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先に結論:利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者が受ける「元本以外の金銭」を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。つまり「金利とは別の事務手数料」という名目でも、原則として上限金利の計算に取り込まれます。除かれるのは第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」ですが、業者からの借入れ(営業的金銭消費貸借)では、その除外の範囲が同法第6条と政令によって具体的に絞り込まれています。
広告に出ている年率と、契約書の費用欄に並ぶ名目。この2つの関係を決めているのは、貸し手の説明ではなく条文です。この記事は、利息制限法・同法施行令・貸金業法・同法施行令の原文(2026年9月12日にe-Gov法令検索の法令APIでJSON全文を取得して確認)だけを根拠に、どの費用が利息に算入され、どの費用が算入されないのかを整理した記録です。
表示される年率そのものの読み方(貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」)は実質年率とはで扱っています。この記事はその手前、何が利率の分子に入るのかの話です。
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1. 利息制限法第3条:名目を変えても利息として数える
利息制限法第3条(みなし利息)の原文は次のとおりです(2026年9月12日確認・強調は引用者)。
前二条の規定の適用については、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。ただし、契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。
読み方のポイントは3つです。
- 「前二条」=第1条と第2条。第1条は利息の上限(元本の額が十万円未満の場合は年二割、十万円以上百万円未満の場合は年一割八分、百万円以上の場合は年一割五分)を定め、第2条は利息の天引きについて定めています。第3条は、この2つの条文を適用するときの「利息」の数え方のルールです。
- 判断の基準は名目ではなく実質。条文は「その他いかなる名義をもってするかを問わず」と書いています。事務手数料でも調査料でも、債権者が受ける元本以外の金銭であれば同じ扱いになります。
- 除外はただし書の1種類だけ。「契約の締結及び債務の弁済の費用」です。この範囲が争点になるため、営業的金銭消費貸借については第6条が別途細かく定めています(次章)。
なお「営業的金銭消費貸借」という用語は、同法第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義されています(2026年9月12日確認)。貸金業者から借りる場合が、これに当たります。
e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第5条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)
2. 業者からの借入れでは、除外されるのは3つだけ(第6条第2項)
第3条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」は、一般論としては幅のある言葉です。ところが利息制限法第6条第2項は、営業的金銭消費貸借について「次に掲げる契約の締結及び債務の弁済の費用に限り、第三条ただし書の規定の適用があるものとする」と定め、対象を号で限定しています(2026年9月12日確認)。
| 号 | 条文の内容(利息制限法第6条第2項) |
|---|---|
| 第1号 | 公租公課の支払に充てられるべきもの |
| 第2号 | 強制執行の費用、担保権の実行としての競売の手続の費用その他公の機関が行う手続に関してその機関に支払うべきもの |
| 第3号 | 債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料(政令で定める額の範囲内のものに限る。) |
ここが実務で効いてきます。「契約の費用だから金利とは別」という説明があっても、この3つの号に当てはまらなければ第3条ただし書は適用されず、本文に戻って利息とみなされる、というのが条文の構造です。第3号のATM等の利用料には、さらに「政令で定める額の範囲内」という上限が付いています。
e-Gov法令検索「利息制限法」第6条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)
3. 政令が列挙した「利息とみなされない費用」と、ATM利用料の上限
利息制限法第6条第1項は、営業的金銭消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭のうち、「金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料その他の債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの」については第3条本文の規定を適用しないと定めています(2026年9月12日確認)。
その「政令」が利息制限法施行令(平成十九年政令第三百三十号)です。同令第1条(利息とみなされない費用)は、次の3つを列挙しています(いずれも消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含む。2026年9月12日確認)。
| 号 | 利息とみなされない費用(利息制限法施行令第1条) |
|---|---|
| 第1号 | 金銭の貸付け及び弁済に用いるため債務者に交付されたカードの再発行の手数料 |
| 第2号 | 貸金業法の規定により交付された書面の再発行、および書面の交付に代えて電磁的方法により提供された事項の再提供の手数料 |
| 第3号 | 口座振替の方法による弁済において、債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続に要する費用 |
そして同令第2条が、利息制限法第6条第2項第3号にいう機械の利用料の上限額を定めています。
| 区分 | 政令で定める額(消費税額等相当額を含む) |
|---|---|
| 現金自動支払機その他の機械を利用して受け取り、又は支払う額が一万円以下の場合 | 百十円 |
| 同じく一万円を超える場合 | 二百二十円 |
列挙は限定的です。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、そして枠内のATM利用料。それ以外の名目で債権者が受け取る元本以外の金銭は、第3条本文に戻って利息として数えるのが条文の建て付けです。逆にいえば、名目が何であれ、上限との関係を見るときは「利息+それ以外に払う金銭」を合算して考えることになります。金額の実感は返済シミュレーターで総返済額を出すとつかみやすくなります。
e-Gov法令検索「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「利息制限法」第6条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(いずれも2026年9月12日確認)
4. 貸金業者にはもう一本、貸金業法の「みなし利息」がある
相手が貸金業者の場合、利息制限法に加えて貸金業法が重なります。貸金業法第12条の8第1項は「貸金業者は、その利息(みなし利息を含む。)が利息制限法第一条に規定する金額を超える利息の契約を締結してはならない」と定め、同条第4項は超過部分を受領すること、その支払を要求することも禁止しています(2026年9月12日確認)。
その「みなし利息」の定義が同条第2項です。礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、金銭の貸付けに関し債権者の受ける元本以外の金銭から、(a) 契約の締結及び債務の弁済の費用であって同項各号に掲げるもの、(b) 債務者の要請により債権者が行う事務の費用として政令で定めるもの、を除いたもの——という組み立てです。各号は利息制限法第6条第2項と同じ3つ(公租公課/公の機関の手続費用/機械の利用料)です。
(b) の政令は貸金業法施行令(昭和五十八年政令第百八十一号)で、第3条の2の2(利息とみなされない費用)がカードの再発行手数料・書面の再発行および事項の再提供の手数料・再度の口座振替手続に要する費用の3つを列挙し、第3条の2の3が機械の利用料の上限を一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円と定めています(2026年9月12日確認)。利息制限法側と同じ内容です。
| 論点 | 利息制限法(民事上の効力) | 貸金業法(業者に対する規制) |
|---|---|---|
| 原則 | 第3条=名目を問わず元本以外の金銭は利息とみなす | 第12条の8第2項=同趣旨の「みなし利息」を定義 |
| 除外される契約締結・弁済の費用 | 第6条第2項第1号〜第3号 | 第12条の8第2項第1号〜第3号 |
| 事務の費用(政令の列挙) | 利息制限法施行令第1条第1号〜第3号 | 貸金業法施行令第3条の2の2第1号〜第3号 |
| 機械の利用料の上限 | 利息制限法施行令第2条=110円/220円 | 貸金業法施行令第3条の2の3=110円/220円 |
| 超えたときの効果 | 第1条・第3条=超過部分は無効 | 第12条の8第1項・第4項=契約の締結、受領、支払の要求を禁止 |
なお、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)の本則には、この「利息とみなされない費用」を列挙した条はありません(本則を走査して確認・記載なし)。列挙しているのは上記のとおり政令です。施行規則が定めているのは、掲示する利率の算出方法(第11条第1項第1号=別表中の算式一)や表示の細かさ(第11条第4項=年率を百分率で少なくとも小数点以下一位まで表示)といった表示のルールのほうです。
e-Gov法令検索「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日確認)
5. 合算した結果が超えるとどうなるか
金融庁は「貸金業法のキホン」で、法律上の上限金利を2本立てで説明しています(2026年9月12日確認)。
- 利息制限法の上限金利(超過すると民事上無効):貸付額に応じ15%〜20%
- 出資法の上限金利(超過すると刑事罰):改正前は29.2%
同ページは、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられてグレーゾーン金利が撤廃され、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%〜20%)になったこと、利息制限法の上限を超える金利帯での貸付けは民事上無効で行政処分の対象にもなり、出資法の上限を超える金利帯での貸付けは刑事罰の対象になることを明記しています。
ここに利息制限法第3条が効きます。手数料の名目で受け取った金銭も利息として数えるため、約定の金利が上限の内側でも、みなし利息を足した結果が第1条の金額を超えれば超過部分は無効という順番になります。上限の早見は上限金利の記事、超過した場合の全体像は総量規制の記事と併せて確認してください。
金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html/同「貸金業法Q&A」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/qa.html(いずれも2026年9月12日確認)
6. 遅延損害金と保証料は、別のものさしで見る
費用の話でまぎれやすい2つを、条文で切り分けておきます。
- 遅延損害金(賠償額の予定):利息制限法第4条第1項は、債務の不履行による賠償額の予定が第1条に規定する率の一・四六倍を超えるときは超過部分を無効とし、同条第2項は違約金を賠償額の予定とみなすと定めています。さらに第7条第1項は、営業的金銭消費貸借については年二割を超えるときに超過部分を無効とする特則を置いています(2026年9月12日確認)。詳しくは遅延損害金の記事へ。
- 保証料:利息制限法第8条第1項は、営業的金銭消費貸借上の債務を主たる債務とする保証(業として行うものに限る)がされた場合の保証料の契約について、主たる債務の元本に係る法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額を超える部分を無効とする、という別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を、一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています(2026年9月12日確認)。一方、保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし)。
e-Gov法令検索「利息制限法」第4条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100(2026年9月12日確認)
7. 契約前に見るところ
条文を踏まえると、契約前に確認する項目はごく具体的になります。
- 費用欄の名目と額を書面で押さえる。貸付契約の書面は契約前と契約時の2回交付されます(→貸付契約の書面)。口頭の説明ではなく、書面に並んだ名目で判断します。
- その費用が政令の列挙に当たるかを見る。カードの再発行、書面の再発行・再提供、引き落とし失敗後の再度の口座振替、枠内のATM利用料以外の名目であれば、利息として数える側に入り得ます。
- 表示された年率の意味を確認する。貸金業法第14条第1項第1号の「貸付けの利率」は、利息およびみなし利息の総額をもとに算出した年率を百分率で表示するものと定義されています(→実質年率とは、返済シミュレーションの読み方)。
- 広告の表示が法の要求を満たしているかも手がかりになります(→貸金業者の広告規制)。
- そもそも登録された貸金業者かを先に確認します(→貸金業者の登録を確認する手順、登録番号チェッカー)。登録のない相手についてはヤミ金の見分け方を参照してください。
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よくある質問
事務手数料は金利とは別、と説明されました。条文ではどうなっていますか?
利息制限法第3条は、金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭を、礼金・割引金・手数料・調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず利息とみなすと定めています。除かれるのは同条ただし書の「契約の締結及び債務の弁済の費用」で、営業的金銭消費貸借ではその範囲が第6条第2項第1号〜第3号(公租公課/公の機関が行う手続に関して支払うもの/機械の利用料)に限られます(2026年9月12日・条文確認)。
ATMの手数料は利息に含まれますか?
債務者が金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料は、政令で定める額の範囲内であれば第3条ただし書の適用対象です(利息制限法第6条第2項第3号)。その額は利息制限法施行令第2条で、一万円以下の額は百十円、一万円を超える額は二百二十円(いずれも消費税額等相当額を含む)と定められています。貸金業法側でも貸金業法施行令第3条の2の3が同じ額を定めています(2026年9月12日確認)。
繰上返済手数料や振込手数料はどちらに入りますか?
個別の名目がどちらに分類されるかを定めた条文は、今回確認した範囲にはありません(記載なし)。条文が定めているのは判断の枠で、第3条本文で利息とみなすことを原則とし、利息制限法第6条第2項各号と利息制限法施行令第1条各号(貸金業者については貸金業法第12条の8第2項各号と貸金業法施行令第3条の2の2各号)に当たるものだけが外れる、という構造です。
保証料も金利に含まれますか?
利息制限法第8条第1項は、保証料について「法定上限額から支払うべき利息の額を減じて得た金額」を超える部分を無効とする別枠の規制を置いています。同条第7項は、保証人が主たる債務者から受ける保証料以外の金銭を一定の除外を除いて保証料とみなすと定めています。保証料が貸金業法第12条の8第2項の「みなし利息」に当たるかどうかを直接定めた記述は、今回確認した条文にはありません(記載なし・2026年9月12日確認)。
銀行のローンの手数料も同じルールですか?
この記事で確認した貸金業法第12条の8・第14条の主語は「貸金業者」です。銀行等が受け取る費用の扱いについては、今回確認した条文には記載がありません(記載なし)。利息制限法は金銭を目的とする消費貸借一般について定めており、第6条の特則は営業的金銭消費貸借(第5条第1号の括弧書きで「債権者が業として行う金銭を目的とする消費貸借」と定義)を対象としています(2026年9月12日確認)。
e-Gov法令検索「利息制限法」(昭和二十九年法律第百号)第1条・第2条・第3条・第4条・第5条・第6条・第7条・第8条 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000100/「利息制限法施行令」(平成十九年政令第三百三十号)第1条・第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/419CO0000000330/「貸金業法」(昭和五十八年法律第三十二号)第12条の8・第14条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/「貸金業法施行令」(昭和五十八年政令第百八十一号)第3条の2の2・第3条の2の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/358CO0000000181/「貸金業法施行規則」(昭和五十八年大蔵省令第四十号)第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(いずれも2026年9月12日に法令APIでJSON全文を取得して確認)/金融庁「貸金業法のキホン」 https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html(2026年9月12日確認)
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