第1項第一号)と利息に関する定め(第88条第1項第一号)、根抵当権なら担保すべき債権の範囲及び極度額(第88条第2項第一号)が登記事項として並びます。


    出典(主要):e-Gov法令検索「貸金業法施行規則」第10条の21 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/同「貸金業法」第13条・第13条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「民法」第369条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/法務省「登記手数料について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html(いずれも2026年9月5日確認。各節末に節ごとの出典を記載)

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    最終更新:2026年9月5日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・法務省・法務局・国税庁・国土交通省・金融庁)のみを根拠に作成しています。条文は2026年9月5日時点で e-Gov 法令検索に収録されている内容を原文のまま引用し、手数料・公表資料の記載は各公式ページの同日時点のもので、いずれも変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、特定の金融商品を推奨するものでも、個社の審査や条件について述べるものでもありません。

  • ABL(売掛債権・動産担保融資)を借りる前に確認すること|ファクタリングとの法的な違いを条文と金融庁の注意喚起で確かめる

    ABL(売掛債権・動産担保融資)を借りる前に確認すること|ファクタリングとの法的な違いを条文と金融庁の注意喚起で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    不動産の担保がない、代表者の個人保証をこれ以上増やしたくない——そうした事情から、売掛債権や在庫を担保に借りる方法が検討されることがあります。経済産業省が普及促進の対象としているABL(Asset Based Lending=動産・債権担保融資)です。

    ABLで最初に押さえるべきなのは、これが「借りる」取引だという点です。売掛債権を売り渡すファクタリングとは、適用される法律も、返済義務の有無も異なります。この記事では、その違いを条文と公的な注意喚起で確認し、契約前に自分で確かめられる項目を並べます。個別の業者の審査に関する情報は公的データに存在しないため扱いません。

    1. 経済産業省はABLをどう説明しているか

    経済産業省の産業金融政策のページは、ABLについて次のように記載しています(原文・2026年9月2日確認)。

    担保として提供できる不動産がないなどの理由から資金調達手段に悩みを抱える企業が、動産や売掛債権を担保として活用することで機動的かつ円滑に資金調達を行うことができる仕組み(ABL<Asset Based Lending 動産・債権担保融資>)の普及促進に取り組んでいます

    同省が平成20年5月に公表した「ABLガイドライン」は、ABLを「企業が有する在庫や売掛債権、機械設備等の事業収益資産を活用した金融手法」と定義し、「不動産担保や個人保証に過度に依存しない新たな金融手法として、その普及を促すことが重要である」としています(同ガイドライン第1章・2026年9月2日確認)。

    つまりABLは融資(金銭の貸付け)であり、担保として動産や債権を差し入れる形式です。返済義務は借り手に残ります。

    経済産業省「産業金融政策」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/index.html/同「ABLガイドライン」(平成20年5月公表・PDF) https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/abl_guideline_1.pdf(いずれも2026年9月2日確認)

    2. ファクタリングとの違いは「売買か、貸付けか」

    金融庁は「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で、ファクタリングを次のように説明しています(原文・2026年9月2日確認)。

    一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

    債権の売買は、民法の債権譲渡の規定によって行われます。民法第466条第1項は「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない」と定めています(e-Gov法令検索・2026年9月2日確認)。

    一方、貸付けは貸金業法の適用対象です。貸金業法第2条第1項は「貸金業」を次のように定義しています(原文)。

    この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。

    項目ABL(動産・債権担保融資)ファクタリング
    法的な性質金銭の貸付け(担保として動産・債権を差し入れる)債権の売買(債権譲渡)=金融庁の説明
    返済義務あり(借入金の返済)売買として成立する限り、売主に返済義務を負わせるものではない
    上限金利の規制利息制限法・出資法が適用される売買であれば利息の規制は直接には及ばない(下記の注意点あり)
    貸し手の登録貸金業者であれば貸金業法第3条の登録が必要債権の売買であれば貸金業の登録は要しない
    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」・貸金業法第2条第1項・民法第466条をもとに整理(2026年9月2日確認)。個別の契約がどちらに当たるかは契約内容と実態によります。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」 https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html/e-Gov法令検索「貸金業法」第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/同「民法」第466条・第467条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(いずれも2026年9月2日確認)

    3. 「ファクタリング」の名前でも貸金業に当たる場合がある

    金融庁の同じ注意喚起は、名称や契約書の文言だけでは判断されないことを明記しています(原文・2026年9月2日確認)。

    • 「ファクタリングとして行われ、契約書に『債権譲渡契約(売買契約)』であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。」
    • 該当のおそれがある例として、譲渡した債権の回収が売主に委託されており、売主が集金できなかった場合に「売主が債権を買い戻すこととされている」「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」といったものが挙げられています。
    • 「ファクタリングが貸金業に該当するかについては、契約書にノンリコース(売却した売掛債権等が返済不能になっても売却した事業者に返済義務は生じないこと)の規定があるかなどの形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断されるものですので、注意が必要です。」

    同ページは、貸金業に該当しないと判断された裁判例(東京地裁令和2年9月18日判決、東京高裁令和4年6月15日判決)と、貸金業に該当するなどの判断がされた裁判例(大阪地裁平成29年3月3日判決、東京高裁令和3年7月1日判決、名古屋地裁令和3年7月16日判決、札幌高裁令和4年7月7日判決、東京地裁令和4年3月4日判決)を、それぞれ考慮された事情とともに掲載しています。

    また同ページは、貸金業を行うには財務局または都道府県の登録が必要であること(無登録営業は刑事罰の対象)、利息制限法および出資法の上限金利を守る必要があること、年109.5%を超える利息の契約をした場合は消費貸借契約自体が無効であることを併記しています(→上限金利の整理は消費者金融・貸金業者の金利の上限、無登録業者の見分け方は無登録業者(ヤミ金)の見分け方)。

    4. 担保にした債権・動産は「登記」で公示される

    ABLで売掛債権や在庫を担保に出すと、その事実は登記という形で記録されることがあります。根拠は「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」(平成10年法律第104号)です。

    同法第1条は「この法律は、法人がする動産及び債権の譲渡の対抗要件に関し民法の特例等を定めるものとする」と定めています。つまりこの登記制度を使えるのは法人です。主な条文は次のとおりです(原文・2026年9月2日確認)。

    条文定めていること
    第3条第1項法人が動産を譲渡し、動産譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、その動産について民法第178条の引渡しがあったものとみなす
    第4条第1項法人が金銭債権を譲渡し、債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは、その債権の債務者以外の第三者については、民法第467条の確定日付のある証書による通知があったものとみなす(登記の日付が確定日付になる)
    第4条第2項債務者本人に対しては、譲渡人または譲受人が登記事項証明書を交付して通知するか、債務者が承諾したときに対抗できる
    第7条第3項動産譲渡登記の存続期間は10年を超えることができない(特別の事由がある場合を除く)
    第14条債権を目的とする質権の設定についても、第4条等が準用される(質権設定登記)
    動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(e-Gov法令検索・2026年9月2日確認)。

    民法第467条第2項は、債権譲渡の通知・承諾を「確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない」と定めています。特例法の登記は、この確定日付ある通知の代わりになるという仕組みです。登記だけでは債務者(=あなたの売掛先)には対抗できない点も条文どおりです。

    e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000104(2026年9月2日確認)

    5. その登記は「誰でも見られる」——だから借りる前に確認できる

    特例法は、証明書の交付請求について次のように定めています(原文・2026年9月2日確認)。

    • 第11条第1項=「何人も、指定法務局等の登記官に対し、動産譲渡登記ファイル又は債権譲渡登記ファイルに記録されている登記事項の概要を証明した書面(登記事項概要証明書)の交付を請求することができる」
    • 第11条第2項=登記事項証明書(個々の債権の内容まで記載されたもの)は、譲渡人・譲受人・債務者・差押債権者など、条文と政令で定められた者に限って請求できる
    • 第13条第1項=「何人も、本店等所在地法務局等の登記官に対し、登記事項概要ファイルに記録されている事項を証明した書面(概要記録事項証明書)の交付を請求することができる」

    法務省の「(債権譲渡登記等)証明書交付請求の手続」も、証明書を3種類に分け、登記事項概要証明書と概要記録事項証明書は誰でも請求できる、登記事項証明書は当事者・債務者その他の利害関係を有する者のみが請求できると案内しています(2026年9月2日確認)。概要記録事項証明書は商業登記所・不動産登記所で取り扱われ、オンライン請求と書面請求のいずれもできる、とされています。手数料の金額は同ページには記載なしです。

    この仕組みは、借り手にとって次の2つの意味を持ちます。

    1. 自社の登記の有無を、契約前に自分で確認できる(すでに他の貸し手に対して債権譲渡登記が入っていないか)
    2. 登記が入ると、第三者から見える状態になる(誰でも概要記録事項証明書を取得できるため)

    法務省「(債権譲渡登記等)証明書交付請求の手続」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00181.html/同「債権譲渡登記制度の概要」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00172.html(いずれも2026年9月2日確認)

    6. 経産省ガイドラインが「貸し手が借り手に説明すべき」としている項目

    ABLガイドライン第2章は、次の3点を留意点として掲げています(主文の原文・2026年9月2日確認)。

    • 借り手への説明=「貸し手は、ABLを実行する借り手に対して、その融資条件や譲渡担保契約の内容等、ABLに関する十分な事前説明を行う。」
    • 過剰な担保取得の回避=「貸し手は、ABLの実行に際し、債権保全に必要な限度を超えて、過剰な担保取得とならないよう配慮する。」
    • 手数料等に関する留意点=「貸し手は、ABLの実行に際して借り手が負担するコストにつき、みなし利息に該当する可能性があることに留意する。」

    同ガイドラインの「説明」部分は、事前説明に含まれる具体的な内容として、次を挙げています。

    • 融資条件について=担保内容/担保の評価(評価会社採用の有無を含む)/モニタリングの内容/評価・モニタリングにかかる手数料発生の有無と借り手の協力の必要性/一定の融資(変動)枠の設定/一定の条件の下での代表者個人保証の免除等
    • 譲渡担保契約について=動産担保・債権担保の概念/動産・債権譲渡登記をはじめとする対抗要件の手法/個別の契約条項/登記に係る諸費用の負担等

    また同ガイドラインは、動産・債権譲渡担保権について、抵当権のような後順位の担保設定の効力等が明らかとはいえないとしたうえで、既に複数の貸し手と取引がある借り手に対しては「当該ABL案件が他の貸し手からの資金調達に影響を与え得ることを、借り手に説明することも考えられる」と記載しています。この点は、追加の借入れを予定している事業者にとって重要です。

    手数料についての記載は、実質年率の考え方と直結します。ガイドラインは「融資に関連した手数料等が利息の一部とみなされれば、当該手数料等を含めて、利息制限法や出資法の観点で問題となる可能性がある」としています(→実質年率とは、消費者金融・貸金業者の金利の上限)。

    7. 借りる前に確認する項目(まとめ)

    順確かめること当て先(一次情報)
    ①その契約は「貸付け」か「債権の売買」か。契約書の表題ではなく、買戻し義務・売主の支払義務の有無で見る金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」/貸金業法第2条第1項
    ②貸し手が貸金業者なら、登録が実在するか金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」/貸金業法第3条・第11条
    ③手数料を含めた実質的な負担が、利息制限法の上限の内側か利息制限法第1条・第3条/ABLガイドライン第2章3
    ④自社に既に動産譲渡登記・債権譲渡登記が入っていないか特例法第13条(概要記録事項証明書=誰でも請求可)
    ⑤契約前に交付される書面に、担保・手数料・登記費用の負担が書かれているか貸金業法第16条の2・第17条/ABLガイドライン第2章1
    いずれも、契約前に自分で確認できる項目(2026年9月2日確認)。

    貸し手が貸金業者である場合の確認手順は貸金業者の登録を確認する手順、登録番号のカッコ内の数字の読み方は登録番号(1)(2)の意味にまとめています。契約前・契約時に交付される書面の記載事項は貸付契約の書面は「契約前」と「契約時」の2回もらえる、返済額の試算は返済シミュレーター、登録番号の読み解きは登録番号チェッカーが使えます。公的融資と民間ローンの制度上の違いは日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違い、必要書類の公表一覧は事業資金の借入れに必要な書類一覧にあります。

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    よくある質問

    ABLとファクタリングは、どちらが有利ですか?

    有利・不利を比較した公的な資料は、実査した一次情報には記載なしです。確認できるのは法的な性質の違い(ABL=貸付け/ファクタリング=金融庁の説明では債権の売買)と、それぞれに適用される規制の違いまでです。当サイトでは、公的データに存在しない比較や推奨は行いません。

    個人事業主でも動産・債権譲渡登記は使えますか?

    特例法第1条は「この法律は、法人がする動産及び債権の譲渡の対抗要件に関し民法の特例等を定めるものとする」と定めており、第3条・第4条もいずれも「法人が」と規定しています(2026年9月2日確認)。したがって、この登記制度の対象は法人です。法人以外の場合の対抗要件については、民法第467条の通知・承諾の方法によることになります。なお、個人事業主が事業資金を借りる場合の総量規制の扱いは個人事業主の借入れと総量規制にまとめています。

    売掛先に知られずにABLを利用できますか?

    特例法第4条第1項は、債権譲渡登記によって「当該債権の債務者以外の第三者については」確定日付ある通知があったものとみなす、と定めています。債務者本人に対しては、同条第2項により登記事項証明書を交付した通知または債務者の承諾が必要です。つまり条文上は、登記だけでは債務者に対する対抗要件は備わりません。実際の運用で通知を行うかどうかは個別の契約によるため、契約前に交付される書面で確認してください。

    ABLの金利に上限はありますか?

    貸し手が貸金業者である場合、貸付けである以上、利息制限法・出資法の上限が適用されます。ABLガイドラインも、融資に関連した手数料等が利息の一部とみなされれば「当該手数料等を含めて、利息制限法や出資法の観点で問題となる可能性がある」と記載しています(2026年9月2日確認)。具体的な上限の数値は消費者金融・貸金業者の金利の上限、手数料込みで計算される年率表示の読み方は実質年率とはを参照してください。

    この記事で扱っていないことは何ですか?

    個別の業者の審査に関する情報、通過率、業者間の順位づけは扱いません。公的データに存在しないためです。担保物件の評価額の算定方法も、ABLガイドラインは貸し手が適切に評価を行い、必要に応じて外部へ委託すると記載するにとどまり、具体的な算定式の記載なしです。

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    最終更新:2026年9月2日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・経済産業省・金融庁・法務省)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。個別の契約が貸付けと債権の売買のどちらに当たるかは契約内容と実態によって判断されるため、判断に迷う場合は弁護士等の専門家にご相談ください。

  • 返済比率・返済負担の考え方|元利均等の数式と「有利子負債の対キャッシュフロー比率」を自分で計算する

    返済比率・返済負担の考え方|元利均等の数式と「有利子負債の対キャッシュフロー比率」を自分で計算する

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    借入額を「いくら借りられるか」から決めると、返済が始まってから資金繰りが苦しくなります。順番は逆で、返せる額から借入額を決めるほうが安全です。そのために必要なのは、①毎月いくら出ていくかを計算する式と、②その額が事業の稼ぎに対して重いか軽いかを判断する物差しの2つです。

    この記事では、①を数式で、②を公表されている公的な基準で確認します。本文中の計算値は当サイトが数式に基づいて算出した概算であり、実際の返済額は貸し手から交付される書面の数字が正となります。

    1. まず「年間返済額」を出す(元利均等返済の式)

    毎回同じ額を返す元利均等返済では、月々の返済額は次の式で求まります。

    M = P × r × (1+r)n ÷ ((1+r)n − 1)
    M=月々の返済額/P=借入元本/r=月利(年率÷12)/n=返済回数
    元利均等返済の月額算出式。年間返済額は M×12 です。

    この式で計算した例です(当サイトによる算出・円未満四捨五入)。年率は、日本政策金融公庫が公表している基準利率の範囲(令和8年9月1日現在、無担保・税務申告2期完了で年3.80〜5.40%)と、利息制限法第1条の上限(元本100万円以上=年15%)を並べています。

    借入額年率回数月々年間返済額総返済額利息総額
    300万円4.50%60回(5年)約55,929円約671,149円約3,355,743円約355,743円
    300万円4.50%84回(7年)約41,700円約500,406円約3,502,841円約502,841円
    300万円15.00%36回(3年)約103,996円約1,247,952円約3,743,855円約743,855円
    500万円3.80%84回(7年)約67,885円約814,616円約5,702,313円約702,313円
    500万円5.40%60回(5年)約95,275円約1,143,302円約5,716,512円約716,512円
    1,000万円5.40%120回(10年)約108,031円約1,296,377円約12,963,773円約2,963,773円
    上記の式による当サイトの算出値(概算)。端数処理は貸し手ごとの契約によるため、実額は交付書面で確認してください。

    この表で読み取ってほしいのは2点です。期間を延ばすと年間返済額は軽くなるが、利息総額は増える(300万円・4.50%で5年→7年にすると年間返済額は約67万円→約50万円に下がる一方、利息総額は約36万円→約50万円に増える)。そして年率が上がると年間返済額が跳ね上がる(300万円で年4.50%・5年なら年約67万円、年15.00%・3年なら年約125万円)。

    自分の条件で計算するには返済シミュレーターを使ってください。数字の読み方は返済シミュレーションの読み方にまとめています。

    2. その年間返済額は「重い」のか——比率で見る

    年間返済額の金額だけでは重さがわかりません。返済の原資になるのは、利益と減価償却費です。簡易的には次のように置きます。

    簡易キャッシュフロー = 税引後利益 + 減価償却費
    返済比率 = 年間返済額(元金+利息) ÷ 簡易キャッシュフロー
    いずれも数式であり、法令や公的機関が定義した比率ではありません。

    同じ年間返済額でも、稼ぎが違えば重さは変わります。

    簡易キャッシュフロー年間返済 72万円年間返済 120万円年間返済 240万円
    300万円24.0%40.0%80.0%
    500万円14.4%24.0%48.0%
    800万円9.0%15.0%30.0%
    返済比率=年間返済額÷簡易キャッシュフロー(当サイトによる算出)。何%までなら安全かを定めた公的な基準は、実査した一次情報には記載なしです。

    ⚠️「返済比率は◯%以内が目安」といった数字は、実査した一次情報の中には見当たりませんでした。したがって当サイトでは目安値を示しません。代わりに、公表されている公的な物差しを次に挙げます。

    3. 公的に示されている物差し①:有利子負債の対キャッシュフロー比率

    中小企業庁は、中小企業活性化協議会による再生支援について、原則として満たすべき再生計画の数値基準を公表しています。原文は次のとおりです(2026年9月2日確認)。

    中小企業

    • 実質的に債務超過である場合は、再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から5年以内を目処に実質的な債務超過を解消する。
    • 経常利益が赤字である場合は、再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から概ね3年以内を目処に黒字に転換する。
    • 再生計画の終了年度(原則として実質的な債務超過を解消する年度)における有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる。

    小規模な事業者

    • 再生計画成立後2事業年度目(再生計画成立年度を含まない。)から、3事業年度継続して営業キャッシュフローがプラスになること。
    • 相談企業が事業継続を行うことが、相談企業の経営者等の生活の確保において有益なものであること。

    ここでいう「小規模な事業者」とは、中小企業基本法第2条第5項の小規模企業者のほか、「売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満」に該当する事業者を含むと明記されています(2026年9月2日確認)。

    これは再生支援の場面の基準であって、通常の借入れの上限を定めたものではありません。ただし、「有利子負債がキャッシュフローの何倍か」という見方そのものが公的な文書で使われていることは確認できます。借入前に、借入後の有利子負債残高が簡易キャッシュフローの何倍になるかを一度計算しておくと、判断の材料になります。

    中小企業庁「プレ再生支援・再生支援」 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/02.html(2026年9月2日確認。中小企業基本法第2条第5項の条文も同ページに引用されています)

    4. 公的に示されている物差し②:金利の上限と返済期間の上限

    金利の上限(利息制限法・出資法)

    利息制限法第1条は、元本の額に応じた上限を定めており、これを超える部分の利息の契約は無効です(2026年9月2日確認)。

    元本の額上限(年)
    10万円未満年20%
    10万円以上100万円未満年18%
    100万円以上年15%
    利息制限法第1条(e-Gov法令検索・2026年9月2日確認)。詳細は消費者金融・貸金業者の金利の上限。

    この上限は「そこまでなら妥当」という意味ではなく、それを超えたら無効になる線です。返済負担の判断は、上限の内側であっても自分で計算する必要があります。なお、手数料等の名目でも利息とみなされる場合があります(利息制限法第3条・→実質年率とは)。返済が遅れた場合の遅延損害金にも上限があります(→遅延損害金の上限)。

    返済期間の上限(公的融資の公表値)

    返済期間を長くすれば年間返済額は下がりますが、期間そのものにも枠があります。日本政策金融公庫(国民生活事業)の「一般貸付」は、返済期間を運転資金5年以内(特に必要な場合7年以内)<据置1年以内>、設備資金10年以内<据置2年以内>、特定設備資金20年以内<据置2年以内>と公表しています(2026年9月2日確認)。据置期間中は元金の返済を待ってもらえる分、その後の返済額は重くなります。

    e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/日本政策金融公庫「一般貸付」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/jiyusij_m.html/同「金利情報」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/(いずれも2026年9月2日確認)

    5. 借りる前にやる順番

    1. 直近の決算書から簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)を出す。
    2. 既存の借入れの年間返済額を合計する。
    3. 新しい借入れの条件(額・年率・回数)を返済シミュレーターに入れ、年間返済額を出す。
    4. ②+③の合計を①で割る。あわせて、借入後の有利子負債残高 ÷ 簡易キャッシュフローが何倍になるかを見る。
    5. 数字が重いと感じたら、借入額を下げるか、期間を延ばす(利息総額は増える)か、資金使途を絞る。

    公的融資の書式には、この作業をそのまま行うための様式があります。日本政策金融公庫は「資金繰り表」「資金繰り表(簡易版)」「月別収支計画書」「設備投資計画書」を公開しています(2026年9月2日確認)。借入れの相手が公庫でなくても、自社の数字を並べる型として使えます。

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    よくある質問

    返済比率は何%までなら大丈夫ですか?

    返済比率の安全水準を定めた基準は、実査した一次情報には記載なしです。当サイトでは目安値を示しません。公表されている数値基準として確認できるのは、中小企業庁が再生計画について示している「有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下」等の基準です(2026年9月2日確認)。

    簡易キャッシュフローの定義は公的に決まっていますか?

    「税引後利益+減価償却費」という簡易式を定義した規定は、実査した一次情報には記載なしです。中小企業庁のページに出てくる「有利子負債の対キャッシュフロー比率」および「営業キャッシュフロー」の具体的な算出方法も、同ページ本文には記載されていません(詳細は同庁が公表する実施基本要領等を参照)。本記事の簡易式は、返済原資をおおまかに把握するための計算方法として提示しています。

    元金均等返済にすると負担は変わりますか?

    本記事の計算はすべて元利均等返済(毎回の返済額が一定)を前提としています。元金均等返済との比較値は本記事では扱っていません。返済の方式は、貸金業者から借りる場合、貸金業法第16条の2により契約前に交付される書面の記載事項に含まれています(→貸付契約の書面)。

    ボーナス併用払いや端数処理はどうなりますか?

    これらの個別規定は、実査した法令・公的資料では確認できませんでした(記載なし)。実際の返済額・端数処理は契約と交付書面によります。

    返済が苦しくなったらどこに相談できますか?

    公的窓口だけをまとめたページがあります(→借入の相談窓口一覧)。中小企業の事業再生については、中小企業庁が中小企業活性化協議会の窓口を案内しています(2026年9月2日確認)。

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    最終更新:2026年9月2日/本文中の月々返済額・総返済額・利息総額・返済比率は、記載の数式に基づく当サイトの算出値(概算)であり、公的機関が公表した数値ではありません。金利・返済期間・数値基準の出典は、e-Gov法令検索・日本政策金融公庫・中小企業庁の各公式ページ(いずれも2026年9月2日確認)です。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上・財務上の助言ではありません。

  • 日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違い|根拠になる法律・公表金利・限度額・返済期間を条文と公式ページで比べる

    日本政策金融公庫の融資とビジネスローンの違い|根拠になる法律・公表金利・限度額・返済期間を条文と公式ページで比べる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    事業資金を借りるときに並ぶ選択肢のうち、日本政策金融公庫(以下「公庫」)の融資と、貸金業者が提供するビジネスローンは、そもそも根拠になっている法律が違います。金利や限度額の数字を比べる前に、この違いを押さえておくと、どちらに何を期待できるかがはっきりします。

    この記事では、両者の違いを条文と公式ページに書いてあることだけで整理します。個別の業者の審査や通りやすさには触れません。

    1. 根拠になる法律が違う

    公庫=株式会社日本政策金融公庫法

    公庫は、株式会社日本政策金融公庫法に基づく株式会社です。同法第1条(目的)は次のように定めています(e-Gov法令検索・原文・2026年9月2日確認)。

    株式会社日本政策金融公庫…は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能を担うとともに、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融を行うほか…もって国民生活の向上に寄与することを目的とする株式会社とする。

    同法第11条(業務の範囲)は、公庫が行う業務として、別表に掲げる者への資金の貸付け、中小企業信用保険法の規定による保険、利用者への情報提供などを列挙しています(2026年9月2日確認)。「一般の金融機関が行う金融を補完する」という文言が、制度の性格をそのまま示しています。

    ビジネスローン(貸金業者)=貸金業法

    一方、貸金業者が提供する事業者向けローンには貸金業法が適用されます。同法第1条(目的)は次のとおりです(原文・2026年9月2日確認)。

    この法律は、貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに…資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資することを目的とする。

    つまり、公庫法は公的な資金供給の機能を定める法律、貸金業法は民間の貸し手を登録制で規制する法律です。目的の立て方から役割が違います。

    なお貸金業法第2条第1項は、「貸金業」の定義から「一 国又は地方公共団体が行うもの」「二 貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの」等を除外しています(原文・2026年9月2日確認)。公庫がこの第2号に該当する旨を明示した公的な記載は、実査した範囲では確認できませんでした(記載なし)。ただし、公庫が株式会社日本政策金融公庫法という個別の法律に基づいて業務を行っていることは、同法第11条の文言から確認できます。

    e-Gov法令検索「株式会社日本政策金融公庫法」(平成十九年法律第五十七号)第1条・第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000057/e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第1条・第2条・第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(いずれも2026年9月2日確認)

    2. 公庫が公表している条件(国民生活事業・一般貸付)

    公庫の融資条件は、制度ごとに公式サイトで公表されています。小規模事業者・個人事業主向けの「一般貸付」は次のとおりです(2026年9月2日確認)。

    項目公表内容
    ご利用いただける方ほとんどの業種の中小企業(業種や経営内容等によって利用できない場合がある旨を明記)
    融資限度額運転資金 4,800万円/設備資金 4,800万円/特定設備資金 7,200万円
    返済期間運転資金 5年以内(特に必要な場合7年以内)<据置1年以内>/設備資金 10年以内<据置2年以内>/特定設備資金 20年以内<据置2年以内>
    利率(年)基準利率(返済期間または担保の有無によって異なる利率が適用)
    担保・保証人「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます」
    併用できる特例制度経営者保証免除特例制度/創業支援貸付利率特例制度/賃上げ貸付利率特例制度
    日本政策金融公庫「一般貸付」(国民生活事業)の公表内容(2026年9月2日確認)。同ページには「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」と明記されています。

    創業期については別制度があり、「新規開業・スタートアップ支援資金」は融資限度額7,200万円、返済期間は設備資金20年以内(据置5年以内)/運転資金10年以内(据置5年以内)と公表されています(2026年9月2日確認)。

    金利は「基準利率」として実数が公表されている

    公庫の金利情報ページには、区分ごとの年利が数字で掲載されています。令和8年9月1日現在の値は次のとおりです(2026年9月2日確認)。

    区分基準利率(年利%)特別利率A特別利率B特別利率C
    無担保・税務申告を2期終えている方3.80〜5.403.40〜5.003.15〜4.752.90〜4.50
    無担保・税務申告を2期終えていない方3.75〜5.353.35〜4.953.10〜4.702.85〜4.45
    有担保2.80〜5.002.40〜4.602.20〜4.352.15〜4.10
    日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(令和8年9月1日現在の掲載値・2026年9月2日確認)。同ページは「融資制度、お使いみち、ご融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます」と注記しています。

    ここで重要なのは、公庫の場合は制度ごと・区分ごとの利率がサイト上で公表されているという点です。相談する前に、自分で数字を見ることができます。

    日本政策金融公庫「一般貸付」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/jiyusij_m.html/同「新規開業・スタートアップ支援資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html/同「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」 https://www.jfc.go.jp/n/rate/(いずれも2026年9月2日確認)

    3. 貸金業者から借りる場合に法律が保障していること

    貸金業者から借りる場合、条件そのものは各社が定めますが、法律が最低限の枠と手続を定めています。

    条文内容
    貸金業法 第3条貸金業を営むには内閣総理大臣または都道府県知事の登録が必要(第11条=無登録営業の禁止)
    貸金業法 第14条営業所ごとに貸付けの利率・返済の方式・返済期間及び返済回数等を顧客の見やすい場所に掲示し、インターネットでも公衆の閲覧に供する義務
    貸金業法 第16条の2・第17条契約締結前および契約締結時の書面交付義務(→記載事項チェックリスト)
    利息制限法 第1条元本10万円未満=年20%/10万円以上100万円未満=年18%/100万円以上=年15%を超える部分は無効(→上限金利まとめ)
    貸金業法 第42条年109.5%(うるう年109.8%・1日0.3%)を超える利息の契約は、消費貸借契約自体が無効
    貸金業者からの借入れに適用される主な規定(e-Gov法令検索・2026年9月2日確認)。

    第14条は「貸付けの利率」を利息とみなし利息の総額を元本の額で除した年率と定義しています。手数料の名目でも計算に入るという意味です(→実質年率とは)。

    4. 並べて見ると、違うのはこの5点

    比較項目日本政策金融公庫の融資貸金業者のビジネスローン
    根拠法株式会社日本政策金融公庫法(第1条=一般の金融機関を補完)貸金業法(第1条=登録制と規制、資金需要者等の利益の保護)
    利率の公表制度・区分ごとの年利を公式サイトで公表(令和8年9月1日現在の値を掲載)各社が定め、第14条により営業所掲示とインターネット公表の義務
    金利の法的な枠公庫法に上限金利の定めは記載なし(区分別の利率を公表)利息制限法第1条(20/18/15%)・貸金業法第42条
    返済期間制度ごとに上限を公表(例:一般貸付の設備資金10年以内)各社が定める(第14条で掲示・公表の対象)
    手続必要書類を公式PDFで公表・インターネット申込あり契約前書面(第16条の2)と契約時書面(第17条)の交付義務
    2026年9月2日時点で、それぞれの一次情報に書かれていることの比較。

    公庫の融資が使えるかどうか、いくら借りられるかは、公表されている条件と個別の判断によります。公庫のページ自体が「審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます」と明記しています。当サイトでは、公庫・民間を問わず個別の審査に関する情報は扱いません。

    実際にいくら返すことになるかは、金利と期間を入れて計算できます(→返済シミュレーター、読み方は返済シミュレーションの読み方)。

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    よくある質問

    公庫の融資には利息制限法の上限は適用されますか?

    公庫の融資に利息制限法が適用されるかどうかを明示した記載は、実査した一次情報には記載なしです。確認できるのは、公庫が制度・区分ごとの利率を公表しており、令和8年9月1日現在の基準利率が無担保・税務申告2期完了で年3.80〜5.40%と掲載されていることまでです。なお利息制限法第1条は元本10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%を上限としており、公庫の公表利率はこの水準を下回っています。

    公庫と民間、どちらに先に相談すべきですか?

    順番について述べた公的な記載はありません(記載なし)。ただし、公庫は限度額・返済期間・利率・必要書類をすべて公式サイトで公表しているため、相談の前に自分で条件を確認できるという違いはあります。公庫の提出書類は「ご提出書類【インターネット申込用】」(PDF)として公表されています(2026年9月2日確認)。

    公庫の「基準利率」と「特別利率」は何が違いますか?

    公庫の金利情報ページは、利率名称ごとの年利を掲載していますが、区分の定義そのものは同ページには記載されていません(記載なし)。各制度のページ側に、どの要件に該当すると特別利率が適用されるかが記載されています。たとえば「新規開業・スタートアップ支援資金」では、女性の方、35歳未満または55歳以上の方などが特別利率Aの対象として列挙されています(2026年9月2日確認)。

    銀行のカードローンとの違いは?

    適用される法律の違い(銀行法と貸金業法)は銀行カードローンと貸金業者の違いで条文から整理しています。

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    最終更新:2026年9月2日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・日本政策金融公庫)のみを根拠に作成しています。金利・限度額・返済期間は各公式ページの2026年9月2日時点の掲載値で、変更されることがあります。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではなく、また特定の金融商品を推奨するものではありません。